新規事業のロードマップとは?作り方や活用できるフレームワークを紹介

新規事業を成功させるためには、目標を達成するまでの道筋を具体的に描くことが重要です。どれほど革新的なアイデアがあっても、行動計画が曖昧なままでは次に何をすべきかが不明確になり、プロジェクトが途中で頓挫してしまう恐れがあります。

そこで役立つのがロードマップです。本記事では新規事業のロードマップのメリットや作り方、活用できるフレームワークを紹介します。

新規事業のロードマップとは

新規事業のロードマップとは、事業の目標を達成するために必要なアクションを時系列でまとめた計画です。例えば、0~3カ月で市場調査、3~9カ月でMVP開発、9~18カ月で市場投入といったフェーズごとのアクションやマイルストーンを明確にします。これにより、チーム全員が同じ目標に向かって進めるようになります。

MVP開発の詳細については、「MVP開発とは?アジャイル開発との違いや進め方、メリットを解説」の記事をご参照ください。

マイルストーンとは

ロードマップでよく登場する重要なキーワードの一つが「マイルストーン」です。

マイルストーンとは、プロジェクトにおける中間目標のことです。例えば、「1年目に試作品を完成させる」「2年目にサービスを正式リリースする」「3年目に黒字化を達成する」といったように設定します。ロードマップが事業全体の道筋を示す地図とすれば、マイルストーンはその途中にあるチェックポイントです。このチェックポイントを通過することで、次のフェーズへ移行できます。

新規事業のロードマップを作成するメリット

新規事業のロードマップを作成する目的は、プロジェクトを効率的に進め、目標を達成することです。同時に、次の4つのメリットも得られます。

メリット① 進捗管理がしやすくなる

ロードマップがあることで、プロジェクトの進捗状況を把握しやすくなります。例えば、各フェーズのアクションが計画通りに進んでいるか、マイルストーンが予定通り達成されているかを容易に確認できます。また、遅延が発生した場合でも、早期に対応策を検討して実行できるため、柔軟に軌道修正を行うことが可能です。

メリット② リソースを適切に配分できる

ロードマップを作成することで、各フェーズやアクションにどの程度のリソースが必要になるかを判断できます。その結果、最適なリソースを配分しやすくなり、効率的にプロジェクトを推進できます。

メリット③ 全体像を把握できる

ロードマップは事業全体の流れを可視化するため、プロジェクトの全体像を把握できるのがメリットです。メンバーは自分の役割だけでなく、他部署との連携や全体のスケジュールを理解した上で行動できるようになります。

また、全体像を理解することで、各フェーズのリスクも把握しやすくなります。その結果、事前に対策することで、トラブルの削減や問題発生時に迅速な対応が可能です。

メリット④ ステークホルダーに説明しやすくなる

ロードマップがあると、経営陣や投資家といったステークホルダーに対して、事業計画の説明がしやすくなります。「いつ何を達成するのか」「どの段階でどの成果を確認するのか」が明確になるため、説明や報告の精度が高まり、信頼を得るのに役立ちます。

新規事業のロードマップの作り方

効果的な新規事業のロードマップを作成するためには、作り方が重要です。ここでは6つの手順に分けて、作成時のポイントを紹介します。

手順① ビジョンと目標を明確にする

まずは、ビジョンを明確にします。ビジョンとは、事業を通じて実現したい価値や企業の存在意義、将来の理想像を言語化したものです。加えて、ビジョンを実現するために達成すべき目標も設定します。ビジョンと目標の例は以下のとおりです。

ビジョンの例

・誰もがサステナブルに暮らせる社会を実現する。

・地域の価値を掘り起こし、世界と地方の橋渡しをする。

目標の例

・2年目に売上高5億円を達成する。

・3年以内に1万人の利用者を獲得する。

このように、ビジョンは定性的に、目標は定量的に示されることが多いです。

手順② 市場や競合を分析する

次にターゲットとなる市場や競合環境を分析します。市場の規模や成長性、ニーズを把握し、どのようなビジネスチャンスがあるのかを判断します。どれほど革新的なアイデアでも、市場のニーズに合わなければ成功は難しいためです。

市場や競合の分析は、新規事業の実現可能性の客観的な評価や潜在的なリスクの把握に役立ちます。また、現状を正確に把握することで、現実的な目標設定や効果的な戦略策定にもつながります。

手順③ 戦略を策定する

市場や競合の分析結果を踏まえて、事業の戦略を策定します。戦略はビジョンや目標を実現するために、どの市場に参入し、どのように成長するのかという方向性を示すものです。具体的には、ターゲット市場や顧客層、提供する価値、競合との差別化のポイントを明確にします。加えて、マーケティングや財務、技術などの視点から実現可能性を検討することが重要です。

手順④ タスクに分解する

策定した戦略を実行に移すために、タスクに分解します。戦略をアクションに落とし込み、「誰が・何を・いつまでに行うのか」を明確にしましょう。このときのポイントは、曖昧な表現ではなく、具体的に示すことです。タスクを明確に定義することで、実行しやすいロードマップを作成できます。

手順⑤ スケジュールを作成する

新規事業のスケジュールを作成します。各フェーズを設定し、分解したタスクを時系列に並べて、全体の流れを可視化しましょう。このときのポイントは、各タスクの責任者や期限を明確にし、タスク同士の優先順位や相互関係を考慮してスケジュールを組むことです。また、進捗の節目となるマイルストーンの設定も、この段階で行います。

手順⑥ リソースを配分する

最後に、タスクを実行するために必要な人材・資金・時間などのリソースを配分します。新規事業では、限られたリソースをどのように活用するかが成功を左右します。そのため、重要度や費用対効果を基準に、優先度の高いタスクから順にリソースを割り当てましょう。

ロードマップ作成時のポイント

ロードマップを作成する際のポイントは、全体の流れをシンプルに可視化することです。誰が見ても理解できる構成にすることで、チーム全体が同じ方向を向き、スムーズにプロジェクトを推進できます。また、市場環境や顧客ニーズは常に変化するため、ロードマップは定期的に見直すことが大切です。

ロードマップ作成に役立つフレームワーク

新規事業のロードマップをより効果的に作成するには、既存のフレームワークを活用することが有効です。代表的なフレームワークは次のとおりです。

・SWOT分析

自社の強み・弱み、機会・脅威の4要素から事業環境を分析します。

・VRIO分析

自社の競争優位性を評価するフレームワークで、自社の強みを生かした戦略策定に役立ちます。

・5フォース分析

競合他社、売り手、買い手、新規参入、代替品の5つの競争要因から外部環境を分析するフレームワークです。

これらのフレームワークを市場や競合の分析時に活用することで、戦略の方向性やリスク要因が明確になるため、ロードマップの精度を高めることができます。

詳細は、「新規事業開発担当になったら知っておくべきフレームワーク」の記事をご参照ください。

ロードマップで新規事業の成功確率を高めよう

新規事業を成功させるには、行動計画を可視化したロードマップの作成が有効です。ロードマップを活用することで、チーム全体が同じ方向を向き、スケジュールの進捗管理がしやすくなります。新規事業の立ち上げの際には、ぜひ取り入れてみてください。

セルウェルでは、新規事業支援サービス「メデテル」を提供しています。アイデア出しなどの計画段階から、製品やサービスの上市まで幅広くサポートし、事業の成功を後押しします。ご質問やご相談は、お気軽にお問い合わせください。