業務可視化とは?メリットや手順、効果を高めるフレームワーク3選

事業の競争力を高めるには、業務改善や効率化が不可欠です。しかし、業務プロセスは複雑なことが多いため、どこに課題があるのかを把握するのは容易ではありません。

そこで役立つのが「業務可視化」です。業務の全体像を図や表で見える化することで、改善ポイントが明確になるだけでなく、属人化の解消も期待できます。

本記事では、業務可視化のメリット・デメリットに加え、実践に役立つフレームワークをわかりやすく紹介します。

業務可視化とは?

業務可視化とは、業務プロセスの流れやつながりを表や図で示し、視覚的に把握できるようにすることです。事業の全体像を確認するのに役立ちます。

企業が業務可視化に取り組むメリット

業務可視化には、様々なメリットがあります。ここでは、代表的な3つのメリットを紹介します。

メリット① 課題の早期発見につながる

業務全体の流れを見える化することで、課題が発見しやすくなります。例えば、特定の工程で過剰な時間がかかり、それが全体の遅延につながっているといった具合です。こうした非効率な業務にいち早く気づけるのが、業務可視化の大きなメリットです。

メリット② 業務改善・効率化がしやすくなる

業務可視化のメリットは、業務改善・効率化がしやすくなることです。業務のボトルネックや無駄な工程が把握しやすくなるためです。例えば、AとBという2つの工程で、同じ確認作業が二重に行われているケースを考えてみましょう。このような場合、どちらかの工程を統合または削除することで無駄を省くことができます。実際の現場でも業務可視化は、このような無駄な業務を見つけるのに役立ちます。

メリット③ 属人化が進む業務を発見できる

業務可視化を行うと、「誰が」「何を」「どのように」担当しているかが明確になります。これにより、特定の業務が一部の担当者に依存する、いわゆる「属人化」が進んでいる箇所を把握できます。属人化の弊害は担当者が急に退職すると、業務の引き継ぎが困難になることです。そのようなリスクを避けるため、属人化の進んだ業務は、複数の担当者に割り振ることが大切です。

企業が業務可視化に取り組むデメリット

企業にとって業務可視化はメリットが多い一方、デメリットも存在します。取り組みを成功させるためには、次のデメリットを押さえた上で実施することが大切です。

デメリット① 従業員がプレッシャーに感じる

業務内容や作業時間を可視化すると、「自分の仕事ぶりが監視されている」と従業員がプレッシャーに感じる可能性があります。このような心理的圧力は、モチベーションの低下や離職リスクの増加を招く恐れがあるので注意しましょう。そのため、業務可視化に取り組む際は、目的や背景を丁寧に伝えるといった工夫が必要です。

デメリット② 現場の柔軟性が低下する

業務可視化によって無駄を省くためのルール化が進むと、現場の裁量で柔軟に対応することができない場合があります。臨機応変な判断や対応が求められる業務では、決められた通りにしか動けないことによって、かえって品質が下がるでしょう。こうしたリスクを避けるには、ルールの策定や運用設計の段階で、現場の声を丁寧に取り入れることが大切です。

業務可視化の手順

業務可視化はただ業務プロセスを列挙するのではなく、業務全体の流れや課題を明確に整理して図示することが大切です。具体的には、以下の3つのステップで進めると効果的です。

手順① 業務内容を洗い出す

組織やチームが日々行っている業務を全て洗い出すところから始めます。この手順では、現場の業務担当者へのヒアリングが欠かせません。ポイントは以下の通りです。

  • できるだけ詳細に聞き出す
  • 複数人から情報を集める

ヒアリングした情報は、業務フロー図を作成するための素材としてまとめておきます。

手順② 課題を洗い出す

次に、課題を洗い出します。具体的には以下の視点で業務プロセスをチェックします。

  • 時間がかかっている業務や工程はどこか
  • 同じ作業が複数の場所で重複していないか
  • 属人化している業務はないか
  • 不明確な手順や基準で作業が行われていないか

このような視点から、現場の声をもとに課題を洗い出します。

手順③ 業務手順を可視化する

洗い出した業務と課題を、フローチャートやBPMN(ビジネスプロセスモデリング表記法)などを用いて図示します。可視化のポイントは以下の通りです。

  • 業務の流れを視覚的に整理する
  • 課題は視認しやすく表示する
  • 使用ツールや担当者も記載する

作成した業務フロー図は、改善策の検討や共有に活用します。

※BPMNは業務フローを図式化するための方法のことです。詳しい方法について知りたい方は、「BPMN(ビジネスプロセスモデリング表記法)とは? 」をご覧ください。

業務可視化に役立つフレームワーク3選

業務可視化を効果的に進めるには、フレームワークの活用が有効です。フレームワークを使うことで、課題や対策などを整理しやすくなり、改善の方向性を明確にできるためです。ここでは、業務可視化に役立つ3つのフレームワークを紹介します。

PDCAサイクル

PDCAサイクルとは、「計画、実行、評価、改善」の4ステップを繰り返すことで、継続的に業務改善しながら目標達成を目指すフレームワークです。

業務可視化で明らかになった課題に対して、具体的なアクションを立て、改善のサイクルを回すことができます。これにより、業務プロセスの最適化や目標達成の可能性が高まります。

詳しい方法について知りたい方は「PDCAサイクルとは?仕事ができる人が実践する5つの使い方のコツ」をご覧ください。

MECE(ミーシー)

MECE(ミーシー)とは、「漏れなく、ダブりなく」情報を分類・整理するためのフレームワークです。検討すべき要素を過不足なく整理できるため、議論や分析を効率的に進められるのが特徴です。業務プロセスを整理する際にも、このMECEの視点を取り入れることで、抜けや重複のない業務可視化を実現しやすくなります。

詳しい方法について知りたい方は、「MECE(ミーシー)とは?考え方を図でわかりやすく紹介」をご覧ください。

ECRS(イクルス)

ECRSは、「Eliminate(除外)」「Combine(結合)」「Rearrange(交換)」「Simplify(簡素化)」の頭文字を取った業務改善のフレームワークです。業務可視化のあとに、「どの業務をやめるべきか」「どこを簡略化できるか」といった判断に活用できます。

詳しい方法について知りたい方は、「ECRSの原則とは?業務改善のフレームワークの基本と活用方法」をご覧ください。

業務可視化で課題解決を実現しよう

業務可視化は、複雑化した業務フローを図や表で整理し、改善すべきポイントを視覚的に明らかにする手法です。ただし、従業員への配慮を欠くと、モチベーションの低下や離職リスクを引き起こすこともあります。

さらに、業務可視化を効果的に行うには、専門的な知識とノウハウが不可欠です。しかし、そうした人材を確保するのが難しい企業も少なくありません。

こうした課題に対応するため、セルウェルでは「マーケティングコンサルティング」をご提供しています。業務改善から売上アップなど、問題解決に向けた各種分析やアイデアをご提案します。

  • 業務を見直したいが、どこから手を付けるべきかわからない
  • 改善に取り組んでいるが、成果がでない

このようなお悩みをお持ちのご担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。