6-3-5法(ブレインライティング)とは?30分でアイデアを量産

アイデア出しに有効な発想法と言えば、「ブレインストーミング」を思い浮かべる方も多いでしょう。ブレインストーミングは参加者が自由に意見を出し合うことで、アイデアを量産する定番の方法です。しかし、実際にしてみると「思うように意見が出なかった」という経験はありませんか。

このような場合におすすめなのは、6-3-5法(ブレインライティング)です。本記事では6-3-5法の基本知識や手順、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。6-3-5法は日本人に向いている手法と言われているので、アイデア出しに悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

Contents

ブレインストーミングの基礎知識

ブレインストーミングとは、参加者が自由に意見を出し合いながらアイデアを量産する会議手法です。その特徴は、4原則と呼ばれる以下のルールを守って、会議を進行することです。

ブレインストーミングの4原則

  • 他の意見やアイデアを非難しない
  • 質より量に集中する
  • アイデアを自由に発言できるようにする
  • アイデアをまとめる

また、短時間でアイデアを量産することを目的としているため、会議の時間は30分程度が一般的です。このような会議手法のため、「特定の参加者が多くの時間を使う」や「内向的な性格の方が意見を出してくれない」などの問題点があります。

6-3-5法とは?ブレインストーミングの欠点を軽減した発想法

ブレインストーミングの問題点の解決を目指して、1968年にドイツのベルト・ローバッハ氏が考案したのが6-3-5法です。

6-3-5法とは、特定のワークシートを使用してアイデアを量産する構想法です。名前の由来は、6人の参加者が1ラウンド当たり3つのアイデアを5分以内にワークシートに書き出す手順からきています。この手法はブレインストーミングの考え方を基盤にして、参加者が意見を交換せずにアイデアを書き出すことから、ブレインライティングとも呼ばれます。

日本人に向いている理由

日本人は内向的な性格の方が多く、そのような方は自己主張が弱く、人前で意見を発表することが苦手です。6-3-5法であれば、このような方も自由に意見を出しやすいため、日本人に向いているとされています。

6-3-5法の手順

6-3-5法を実施する前に、まずは基本的なルールと必要物品を把握する必要があります。基本的なルールは以下のとおりです。

  • 基本的なルール

参加人数:6人

アイデア数:1ラウンド当たり各自3つ

制限時間:1ラウンド当たり5分間

ラウンド回数:6ラウンド(合計30分)

また、実施する際はブレインストーミングの4原則を守ることも大前提となります。そして、スムーズな進行のために、必要物品を事前に準備しましょう。

  • 必要物品

ワークシート×6枚

ペン×6本 

これらの準備ができましたら、以下の手順で6-3-5法を実践します。

  1. テーマを用意する
  2. ラウンドを実施する
  3. ワークシートを隣に回す
  4. ラウンドを6回繰り返す
  5. アイデアをまとめる
  6. 次のステップを決める

各手順について解説します。

手順① テーマを用意する

初めの手順は、テーマを決定することです。この手順のポイントは、テーマの内容を具体的に設定することです。例えば、「新商品のアイデア出し」という漠然としたものではなく、「20代の男性が必要としている製品やサービスのアイデア出し」などのようにします。

手順② ラウンドを実施する

次は、第1ラウンドの実施です。ワークシートを6名の参加者に配布し、5分間の時間を設け、各自がワークシートの1列目に3つのアイデアを書き出します。アイデアは文章だけではなく、図示することも可能です。

手順③ ワークシートを隣に回す

ラウンドを終えると、ワークシートを隣に回します。

手順④ ラウンドを6回繰り返す

6-3-5法の基本的なラウンド数は6回です。6ラウンドを終えるまで、第1ラウンドと同様に3つのアイデアの書き出しとワークシートを隣に回すことを繰り返します。ただし、第2ラウンド以降はワークシートに記載されているアイデアから連想したもの(連想できない場合は新たなアイデア)を書き出します。

手順⑤ アイデアをまとめる

6ラウンドを終えると、参加者でどのアイデアが優れているかを検討します。検討方法には、参加者がそれぞれワークシートに印をつけて投票する方法や議論でまとめる方法があります。

手順⑥ 次のステップを決める

最後に、まとめたアイデアを具現化するために、次のステップを決めて完了です。

6-3-5法のメリット・デメリット

6-3-5法を効果的に活用するには、メリットとデメリットを押さえておくことが大切です。この章では6-3-5法のメリットとデメリットを解説します。

メリット① 30分で108のアイデアを量産できる

6-3-5法は5分間のラウンドを6ラウンドすることから、実施時間は合計30分です。そして、ワークシート1枚当たり18(3×6)のアイデアが記載されており、それが6枚あるので合計108のアイデアを量産できます。

メリット② ルールがシンプルでわかりやすい

6-3-5法は簡単に言えば、5分間に3つのアイデアをワークシートに記入することを繰り返す方法です。ルールがシンプルでわかりやすく、初めての方でも理解しやすいのがメリットです。説明に時間がかからないため、比較的容易に実施できます。

メリット③ 全員の参加が保証されている

ブレインストーミングでは、参加者全員が意見を発表できないこともありますが、6-3-5法は全員の参加が保証されています。仕組み上、参加者全員がアイデアを記入する必要があるためです。そのため、チームメンバーに内向的な性格の方が多い場合は、ブレインストーミングよりも6-3-5法のほうが向いていると言えます。

デメリット① アイデアを文章化・要約するのが難しい

6-3-5法のデメリットは、アイデアを文章化したり、要約したりするのが難しいことです。5分間という短時間の内に、考えをまとめて記入する必要があるためです。そのため、文章化しにくいアイデアは図示することもあります。

6-3-5法の活用例

6-3-5法は、様々な業種や用途で使用可能です。ここでは3つの活用例を紹介します。

新規事業のアイデア出し

製品ライフサイクルが早まっている現代において、企業の成長のためには新規事業の開発が重要です。しかし、「新規事業のアイデアはなかなか思い浮かばない」という方もいらっしゃるでしょう。6-3-5法であれば、確実に複数のメンバーからアイデアが出るので、これまでにはない発想で新規事業を検討できます。

課題の解決案の模索

6-3-5法は、企業や組織が抱える課題の解決案の模索に役立ちます。複数人から意見が出ることで、多角的な視点から課題を検討できるためです。企業や組織の課題を解決することで、離職率低下などの効果も期待できます。

マーケティング戦略の立案

6-3-5法を活用することで、マーケティング戦略の立案が可能です。ターゲット層に近い属性のメンバーを選定することで、タッチポイントやキャンペーン内容など、ターゲット層の実情に沿った効果的な戦略を検討できるためです。

6-3-5法で新たなアイデアを量産しよう

6-3-5法はブレインストーミングの一種で、30分で108のアイデアを量産できます。また、全員が必ず参加できるのがメリットです。ブレインストーミングで活発に意見交換ができない場合は、6-3-5法の活用を検討してみてはいかがでしょうか。