MECE(ミーシー)とは?考え方を図でわかりやすく紹介

新規事業や事業改善のアイデアを検討する際に、「何度も同じような内容が議題に挙がる」と感じるビジネスパーソンはいませんか。決められた時間で成果を挙げるには、効率的な検討が必要です。そのような際におすすめの概念はMECEです。本記事ではMECEの意味や考え方、役立つフレームワークをわかりやすく紹介します。 

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MECEとは 

MECEとは、「Mutually(お互いに)」「Exclusive(重複せず)」「Collectively(全体に)」「Exhaustive(漏れがない)」の頭文字から取った造語です。日本語では「漏れなく、ダブりなく」を意味します。ものごとを整理して検討する際に、構成する要素の全てを漏れなく、重複なく検討することを指します。 

MECEの具体例 

MECEの状態をイメージしにくい方もいるでしょう。そこで、この章ではMECEではない具体例とMECEの具体例を図でわかりやすく説明します。 

MECEではない例 

まずは、MECEではない3パターンの例を紹介します。 

  • 漏れはないがダブりがある 

「漏れはないがダブりがある」は、全体を構成する要素を洗い出せているものの、要素の重複がある状態です。例えば、人口を分類する際に要素を「大人」「子ども」「東京在住」とした場合です。この場合、「大人」「子ども」の一部と「東京在住」が重複します。 

  • 漏れはあるがダブりがない 

「漏れはあるがダブりがない」は、要素の重複がないものの、全体を構成する要素を洗い出せていない状態です。例えば、勤務形態を分類する際に要素を「正社員」「パート」とした場合です。「正社員」と「パート」は重複していませんが、「派遣社員」や「アルバイト」が抜けています。 

  • 漏れもダブりもある 

「漏れもダブりもある」は、全体を構成する要素を洗い出せておらず、要素も重複している状態です。例えば、20歳までの集団を分類する際に要素を「0歳~5歳」「5歳~11歳」「11歳~14歳」「14歳~18歳」とした場合です。5歳・11歳・14歳が重複しており、19~20歳が不足しています。 

MECEの例 

MECEは、全体を構成する要素を洗い出せており、要素に重複もない状態です。例えば、20歳までの学生に対して、「小学生」「中学生」「高校生」「大学生」に分類すると、漏れも重複もないのでMECEの状態と言えます。 

MECEの2種類のアプローチ方法 

MECEは、全体像を把握できているかどうかでアプローチ方法が異なります。ここでは、2種類のアプローチ方法を紹介します。 

トップダウンアプローチ 

トップダウンアプローチは、ものごとの全体像を捉えてから、細分化する方法です。全体像を把握している場合に有効ですが、全体像があやふやな場合は重複や漏れの原因となるため注意が必要です。 

ボトムアップアプローチ 

ボトムアップアプローチは、構成する要素を洗い出すことで全体を網羅する方法です。この手法は、全体像を把握できていないときに向いています。ただし、全体像が不明瞭なために漏れが発生しやすく、徹底した要素の洗い出しが必要です。 

MECEがなぜ必要なのか 

MECEは、ビジネス用語やマーケティング用語としてよく利用されています。なぜ、ビジネスにおいて必要とされているかと言えば、新規事業や事業改善のアイデアを効率的に検討できるためです。 

反対に、検討内容に重複があれば効率が悪く、漏れがあれば重要な要素を見逃すかもしれません。このようなミスを防ぐために、ロジカルシンキングの基本概念としてMECEが必要とされているのです。※ロジカルシンキングとは、直感や感覚に頼るのではなく、論理的にものごとを捉えて結論を導き出す思考方法のことです。 

MECEを活用するメリット 

MECEは検討すべき要素を効果的に整理できる概念で、3つのメリットがあります。この章では、各メリットについて詳しく解説します。 

メリット①課題解決力の強化 

1つ目のメリットは、課題解決力を強化できることです。全体像を効果的・効率的に網羅して課題を整理することで、実効性のある解決策を検討できるためです。課題解決力の強化により、企業や事業の成長が期待できます。 

メリット②議論の質の向上 

2つ目のメリットは、議論の質の向上です。構成する要素を洗い出すことで、真の原因を特定しやすく、重要な要素にリソースを集中して議論を深めることができるためです。議論の質が向上することで、より効果的なアイデアが出やすくなります。 

メリット③ 思考を整理できる 

3つ目のメリットは、思考を整理できることです。全体像と構成する要素を洗い出すことで、ものごとを客観的に捉えて、論理的に整理できるためです。 

MECEを活用できるビジネスシーン例 

MECEは様々なビジネスシーンで活用されています。ここでは、2つの例を紹介します。 

  • 市場分析 

市場分析では、精度の高い分析を実現するためにMECEをよく活用します。例えば、顧客のニーズを掴むために、アンケートを実施するとしましょう。しかし、アンケートのターゲットの要素に漏れや重複があると正確な情報を得られません。ターゲット全体から意見を漏れなく聞くには、MECEが必要になります。 

  • 売上分析 

売上を伸ばすために売上分析をすることは、ビジネスシーンにおいてよくあることです。その売上分析では、MECEを用いることで売上を構成する要素を網羅できるため、効果的に改善策を模索できます。 

MECEに役立つフレームワーク3選 

MECEの考え方を取り入れる際、どのように分析すればいいか迷う方もいるでしょう。そこで、おすすめは以下の3つのフレームワークです。これらのフレームワークは検討する視点が決まっているため、比較的簡単にMECEを実現できます。 

●3C分析 

3C分析は、「市場・顧客」「競合」「自社」の3つの視点から、企業を取り巻く環境を分析する手法です。経営戦略やマーケティング戦略を検討する際に役立ちます。 

●5フォース分析 

5フォース分析は、以下の5つの視点から分析するフレームワークです。新規事業のアイデア創出や新製品の開発、収益性の分析などに役立ちます。 

  • 業界内での競争 
  • 新規参入業者の脅威 
  • 代替品の脅威 
  • 売り手の交渉力 
  • 買い手の交渉力 

●SWOT分析 

SWOT分析は、内部環境と外部環境、プラス要因とマイナス要因の4つの要素から分析するフレームワークです。経営戦略やマーケティング戦略を検討する際に役立ちます。 

  • 内部環境 

プラス要因(強み):自社が他社と比較して優れている点 

マイナス要因(弱み):自社が他社と比較して劣っている点 

  • 外部環境 

プラス要因(機会):自社にプラスとなる市場環境の要因 

マイナス要因(脅威):自社にマイナスとなる市場環境の要因 

まとめ 

MECEは、ものごとを検討する際に全体像と構成する要素を整理することで、議論の質を高めることができる概念です。事業の課題や解決策の模索、新規事業のアイデア出しなど、様々なビジネスシーンで役立ちます。事業拡大や新規事業のアイデアに悩んでいる経営者様は、この機会にMECEの活用を検討してみてはいかがでしょうか。