
ビジネスでは、次のような課題に直面することがあります。
- 顧客がどのように商品やサービスを選んでいるのかわからない
- ユーザーの潜在的なニーズや生活習慣を把握したい
- 現在のマーケティング戦略やペルソナが実態に合っているかを確認したい
こうした課題を解決するために有効なのは生活者調査です。生活者調査は消費行動だけでなく、日常生活や価値観、意思決定の背景まで幅広く理解できます。
本記事では、生活者調査の意味や活用例、代表的な調査手法についてわかりやすく解説します。
生活者調査とは?
生活者とは、消費者や労働者といった役割や属性を超え、独自の価値観に基づき「暮らしを営む主体」を指す言葉です。ビジネスの文脈において、生活者と消費者は以下のように区分できます。
- 消費者:特定の商品やサービスの購入者や利用者を指す言葉
- 生活者:生活を営む人のことで、消費者よりも広い概念
したがって、生活者調査とは、生活者の行動や意識を多角的に捉える調査のことです。
消費者調査との違い
消費者調査とは、自社製品の購入者や潜在顧客を対象に、「なぜ購入したのか」「どのように使っているのか」「消費者のニーズや行動の背景」などを明らかにするための調査です。特徴は、対象が自社製品に関わる消費者や見込み顧客に限定される点にあります。
一方、生活者調査は対象の範囲がより広く、必ずしも購入者や見込み顧客に限られないのが大きな違いです。生活者の暮らし全体や価値観、日常の意思決定まで含めて把握することで、生活者の実態や購買インサイトを把握できる点が特徴です。
生活者調査でわかること

生活者調査を実施することで、以下の項目を中心に理解を深めることができます。
生活者の実態
生活者調査では日常生活における行動や習慣、家族との関わり方、趣味・嗜好、仕事など、目的に応じて幅広いテーマを調査できます。消費行動に限定せず生活全体を対象にできるため、生活者の実態を多角的に把握するのに適しています。例えば、テレビの視聴習慣や買い物の頻度・タイミングなどです。このような調査により、生活者が普段どのように暮らしているかを具体的に理解できます。こうした情報は、商品設計やサービス提供の場面で、生活者の実態に沿った提案を作る際に非常に役立ちます。
購買インサイト
購買インサイトとは、明確に言語化されていない心理や欲求のことです。無意識にしている行動や選択の背景にある動機を、生活者のライフスタイルや日常の行動から読み解くことができます。例えば、同じコーヒーを購入する人でも、仕事中に飲む人と、休日のリラックスタイムに楽しむ人では目的や価値観が異なるでしょう。このように、生活者が無意識に選んでいる行動を分析することで、購買インサイトを商品開発やマーケティング施策に生かすことができます。
ライフスタイルや価値観
生活者調査の特徴は、生活者全体のライフスタイルや価値観を割合や傾向として把握できる点です。例えば、「趣味に毎月〇万円以上のお金をかける層が全体の□□%を占める」「健康意識の高い層が増加傾向にある」といったデータから、生活者の考え方や行動パターンを具体的に理解できます。こうした情報をもとに、生活者の暮らしや価値観に沿った商品・サービスを提案することで、顧客満足度の向上や購買行動の促進につながります。
トレンドの変化
生活者調査を複数年にわたって継続的に実施することで、生活者の行動や価値観の変化を追跡できます。例えば、食生活や健康意識、働き方、趣味などについて調査をしたとしましょう。すると、年ごとのトレンドや社会環境の変化に応じて、ライフスタイルや行動がどのように変わっているかを把握できます。こうした変化を分析することで、トレンドの兆しを早い段階でキャッチすることが可能です。読み解いたトレンドは、商品開発の方向性やマーケティング戦略のアップデートに直接生かせます。
生活者調査のビジネス活用例
生活者調査は、使い方によってビジネスの様々な課題を解決するのに役立ちます。具体的な3つの活用例を紹介します。
生活環境・価値観の変化の把握
生活者調査を継続的に実施することで、生活環境や価値観の変化を把握できます。こうした変化を理解することは、ビジネスにとって非常に重要です。商品開発やマーケティング施策の方向性を、早い段階で生活者の実態に沿ったものに調整できるためです。
例えば、生活者調査をしたところ、少子高齢化の影響で肉より魚を好む傾向が強まっていることがわかったとします。このような場合、食品企業は肉料理よりも魚料理の商品比重を高めることで、生活者のニーズに合った商品・サービスを提供できます。その結果、満足度や購買意欲の向上につながるでしょう。
商品・サービスに対するニーズの確認
生活者調査では、生活者の実態や購買インサイトを把握できます。こうした情報は、商品やサービスに対するニーズの有無を確認するのに有効です。特に購買インサイトは生活者自身が言語化できていない欲求のため、競争力の高いアイデアを生み出すのに役立ちます。
例えば、生活者調査の結果、共働き世帯を中心に簡単に調理できる食品や時短家電への需要が高いとわかったとします。この場合、食品企業や家電メーカーはタイパ(タイムパフォーマンス)を重視した商品開発を行うことで、生活者の期待に沿った提案が可能です。その結果、売上の拡大やリピート率の増加といった成果が期待できるでしょう。
ターゲットセグメント・ペルソナ設定
生活者調査で得られるデータは、ターゲットセグメントやペルソナ設計にも活用できます。生活者の行動パターンや価値観、ライフスタイルを分析することで、具体的な人物像をイメージしやすくなるためです。その結果、商品開発やマーケティング施策の精度が向上します。
生活者調査の主な調査手法

生活者調査で成果を上げるには、目的や対象に応じた適切な調査手法を選ぶことが重要です。代表的な手法には次のようなものがあります。
- Webアンケート調査
多くの生活者から短時間で回答を収集できる調査
- グループインタビュー
複数の生活者に同時に意見を聞き、互いの発言から考えを深掘りできる調査
- デプスインタビュー
1対1でじっくり生活者の価値観や行動背景を掘り下げる調査
- ホームユーステスト
実際の家庭で商品やサービスを試してもらい、使用感や改善点を把握する調査
- 家庭訪問調査
生活者の自宅を訪問して、日常の行動や暮らしぶりを直接観察することで、リアルな生活状況を把握する調査
これらの手法を組み合わせることで、生活者の行動や価値観を多角的に捉え、より実態に即した商品開発やマーケティング施策を実現できます。
生活者調査で成果を上げるために
生活者調査は、生活者の行動や価値観、ライフスタイルを多角的に把握できる調査です。生活者の実態や購買インサイトを明らかにすることで、商品開発やマーケティング戦略など、ビジネスの様々な課題解決に役立ちます。成果を上げるには、目的に応じた調査手法の選定と適切な実行が重要です。
セルウェルでは、生活者調査の設計から実施、分析までサポートしています。商品開発やマーケティング施策の方向性にお悩みのご担当者様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

