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SELLWELL 新規事業研究「新規事業は、どこで止まるか」| 付録テンプレート集(研究本編は執筆中)

新規事業
「決め方」キット

新規事業が止まる理由は、走る前から決まっています。評価軸がない・社内合意が曖昧・撤退基準がない——この3つです。本キットは、その3つを1時間で埋めるための、書き込んで使うテンプレート集です。会議にそのままお持ちください。

記入例は、守秘のため架空の企業「A社」(中堅素材メーカー)の設定で通しています。ただし設定は架空でも書き方は本物です——累計1,400件超の調査・事業支援の現場で「実際に会議を通った」書き方を、複数案件の観察から再構成して収録しました。

発行:セルウェル株式会社(事業創造の総合プロデューサー)| 本資料は自社の新規事業検討の目的で自由にご利用いただけます

このキットの使い方

HOW TO USE

新規事業には、構想と実現のあいだに深い谷があります——マーケティングで「死の谷(Valley of Death)」と呼ばれる、多くの事業が資金・合意・判断を失って止まる区間です。谷に落ちる原因のほとんどは技術でも情熱でもなく、「決め方」が先に用意されていないことにあります。

ツール何を決めるかいつ使うか
Tool 1評価軸シート — この事業を「何で」評価するか構想を検討テーマに上げるとき
Tool 2社内合意ストーリーシート — 経営会議を一度で通す骨子経営層・関係部門に諮る前
Tool 3撤退・ピボット基準シート — 「やめ時・変え時」を先に決める走り出す前(走り出してからでは決められません)
原則:3枚とも「走る前」に書くことに意味があります。走り出した後の組織は、撤退基準にも評価軸にも合意できなくなります。
新規事業「決め方」キット© Sellwell Inc.

新規事業は、どこで止まるか

ANATOMY OF THE VALLEY | 現場で繰り返し観察された5つの停止点

私たちが大手企業の新規事業に伴走するなかで、事業が止まる場所には明確なパターンがあります。技術力や熱意の不足で止まった例はほとんどありません。止まるのは、いつも「決め方」が未整備の地点です。

停止点現場で起きること先回りする道具
① テーマが決まらないアイデア出しは盛り上がるが、「どれをやるか」を決める基準がないため選べない。気づけば検討開始から1年、まだテーマ選定中——という企業は珍しくありません。Tool 1
評価軸
② 経営会議で差し戻し「それは儲かるのか」「うちがやる意味は」に答えられず振り出しへ。担当者は再調査、次の会議でまた別の役員から別の問い。論点が固定されていない会議は何度でも差し戻します。Tool 1+2
評価軸・合意
③ 検証が始まらない「事業化の承認」を求めるから通らない。全投資の意思決定と、300万円の検証の意思決定は別物なのに、同じ土俵に載せてしまう。Tool 2の⑤
Askの最小化
④ やめられない撤退基準を決めずに走り出した事業は、担当者の異動まで止まらない「ゾンビ」になり、次の新規事業の予算と経営層の信頼を食い潰します。Tool 3
撤退基準
⑤ 学びが消える撤退した事業の検証データ・顧客の声・失敗理由が個人のフォルダに残り、組織に残らない。次のチームが同じ谷に落ちます。Tool 3
記入例参照
本キットの立場:①〜⑤はすべて「事前に潰せる」停止点です。3枚のシートは、その先回りのための最小の道具立てです。
新規事業「決め方」キット© Sellwell Inc.

Tool 1新規事業 評価軸シート

EVALUATION CRITERIA SHEET

評価軸がないまま検討を進めると、会議のたびに「儲かるのか」「うちがやる意味は」と論点が振り出しに戻ります。先に5つの軸と判定基準を固定し、議論を「印象」から「事実」に移すのがこのシートの役割です。

評価軸問い判定基準(例)自社の判定
市場性その需要は実在するか。市場規模と成長性は十分か◎ 一次情報で確認済
○ 公開データで推定
△ 仮説のみ
競争優位なぜ自社が選ばれるのか。代替手段に勝てるか◎ 検証済の差別化要素
○ 仮説はある
△ 未検討
自社適合自社の技術・販路・ブランドのどれが活きるか◎ 既存資産を転用可
○ 一部転用可
△ すべて新規調達
実現可能性体制・パートナー・時間軸は現実的か◎ 体制案あり
○ 一部未定
△ 白紙
収益性いつ・どの規模で黒字化するか。投資回収の道筋は◎ 試算+感度分析済
○ 粗い試算あり
△ 未試算
記入例(架空のA社)中堅素材メーカーA社 — 自社素材を核にしたD2Cスキンケア参入の検討(アイデア40案 → 5案への絞り込み)
市場性=○
スキンケアD2C市場は公開データで規模・成長性とも確認できる。ただし「A社素材への生活者の受容性」はどの統計にも存在せず「未検証」——ここが次の宿題として明文化されたことで、以後の議論が前に進む。
競争優位=△
機能性エビデンスは強いが、生活者に伝わる差別化になるかは未確認。△を正直に付ける——ここで◎を装うと、後工程すべてが砂上の楼閣になる。
自社適合=◎ / 実現可能性=○ / 収益性=△
自社適合の◎は根拠明記(独自素材・品質管理体制・エビデンス資産)。収益性の△は隠さず提示し、「△を潰す検証に3ヶ月ください」という次のAsk(Tool 2の⑤)にそのまま接続する。

この5軸は、40案を5案に絞る「ふるい」としても機能します。軸が先に固定されていれば、どの案を落とすかで社内政治が発生しない——実際の現場で繰り返し確認してきた、評価軸シートの最大の効用です。

使い方のコツ:「◎○△」を付けること自体が目的ではありません。△が付いた軸=いま確かめるべき事実です。すべて◎になるまで投資判断を先送りするのではなく、△を潰す最小の検証を次の一手にしてください。現場でよく見る失敗は「全軸◎になる資料を作ろうとして半年止まる」ことです。
新規事業「決め方」キット | Tool 1© Sellwell Inc.

Tool 2社内合意ストーリーシート

INTERNAL ALIGNMENT STORY SHEET

新規事業の稟議が通らない理由の多くは、事業案の中身ではなく「なぜ今か」「なぜうちか」「やらないとどうなるか」が語られていないことです。経営会議を一度で通すための骨子を、この順番で1枚にまとめてください。

構成要素書くこと自社の記入欄
① Why Now
なぜ今か
市場・規制・技術・競合の変化。今始めないと失われる機会
② Why Us
なぜ自社か
自社の資産(技術・販路・ブランド・データ)のうち、この事業で活きるもの
③ What
何をやるか
顧客・提供価値・収益モデルを3行で。詳細は添付に逃す
④ What If Not
やらないリスク
既存事業の成熟・競合の参入など、「現状維持のコスト」を数字で
⑤ Ask
今日決めてほしいこと
今回の意思決定の範囲を最小化する(例:全投資ではなく検証予算◯◯万円と3ヶ月)
記入例(架空のA社)中堅素材メーカーA社 — D2Cスキンケア参入の経営会議(①〜⑤フルセット)
① Why Now(なぜ今か)
主力のBtoB原料供給は価格競争で粗利が毎年低下。一方、D2Cの物流・決済インフラが成熟し、メーカー直販の参入コストはこの数年で大きく下がった。この2つの線が交差している今が判断の窓。
② Why Us(なぜ自社か)
機能性エビデンスを持つ独自素材と、原料メーカーとして培った品質管理体制。「原料の中身を語れるブランド」は、広告費で戦う既存D2Cに対する構造的な差別化になり得る。
③ What(何をやるか)
自社素材を核にした敏感肌向けスキンケアの最小ライン(2SKU)をD2Cで提供。収益は単品売切りから定期便への転換で作る。詳細は添付へ。
④ What If Not(やらないリスク)
供給先メーカーのPB化が進み、A社は「生活者から見えない下請け」に固定される。5年後の粗利率を現状トレンドで延長した数字を提示する。
⑤ Ask(今日決めてほしいこと)
「本日は事業化の承認ではなく、モニター300名でのテスト販売:予算300万円・期間3ヶ月・専任0.5名の承認をお願いします。3ヶ月後、Tool 1の評価軸に沿って継続可否をご判断ください」
使い方のコツ:⑤が最重要です。「事業をやらせてください」は通りません。「小さく確かめる許可をください。判断基準はこれです」は通ります。意思決定の単位を小さく刻むことが、死の谷に橋を架ける方法です。私たちの経験では、差し戻しになる稟議の大半は③(What)は書けているのに、①④⑤が抜けています。
新規事業「決め方」キット | Tool 2© Sellwell Inc.

Tool 3撤退・ピボット基準シート

EXIT / PIVOT CRITERIA SHEET

撤退基準は「弱気の証」ではありません。むしろ逆で、撤退基準がある事業ほど思い切って走れます。基準がないまま走ると、誰も止められない「ゾンビ事業」になり、次の新規事業の予算と信頼まで食い潰します。

マイルストーン検証すること継続ライン(例)撤退・ピボット判断
M1(3ヶ月)
需要検証
ターゲット顧客が対価を払う意思を示すか見込み客ヒアリング◯件中、購入意向◯%以上
M2(6ヶ月)
提供検証
約束した価値を、想定コストで提供できるか試験提供◯件、継続希望◯%以上、粗利◯%確保
M3(12ヶ月)
事業性検証
再現性のある獲得チャネルと単価が成立するかCAC回収◯ヶ月以内、月次売上◯◯万円
記入例(架空のA社)M1(需要検証・3ヶ月)の書き方 — 数字はここまで具体的に
継続ライン(合意した数字)
「モニター300名のテスト販売で、定価での購入率3%以上、かつ60日後のリピート意向25%以上」——曖昧な「手応え」ではなく、誰が見ても判定できる数字と期限で事前に固定する。
未達の場合(事前に決めた分岐)
「ターゲットを敏感肌からエイジングケアに変えて1回だけ再検証(ピボット)。それでも未達なら撤退し、検証で得た生活者の受容性データと素材エビデンスは、既存BtoB事業の営業資材に転用して回収する」
効果
撤退=失敗ではなく「学習の完了」と定義することで、担当チームは失点を恐れず全力で検証に振り切れる。撤退基準は士気を下げる装置ではなく、思い切って走るための装置である——これが現場の実感です。
使い方のコツ:撤退ラインの数字は走る前に経営層と合意し、議事録に残してください。走り出した後に「もう少しやらせてほしい」の綱引きを始めないための保険です。ピボットの回数上限(推奨:1回)も先に決めておくと、ゾンビ化を確実に防げます。
新規事業「決め方」キット | Tool 3© Sellwell Inc.

3枚を埋めて、それでも残る「答え無き問」を。

テンプレートで整理できるのはここまでです。市場の事実の見極めと、実現までの伴走は、私たちの仕事です。
60分の壁打ちで、あなたの記入内容をもとに「問いの整理と次の一手」を1枚のメモにしてお渡しします。

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セルウェル株式会社 | 答え無き問を、新しい価値の実現まで。 | sellwell.jp

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