市場規模の調べ方とは、参入や投資を検討している市場の大きさ(金額・数量)を、統計や調査データから見積もる方法のことです。新規事業の提案や事業計画では、ほぼ必ず「その市場はいくらあるのか」が問われます。本記事では、調査会社の実務で使っている手順に沿って、無料で使える情報源から、データが存在しない市場の推計方法までを解説します。

市場規模を調べる前に:3つの「市場の範囲」を決める

最初にやるべきことは、数字を探すことではなく「どの範囲の市場を測るのか」を定義することです。同じ市場でも範囲の取り方で数字は数倍変わるため、ここが曖昧なまま調べ始めると、社内での議論が噛み合わなくなります。一般に、次の3階層で整理します。

経営会議で問われるのは多くの場合TAMではなくSOMです。「市場は1兆円」という数字だけでは、「で、うちはいくら取れるのか」に答えられません。3階層を分けて示すことが、社内を通る市場規模資料の第一条件です。

市場規模の調べ方①:公的統計・無料情報源から当たる

市場規模の調査は、有料レポートを買う前に、まず信頼性の高い無料情報源を当たるのが実務の定石です。代表的な情報源は次のとおりです。

公的統計

業界団体・民間の公開データ

公開情報の探し方・使い方の詳細は「デスクリサーチとは?手順や調査に役立つ情報源、コツを解説」もご参照ください。

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市場規模の調べ方②:データがなければフェルミ推定で組み立てる

ニッチ市場や新しい市場では、既存の統計が存在しないことも珍しくありません。その場合は、入手できる数字を組み合わせて市場規模を推計します(フェルミ推定)。基本の式は次の2つです。

重要なのは、式に置く数字それぞれに出典を付けることです。「対象顧客数は経済センサスの事業所数」「単価は主要3社の価格表の中央値」のように、係数の根拠を明示すれば、推計であっても社内の議論に耐える数字になります。逆に、根拠のない係数がひとつでも入ると、資料全体の信頼が崩れます。

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市場規模の調べ方③:一次調査で裏を取る

統計と推計で市場の外形をつかんだら、重要な意思決定の前には一次調査で裏を取ります。既存統計は「過去の市場」しか示せないため、これから参入する市場の実勢(顧客の予算、切り替え意向、価格受容性)は、アンケート調査やインタビューでしか確かめられません。特にBtoBでは、少数の対象者インタビューだけでも見積もりの精度が大きく変わります。

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実務でよくある3つの失敗

失敗① 市場の定義がずれたまま数字を比較する

出典によって市場の定義(含む範囲・小売ベースか出荷ベースか)は異なります。複数ソースの数字を並べるときは、必ず定義を揃えてから比較します。

失敗② 「伸びている」だけで参入を判断する

市場が伸びていても、自社の強みと接点がなければ勝てません。市場規模の確認と並行して、自社の技術・販路との適合を評価することが重要です。成長市場への参入判断を実際にどう進めたかは、実案件の記録「伸びている市場に、乗り遅れてはいないか。」で公開しています。

失敗③ 数字を出して終わり、判断につながらない

市場規模は「参入するか・いくら投資するか」を決めるための材料です。数字を評価軸・判断基準に接続して初めて意味を持ちます。評価への落とし込み方は「成功する企業は知っている!新規事業の評価軸」をご参照ください。

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市場規模は「調べ方」より「使い方」で差がつく

市場規模の調べ方は、①範囲の定義 → ②公的統計・無料情報源 → ③フェルミ推定 → ④一次調査での検証、という順番が基本です。そして最終的に差がつくのは、数字の精度そのものより、その数字を参入判断や社内合意にどう使うかです。

セルウェルは市場調査の専門会社として、公開データの収集・推計から一次調査まで一貫して支援しています。いま検討中のテーマがどこまで固まっているかを短時間で確認したい方は「新規事業「実現までの距離」診断(無料)」を、調査そのもののご相談はお問い合わせからお気軽にどうぞ。

よくある質問

Q1. 市場規模を無料で調べるには何から始めればよいですか?

e-Stat(政府統計)と業所管官庁の白書、業界団体の統計、調査会社のプレスリリースの4つから始めるのが定石です。この4つで市場の外形(規模の桁と成長方向)はほぼ把握できます。

Q2. 統計が存在しないニッチ市場はどう見積もりますか?

フェルミ推定で「対象顧客数×購入率×頻度×単価」を組み立てます。各係数に必ず出典を付けることが、推計値の信頼性を決めます。

Q3. TAM・SAM・SOMはどれを提示すべきですか?

3つすべてを分けて提示するのが原則です。特に経営判断の場では、売上目標の根拠となるSOMまで示すことが求められます。

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