PDCAサイクルとは?仕事ができる人が実践する5つの使い方のコツ

「頑張っているのに、なぜか成果が出ない」「同じミスを何度も繰り返してしまう」など、そのような悩みを抱えているビジネスパーソンには、PDCAサイクルがおすすめです。PDCAサイクルはシンプルながらも製造業をはじめ、医療・介護など様々な分野で活用されています。本記事ではPDCAサイクルの基本知識、仕事に活かせる使い方のコツ5選を紹介します。 

PDCAサイクルとは? 

PDCAサイクルとは、「計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)」の4つのステップを繰り返すことで、業務の質を高め、成果につなげていくフレームワークです。各ステップの概要は以下のとおりです。 

ステップ①:計画(Plan) 

目標を設定し、達成に向けた行動計画を立てるステップです。現状を把握し、課題を分析した上で、実現可能な計画を策定します。 

ステップ②:実行(Do) 

計画に基づき、実際の業務を遂行するステップです。データの取得や観察も同時に行います。 

ステップ③:評価(Check) 

実行した内容を振り返り、計画通りに進んでいるかを検証するステップです。成果や数値など、客観的なデータをもとに評価を行います。 

ステップ④:改善(Act) 

評価をもとに、さらなる課題を洗い出し、改善策を検討するステップです。その改善策を次のサイクルの計画に反映させて、より高度な課題の解決を目指します。 

この4つのステップを繰り返すことで、業務は少しずつ改善し、目標達成に近づきます。 

PDCAサイクルでよくある失敗例とその原因 

PDCAサイクルは、シンプルなフレームワークのため、「簡単に使いこなせそう」と感じるかもしれません。しかし実際には、正しく運用できていないケースも多くあります。ここでは、ビジネスでよく見られる失敗例とその原因を紹介します。 

失敗例① 実行に移せない 

PDCAサイクルでよくある失敗の一つが、「計画を立てたのに、なぜか実行に移せない」というケースです。例えば、営業担当者が「週に5件のアポイントメントを獲得する」という目標のもと、「1日100件の見込み顧客に電話営業をする」という計画を策定したとします。しかし、実際には計画が全く実行に移されないまま、終わってしまうことがあります。 

このようなケースが発生する原因は、以下のとおりです。 

  • 計画が抽象的すぎる:何をすればいいのか曖昧で実行できない。 
  • 目標が大きすぎる:現実味がなく、最初の一歩を踏み出せない。 
  • 実行者が決まっていない:誰がやるのか曖昧だと、結果的に「誰も動かない」状態になる。 

失敗例② 時間がかかりすぎる 

PDCAサイクルを回そうとしても、「時間がかかりすぎてしまい、かえって非効率になってしまった」という失敗はよくあります。例えば、入念に現状分析を行い、細かな改善案を複数検討し、何度も検討した結果、計画だけで1カ月以上かかるといった具合です。このように時間がかかりすぎると、効果が出ないと感じるでしょう。 

このようなケースが発生する原因は以下のとおりです。 

  • 大規模な改善を目指している:検討する内容が多くなり、時間がかかる。 
  • 完璧にしようとしている:失敗しないようにと、慎重になりすぎている。 
  • 関係者が多すぎる:意思決定に時間がかかる。 

失敗例③ 改善につながらない 

形式的にPDCAサイクルを回しても、改善や成果につながらないのもよくある失敗例の一つです。このようなケースでは、以下のような原因が考えられます。 

  • 曖昧な評価をしている:数字や事実に基づかない、感覚や主観的な評価に終始してしまう。 
  • 根本的な原因を分析できていない:問題の本質を捉えきれず、表面的な要因に対してのみ改善策を講じている。 
  • 表面的な改善にとどまっている:形式的な改善ばかりで、実際の業務改善に結びついていない。 

失敗例④ やりっぱなしで放置する 

PDCAサイクルを実践する中で、よくある失敗の一つが「一度取り組んだきりで終わってしまう」ことです。計画を立てて実行したものの、その後の評価や改善が行われず、結果としてPDCAサイクルが途中で止まってしまうケースは少なくありません。 

こうした事態が起こる原因として、次のようなものが考えられます。 

  • PDCAサイクルの本質を誤解している 

PDCAサイクルは1回で終わるものではなく、繰り返すことで効果を発揮するフレームワークです。それにもかかわらず、「一度回せば成果が出る」と誤解していたり、逆に「一度試したが、効果がなかった」と早々に諦めてしまったりするケースが見られます。 

  • フォローアップの体制がない 

進捗確認や次のステップへの移行をサポートする体制やルールが整っていないと、PDCAサイクルが途中で止まり、放置されてしまいます。 

  • 評価や改善のステップが軽視されている 

 計画と実行に力を入れる一方で、振り返りがいい加減になることも多く、結果として途中でストップしてしまうことがあります。 

PDCAサイクルは時代遅れ? 

「PDCAサイクルは時代遅れだ」という声を耳にすることがあります。このような評価の背景には、近年のビジネス環境の激しい変化があり、スピード感のある意思決定が求められているからです。そのため、より迅速な意思決定ができる「OODAループ」のほうが優れていると評価される場面も増えています。 

確かに、PDCAサイクルは成果を出すまでに何度も回す必要があるため、一定の時間がかかります。しかし、それは決して「使えないフレームワーク」ということではありません。 

むしろ、継続的な業務改善や品質向上が求められる分野では、今でも非常に有効です。特に、中長期的な改善に取り組む場合には、PDCAサイクルの地道な改善手法が大きな成果をもたらします。 

さらに、「SWOT分析」「ECRS」「SMARTの法則」など、他のフレームワークと組み合わせることで効果が高まります。各手法の強みを活かしながら、課題解決に向けた多角的なアプローチができるためです。 

つまりPDCAサイクルは、「古いから」と切り捨てるのではなく、その特徴を正しく理解し、状況に応じて柔軟に使いこなすことが大切です。 

OODAループについて詳しく知りたい方は、「OODAとは?PDCAとの違いや企業の事例を紹介」の記事をご覧ください。 

仕事ができる人の使い方!PDCAサイクルのコツ5選 

PDCAサイクルで成果を上げるには、使い方にコツがあります。ここでは、5つのコツについて紹介します。 

① 実現可能な目標を設定する 

まずは、目標設定のコツです。あまりにも壮大すぎる目標は、途中で計画がとん挫してしまう原因になります。一方で、目標が低すぎると、いつまで経っても十分な成果を得られません。 

成果を上げるには、現状をしっかりと分析し、その上で「少し頑張れば届く」レベルの現実的な目標を設定することが大切です。一つのサイクルごとに、まるで階段を1段ずつ昇るように進めていけば、やがて大きな目標に到達できるでしょう。 

② 実行時に記録を残す 

PDCAサイクルで成果を上げるコツは、実行の段階で記録を残すことです。実行内容が曖昧だと、その後の評価や改善の段階で正確な分析ができないためです。また、記録はできるだけ数値化した情報を残すことで、評価がしやすくなります。 

③ 継続的に実践する 

PDCAサイクルを実践する上で、重要なのは繰り返すことです。1回やって終わりではなく、継続して回し続けることで、大きな目標を達成できるフレームワークのためです。 

④ 原因を掘り下げる 

評価や改善のステップでは、課題を深く掘り下げることが大切です。表面的な問題だけに対応しても、根本的な課題が解決されていなければ、期待するような成果を得られないためです。本当の原因は何か、なぜそのような問題が起きたのかを追求することで、適切な改善策を発見できます。 

⑤ PDCAサイクルを回すこと自体を目的にしない 

PDCAサイクルでは、サイクルを回すこと自体が目的になりがちです。しかし、本来の目的は、課題の解決や成果を上げることです。「サイクルを回したかどうか」ではなく、「それによって何が変わったか」を重視しましょう。 

PDCAサイクルで成果を生み出そう 

PDCAサイクルは、「計画・実行・評価・改善」という4つのステップを繰り返し、着実に業務を改善していくためのフレームワークです。近年では「時代遅れ」や「古い」といった声も聞かれますが、正しく活用すれば、今なお成果を上げることができます。今回紹介した5つのコツを参考にPDCAサイクルを実践し、持続的な成長と成果につなげましょう。