2026年2月期のツルハホールディングス連結売上高は約1兆4,506億円、マツキヨココカラ&カンパニーの2026年3月期は約1兆1,174億円です。2025年にツルハとウエルシアが経営統合し、ウエルシア側は上場廃止になりました。同じ「ドラッグストア大手」でも、統合前後の期間定義が違う表をそのまま並べると誤読します。本記事では転換点を先に置き、法人の調達・出店・調剤連携の担当が今週固定する接点をわかりやすく解説します。
| 会社 | 直近通期 | 売上高 | 営業利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 | メモ |
|---|---|---|---|---|---|
| ツルハホールディングス | 2026年2月期 | 約1兆4,506億円 | 約630億円 | 約427億円 | ウエルシア統合後。前期比は短信上「-」 |
| マツキヨココカラ&カンパニー | 2026年3月期 | 約1兆1,174億円 | 約849億円 | 約558億円 | 前期比売上+5.3%・営業+3.5% |
数値は各社の決算短信(連結)を正本にしています。百万円は億円表記に四捨五入で換算しています。ウエルシア単体の通期は、統合後はツルハ連結に含まれます。旧ウエルシア単独の速報を同じ行に足さないでください。
転換点① 2025年の経営統合と上場廃止
ドラッグストア業界の地図は、2025年に大きく変わりました。ツルハホールディングスとウエルシアホールディングスが経営統合し、ウエルシアは2025年11月27日をもって上場廃止となりました。流通報道でも、統合後の新生ツルハ側の通期見通しが語られています。
この転換点の実務上の意味は、「ウエルシアの短信を単独で追う」運用が終わることです。取引先台帳の取引先名がウエルシア系のままでも、親会社・開示主体はツルハ側に移っています。請求書の名義とIRの開示主体が一致しているかを、四半期に1回だけ突合します。
突合の最小単位は、主要拠点1か所の請求書名義と、ツルハのグループ会社一覧の対照です。一致しない週は、発注窓口に「統合後の正式社名・請求先」を1行で確認します。確認結果は台帳の「最終確認日」列に残します。
確認メールの件名には拠点名を入れます。「ドラッグについて」だけだと、返信がどの拠点か分からなくなります。
返信が来たら、PDFまたはメール本文を台帳の添付欄に残します。口頭の「変わっていないはず」だけでは、担当交代後に同じ確認が再発します。再発を止めるには、確認の定型文を1通用意し、件名に拠点名と「開示主体確認」を入れます。
定型文の文面は長くしなくてよいです。「統合後の正式社名・請求先・開示の親会社名を教えてください」の3点で足ります。3点以外の質問を同じメールに混ぜると、返信が遅れます。
転換点② 統合後のツルハ通期は「前期比なし」で読む
ツルハの2026年2月期連結売上高は1,450,585百万円、営業利益は63,037百万円、経常利益は63,086百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は42,670百万円です。短信では、決算期変更や統合の影響で前期比が増減率欄に「-」となる扱いがあります。
ここで起きやすい誤読は、「1.45兆円だから前年より急成長した」と読むことです。統合で店舗と売上が一気に載った年度は、前期比の増減率だけでは構造が読めません。期末のグループ店舗数は直営5,676店で、子会社化などに伴う増加が短信・報道で触れられています。
社内表では、列を「売上/営業利益/店舗数/統合前後フラグ」に分けます。統合前後フラグが空の行は、経営共有の前に埋めます。空のまま貼ると、前年同型の増収率コメントが混ざります。
前年同型のコメントが必要な場合は、ウエルシア統合前の単独期と、マツキヨの通期を別シートに分けます。1枚のランキングに無理に載せない方が安全です。
別シートに分けたあと、表紙には「比較可能性:あり/なし」を1語だけ書きます。なしの場合は、前期比の棒グラフを作らない運用にします。棒グラフがあると、会議の途中で「何%伸びたのか」という質問に時間が溶けます。
時間が溶けた会議のあとに残るのは、未確認の請求先と、空欄の最終確認日だけです。空欄を埋ける作業を、グラフ作成より先に置きます。
転換点③ マツキヨは独立通期で増収増益
マツキヨココカラ&カンパニーの2026年3月期連結売上高は1,117,440百万円(前期比+5.3%)、営業利益は84,935百万円(+3.5%)、経常利益は89,855百万円(+4.2%)、親会社株主に帰属する当期純利益は55,776百万円(+2.0%)です。流通報道では、香港や新生堂薬局の連結、化粧品カテゴリーの寄与が増収要因として触れられています。
ツルハ統合後の売上規模(約1.45兆)とマツキヨ(約1.12兆)を並べると、売上の並びと営業利益の並びが一致しません。マツキヨの営業利益は約849億円、ツルハは約630億円です。売上だけで「相手の余力」を測ると、利益率と投資余力の読みがずれます。
法人接点は、化粧品・日用品・調剤併設・PBの比率です。自社が卸すカテゴリーが物販なのか調剤周辺なのかを先に書き、相手の連結増収率だけを提案書の冒頭に置かない運用にします。
提案書の冒頭は、「対象カテゴリー/相手の開示期/自社SKU」の3行に固定します。3行のあとに短信の概数を添付します。
3行のあとに続くページで、相手の店舗総数だけを大きく載せない方がよいです。店舗総数は規模の参考であり、自社SKUの採用可否の根拠には弱いです。弱い根拠を大きくすると、現場の棚割条件の確認が後回しになります。
棚割条件の確認は、既存取扱店1店舗の写真または棚割表で足ります。全国の店舗総数スライドより先に、1店舗の条件を固定します。
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調剤併設と物販を分けて見る
ドラッグストア大手は、物販と調剤が同じ店で並ぶことが多いです。統合前のウエルシア側では、調剤併設店舗の増加と処方箋受付が売上を支える説明が繰り返されていました。統合後も、ツルハ短信は調剤併設の推進を成長の柱として触れます。
社内の取引先評価では、列を「物販/調剤/PB/その他」に分けます。分けないと、調剤の伸びを日用品の棚割交渉の根拠に誤用します。誤用したまま交渉すると、現場の発注条件と本部のIR説明が噛み合いません。
分け方の最小単位は、直近の納品明細1通からカテゴリーを転記することです。転記が無い週は、業界ニュースの見出しだけを共有しない運用にします。
転記した月と、相手の通期は期間が違います。通期ニュースを月次の納品説明に使うときは、「期間が違う」と1行注記します。
注記が無い資料は、四半期レビューで「先月の納品減」と「相手の通期増収」が同じ段落に混ざります。混ざると、対策が値引きなのかSKU削減なのか決まらなくなります。段落を分けるだけで、次のアクションが決まりやすくなります。
アクションが決まったら、担当と期限を同じ行に書きます。担当だけのメモは、期限が空欄のまま残りやすいです。
出店・閉店・改装を同じ表に載せる
統合後のツルハは、新規出店と閉店、子会社化による店舗増を同じ期に抱えます。報道では、通期で新規出店117・閉店90、子会社化などに伴う大幅増が触れられています。マツキヨ側も出店と改装が並行します。
「店舗が増えた=商圏が広がった」とだけ読むと、不採算店の見直しが見落とされます。商談前のチェックは、相手エリアの新規と閉店の両方を1行でメモすることです。メモが無い週は、全国の店舗総数だけを資料に載せないようにします。
メモの担当は営業1名で足ります。結果は「新規/閉店/不明」の3値だけを共有し、長い解説は添付に回します。
PBとNBを同じ交渉材料にしない
統合後のツルハは、プライベートブランドの拡販とNB(ナショナルブランド)の棚割が同時に動きます。マツキヨも美と健康カテゴリーの売上が増収要因として語られます。法人側が「ドラッグストア=同じ棚」と一括りにすると、PB向けとNB向けの提案が混線します。
混線を止めるには、提案書のSKU表に「PB候補/NB既存/併売」の列を1つ足します。列が無い資料は、相手のPB強化ニュースを読んだあとで条件交渉が空中戦になります。
空中戦を避ける週は、主要SKU10点だけを先に分類します。10点の分類が終わるまで、業界再編のスライドを増やさない運用にします。
分類結果は、営業と商品企画の共有フォルダに1枚だけ置きます。個人のデスクトップにしか無い表は、担当交代で消えます。
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日本企業の調達・販促で起きやすいズレ
いちばん多いズレは、ウエルシア時代の取引条件を、統合後もそのまま「同じ会社」として扱うことです。開示主体と請求先が変わっているのに、値引き交渉の根拠だけが古い短信のまま、というケースがあります。二つ目は、ツルハの通期売上をマツキヨの増収率と同じ物差しで比較することです。期間と連結範囲が違います。
三つ目は、営業利益の並びを見ずに売上ランキングだけで優先順位を付けることです。自社の提案が利益率の高いカテゴリーなのか、薄利の物量なのかで、相手の反応が変わります。
ズレを止めるには、取引先カードに「開示主体/請求先/主要カテゴリー/最終確認日」を4列だけ置きます。4列が無い週は、全国ニュースの共有を後ろに回します。
今週の一手:開示主体と請求先を1行で固定する
今週の1点は、主要取引先1社について「開示主体(ツルハ/マツキヨなど)/請求書の社名/自社の主要カテゴリー」を1行で固定することです。固定したら、対応する直近通期の売上と営業利益を表に転記し、統合前後フラグを埋めます。
転記できたら、来月の商談資料の冒頭にその1行と数値2つだけを置きます。業界全体の再編ニュースは添付に回します。冒頭が再編ニュースだと、現場の発注条件確認が後回しになります。
作業は営業1名と、経理または総務1名で足ります。経営向けには1行メモだけを先に送り、短信PDFは添付にします。
1行メモの送付後は、台帳の「最終確認日」が空欄でないかを同じ日に確認します。空欄なら、窓口への確認メールを1通送り、返信を台帳に貼ります。返信が無い場合は、翌週の定例で「未確認」と明示します。
来四半期に他社を表へ足す場合は、同じ定義(連結・通期・調剤含むか)を揃えてから行を追加します。ニュースサイトの概数だけを足すと、後から桁がずれます。
表の下の注記は、「単位:億円(短信の百万円を四捨五入)/出典:各社決算短信/調査時点:2026年9月」の1行に統一します。
よくある質問
Q. ウエルシアの単独決算はまだ追うべきですか?A. 上場廃止後の通期はツルハ連結側を正本にします。過去比較が必要なときだけ、統合前の単独短信を別シートで残します。
Q. 売上と営業利益、どちらを先に見ればよいですか?A. 規模感なら売上と店舗数、提案の優先度なら営業利益とカテゴリー構成です。売上だけの順位表は参考に留めます。
Q. ツルハの前期比が増減率「-」なのはなぜですか?A. 決算期変更や経営統合で比較可能性が下がるため、短信上で前期比を示さない扱いがあります。増減率欄が空でも、売上・利益の絶対額は使えます。
Q. 数字の出典は何ですか?A. ツルハホールディングス「2026年2月期決算短信〔日本基準〕(連結)」、マツキヨココカラ&カンパニー「2026年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)」です。調査時点は2026年9月です。
主な出典
セルウェルは市場調査・マーケティング支援の会社として、国内市場のデータ整備から商品戦略の実装まで一貫して支援しています。検討中のテーマがどこまで固まっているかを短時間で確かめたい方は事業化スコア診断(無料)を、個別のご相談はお問い合わせからお気軽にどうぞ。
※2026年8月時点の情報をもとに作成しています。監修:森英朗。
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