住宅・住宅設備業界は、「衣食住」の「住」を支える産業です。一方で、近年は人口減少やコスト上昇などの影響を受け、事業環境は一段と厳しさを増しています。

本記事では、こうした中でも成長機会を捉えるために、ハウスメーカー・住宅設備企業ランキングと大手企業の成長戦略を紹介します。※2026年4月時点の情報をもとに執筆しています。

住宅・住宅設備業界の動向

まずは、住宅・住宅設備業界の動向について整理します。現在、同業界は以下のような課題に直面しています。

新設住宅着工戸数の推移は以下のとおりです。

出典:建設業デジタルハンドブック「2. 建築需要の動向

2005年には125万戸あった新設住宅着工戸数は、2009年に大きく落ち込んだ後、長らく80万戸〜90万戸台で推移してきました。しかし、国土交通省の発表によると、2025年は74万戸で、ついに80万戸を下回っています。さらに、株式会社野村総合研究所の試算では、2040年には61万戸まで減少する見込みです。

このように、住宅市場はすでに縮小傾向にありますが、この環境下でも着実に成果を上げている企業は存在します。企業にとって重要なのは、どの領域で成長機会を捉えるかです。

参考:株式会社野村総合研究所「2040年度の新設住宅着工戸数は61万戸に減少

新規事業の「決め方」を、メールで。

市場の見極め方・撤退基準・成功事例のノウハウを毎週お届けします(無料)。 どんな内容か見る →

ハウスメーカー・住宅設備企業ランキング【トップ10】

国内市場の全体像を把握するために、ハウスメーカー・住宅設備企業ランキングの上位10社を紹介します。※2026年4月15日時点での最新の決算情報をもとにしています。

順位企業名売上高カテゴリ
1位大和ハウス工業株式会社5兆4,348億円住宅
2位積水ハウス株式会社4兆1,979億円住宅
3位住友林業株式会社2兆2,676億円木造住宅
4位株式会社LIXIL1兆5,047億円住宅設備
5位飯田グループホールディングス株式会社1兆4,596億円分譲住宅
6位株式会社オープンハウスグループ1兆3,364億円デベロッパー
7位積水化学工業株式会社1兆2,978億円ユニット住宅
8位旭化成ホームズ株式会社9,935億円住宅
9位TOTO株式会社7,245億円住宅設備
10位株式会社一条工務店5,664億円住宅

このランキングから日本の住宅・住宅設備業界は、大和ハウス工業株式会社と積水ハウス株式会社が牽引していることがわかります。また、住宅設備企業の売上規模はハウスメーカーと比較すると小さいものの、一定の存在感を示しています。

さらに注目すべきは、同じ住宅業界の中でも多様なビジネスモデルがある点です。大別すると総合的に事業を展開する企業と、特定領域に強みを持つ専門特化型の企業に分かれます。どの領域に強みを置くかという戦略の違いが、そのまま競争優位性につながっていると言えるでしょう。

新規事業の「決め方」を、メールで。

市場の見極め方・撤退基準・成功事例のノウハウを毎週お届けします(無料)。 どんな内容か見る →

日本の大手企業の特徴と成長戦略

前章で紹介した上位10社の中から、特に国内で活躍している主要メーカーの特徴や成長戦略を解説します。

大和ハウス工業株式会社

出典:大和ハウス工業株式会社

大和ハウス工業株式会社は、戸建住宅や分譲住宅を中心に、賃貸住宅やマンション事業まで幅広く展開するハウスメーカーです。商業施設や物流施設、データセンター、医療・介護施設なども手がけており、多角的な事業展開が特徴です。

海外展開にも積極的で、アメリカやオーストラリアをはじめとする25カ国で事業を展開しています。近年は、EC市場の拡大を背景に、物流施設を中心とした非住宅事業が成長を牽引しています。

また、建築の工業化をDXによって加速させている点もポイントです。サプライチェーン全体を最適化することで、省人化や工期短縮、コスト削減を実現し、生産性の向上を図っています。

このように大和ハウス工業株式会社は、多角化戦略を推進することで競争優位性を確保しています。

住友林業株式会社

出典:住友林業株式会社

住友林業株式会社は、植林から木材の調達・加工、住宅建築、不動産開発までを一貫して手がけるハウスメーカーです。最大の特徴は、「木」を軸とした独自のバリューチェーンを構築している点です。国内外で森林資源を保有・管理し、その木材を活用して住宅や建築物を供給する一連の流れを「ウッドサイクル」として確立しています。このウッドサイクルは、森林によるCO2吸収と、木造建築による炭素固定を組み合わせることで、脱炭素社会の実現にも貢献しています。

同社の中核事業は、住宅事業と建築・不動産事業です。国内の住宅事業は注文住宅・分譲住宅・賃貸住宅を展開し、安定した収益を確保しています。一方、建築・不動産事業は同社の海外事業です。アメリカやオーストラリア、アジアで事業を展開しており、中でもアメリカやオーストラリアは住宅需要が底堅く、同社の成長を支えています。

このように成長戦略の中核は、「木材資源の価値最大化」と「グローバル展開の加速」です。中期経営計画では、木造建築の普及拡大や中大規模建築の木造化、不動産開発の強化を進めることで、さらなる収益力の向上を目指しています。

住友林業株式会社は、木材という資源を起点に事業を展開することで、競争優位性を確保しています。

株式会社LIXIL

出典:株式会社LIXIL

株式会社LIXILは、キッチン・ユニットバス・トイレ・タイル・窓などを展開する住宅設備メーカーです。世界150カ国以上で事業を展開しています。

同社の強みは、住宅設備における幅広い製品ラインナップと、グローバル規模での供給体制です。新築住宅向けだけでなく、リフォームや設備交換といったストック市場にも強みを持ち、安定した収益構造を確立しています。

さらに同社の特徴として挙げられるのが、「インパクト戦略」と呼ばれる独自の経営方針です。これは事業活動を通じて、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まい」を実現する方針です。「グローバルな衛生課題の解決」「水の保全と環境保護」「多様性の尊重」の3つを重点領域としています。

実際に同社は、これまでに1億人以上の衛生環境の改善を実現しました。さらに今後も新たに1億人の衛生環境の改善を目指しており、社会課題の解決そのものを成長機会と捉えています。

飯田グループホールディングス株式会社

出典:飯田グループホールディングス株式会社

飯田グループホールディングス株式会社は、戸建分譲・分譲マンションを中心に事業を展開するハウスメーカーです。2013年に上場企業6社の経営統合によって誕生し、「誰もがあたり前に家を買える、そんな社会にしたい」をコンセプトに、高品質かつ低価格の住宅を提供するビジネスモデルを確立しています。

実際に、年間約4万棟以上の住宅を供給し、日本の分譲戸建住宅市場で約30%のトップシェアを獲得しています。

同社の強みは、土地の仕入れから設計・施工・販売までをグループ内で一貫して行う点です。これにより無駄なコストを削減し、効率的かつ安定的な住宅供給を実現しています。加えて、住宅の規格化を進めることで品質のばらつきを抑え、安定した品質と高い生産性を同時に実現している点も大きな特徴です。

まとめ

住宅・住宅設備業界は、市場縮小という構造的な課題に直面しています。しかしその一方で、成長機会を捉えている企業も少なくありません。多角化による収益源の分散、海外展開の加速、大量供給による低価格化など、各社は自社の強みを軸に競争優位性を築いています。

つまり、厳しい環境下においても、明確な戦略を持つ企業が持続的な成長を実現していると言えます。こうした考え方は、住宅業界に限らず、あらゆる産業において有効なヒントとなるでしょう。

セルウェルでは、新規事業の立ち上げから既存事業の課題解決まで、幅広く支援しています。各種調査や戦略設計に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

続けて読む

その企画、いま投資する価値はあるか。

10問・無料3分の「事業化スコア診断」で、調査・事業化に進む前の投資判断を可視化します。