ブレインストーミングとは?意味や4原則、やり方を徹底解説

ブレインストーミングは、新規事業や新商品のアイデアを創出する際に役立つ会議の手法です。日本ではビジネスシーンでもよく聞かれる言葉です。しかし、この手法で効果を挙げるには、ルールを守ることやり方がポイントになります。本記事では会議の質を向上させたいビジネスパーソンに向けて、ブレインストーミングの意味や4原則、やり方をわかりやすく紹介します。

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ブレインストーミングとは

ブレインストーミングとは、多くのアイデアを創出することを目的に、複数人で自由に意見を出し合う会議の手法です。日本では「ブレスト」や「BS法」と呼ぶこともあります。アメリカのアレックス・F・オズボーン氏によって開発され、1942年に同氏の著書「How To Think Up」で紹介されました。

ブレインストーミングの4原則

ブレインストーミングは自由に意見を出し合いますが、守るべき4原則があります。特に、「他の意見やアイデアを批判しない」が重要で、これにより参加者が意見を発表しやすい雰囲気を作れるためです。この章では、4原則について紹介します。

原則① 他の意見やアイデアを批判しない

1つ目の原則は、他の参加者の意見やアイデアを批判しないことです。参加者は批判されると思うと、意見を出すのをためらう可能性があるためです。また、同時にアイデアの良し悪しや実現可能性の判断なども同じ理由により避けましょう。

原則② 質より量に集中する

2つ目の原則は、質より量に集中することです。決められた時間の中でより多くの意見を出すことに集中することが、成功のポイントです。

原則③ アイデアを自由に発言できるようにする

3つ目の原則は、参加者が自由に発言できるようにすることです。これまでにはなかった新たなアイデアやアプローチを思いつくきっかけとなることもあるため、奇抜なアイデアや個性的なアイデアを歓迎しましょう。

原則④ アイデアをまとめる

4つ目の原則は、出されたアイデアをまとめたり、組み合わせたりして改良できないかを検討することです。異なるアイデアを混ぜることで、新しいアイデアの発見につながることもあります。

ブレインストーミングの4つのメリット

ブレインストーミングは、新規事業や新製品のテーマ、事業改善などのアイデアを出すのに向いています。同手法がアイデア出し方法として人気なのは、複数のメリットがあるためです。ここでは、4つのメリットについて紹介します。

メリット① 柔軟なアイデアを出せる

ブレインストーミングは、柔軟なアイデアを出せるのがメリットです。複数人が自由な意見を出し合うことで、それらの意見に触発されてこれまでになかったアイデアを思いつくこともあるためです。そのため、一人ではなかなか思いつかないアイデアを出せるのがメリットと言えるでしょう。

メリット② チームの一体感を得やすい

4原則により、ブレインストーミングは他の参加者への批判が禁止されています。そのため、意見を出しやすく、チームの一体感を得やすいのがメリットです。また、批判されないことから心理的安全性を感じやすく、参加者同士の信頼関係の強化にもつながります。

メリット③ 多角的なアプローチができる

参加者はそれぞれ背景が異なるため、同じテーマであっても思いつくアイデアが異なります。複数の参加者が多くの意見を出し合うことで、多角的な視点からアプローチできるのがブレインストーミングのメリットです。

メリット④ 参加者の成長につながる

ブレインストーミングは、参加者の成長を促すというメリットもあります。なぜなら、他の参加者と意見を交換することで、参加者自身が新たな考え方を取り入れることができるためです。

ブレインストーミングのやり方・手順

ブレインストーミングで会議を成功に導くためには、アイデアを話し合う前後の準備やまとめが重要です。そこで、この章ではブレインストーミングのやり方を9つの手順で紹介します。

手順① テーマや問題を定義する

1番目の手順は、議題に挙げるテーマや問題を定義することです。「売上拡大に向けて、新規顧客獲得のアイデア出し」のように、テーマは具体的に議論する内容を明確にすることが大切です。また、話し合う内容を明確にすることで、話題が脱線して時間を浪費するのを防ぐ効果も期待できます。

手順② 司会進行役を決定する

2番目の手順は、司会進行役の決定です。ブレインストーミングにおいて、司会進行役は重要な役割を果たすためです。具体的に司会進行役は、4原則を守りつつ、意見を出しやすい雰囲気づくりに努める必要があります。さらに、アイデアの量を増やすために、スムーズな進行が求められます。

手順③ 参加者を選定する

3番目の手順は、参加者の決定です。参加者を選ぶ際のポイントは、多様な背景を持つメンバーを選定することです。具体的には年齢や性別、部署、経験、ポジションなどが異なるメンバーを集めることで、多角的な視点からアプローチできます。

手順④ 必要物品を揃える

4番目の手順は必要物品の準備です。スムーズに進行するために、以下の物品を用意します。

  • 付箋
  • ペン
  • ホワイトボード
  • いす

また、発言しやすい環境を整えるために、会議室も手配します。机の大きさやレイアウト、会議室の広さなどを考慮することも大切です。

さらに、和やかな雰囲気を演出したい場合は、お菓子や飲み物を用意することも検討しましょう。

手順⑤ 参加者に4原則を説明する

5番目の手順は、参加者に4原則を説明することです。初めてブレインストーミングに参加する方もいるかもしれませんし、慣れてくるとルールが曖昧になる方もいるためです。ブレインストーミングの成功を左右するので、参加者に必ず理解してもらいましょう。

手順⑥ 制限時間を設定する

6番目の手順は、制限時間の設定です。一般的に1回当たりの時間は30分程度です。これ以上長く実施する場合は、参加者の集中力が低下しないように休憩を挟むなどの対策をしましょう。

手順⑦ 時間内にアイデアを量産する

7番目の手順は、参加者が話し合って、時間内にアイデアを量産することです。出されたアイデアは付箋に書き出してホワイトボードに貼り付け、参加者全員でアイデアを共有します。

ただし、ブレインストーミングを実施しても、なかなか意見が出ないときもあるでしょう。そのような場合は、6-3-5法に切り替えることを検討してください。6-3-5法は、アイデアを発言せずにワークシートに書く手法で、意見を発表するのが苦手な方にも取り組みやすいのが特長です。

参考:6-3-5法(ブレインライティング)とは?30分でアイデアを量産

手順⑧ アイデアをまとめる

8番目の手順は、アイデアをまとめる作業です。具体的には、付箋に書かれたアイデアをカテゴリやレベル別にまとめて、グループ分けをします。このようにしてアイデアを整理・可視化することで、次のステップを議論しやすくなります。

アイデアをまとめる際は、MECEの考え方を取り入れましょう。MECEは「漏れなく、ダブりなく」という意味で、この考えを取り入れることで、検討漏れや重複した内容を議論するのを防げるためです。

参考:MECE(ミーシー)とは?考え方を図でわかりやすく紹介

手順⑨ 次のステップを決める

9番目の手順は、次のステップを決めることです。気づきをもとにアイデアを選定し、次にすべきことを決定します。

ブレインストーミングのありがちな失敗例

ブレインストーミングは、やり方を間違えると失敗の可能性が高まります。ここでは、ありがちな失敗例と対策を紹介します。

失敗例① 大人数で会議を行う

1つ目のありがちな失敗例は、参加人数が多すぎて全員が発言する時間がなくなることです。そのようなミスを防ぐために、参加人数は3人~10人程度にします。

失敗例② テーマから脱線して時間を浪費する

2つ目のありがちな失敗例は、テーマから話題が脱線して時間を浪費することです。そのため、テーマから大きく脱線した場合は、軌道を修正するようにしましょう。

失敗例③ 制限時間が長すぎる

3つ目のありがちな失敗例は、より多くのアイデアを生み出そうとして、制限時間を長くすることです。制限時間が長すぎると、参加者の集中力が切れてしまい、逆効果になることがあるので注意が必要です。短時間に設定するか、休憩を挟むなどの対策をしましょう。

失敗例④ やりっぱなしにする

4つ目のありがちな失敗例は、やりっぱなしにすることです。次のステップにつなげられないと、アイデアを量産しても意味がないためです。やりっぱなしにならないように、会議の終盤ではアイデアをまとめて、次のステップを決めるようにしましょう。

失敗例⑤ 参加者同士の力関係が大きすぎる

5つ目のありがちな失敗例は、参加者同士の力関係が大きすぎることです。力の差が大きいと、立場の弱い参加者が遠慮して発言しにくいためです。また、立場の強い参加者のアイデアを「あの人が言っているなら間違いない」といったように、先入観を持って見てしまう可能性もあります。このような失敗を避けるには、参加者を選定する際に力関係の差が大きくなりすぎないように配慮しましょう。

新規事業のアイデア出しに活用しよう

ブレインストーミングは、複数人で意見を出し合いながら短時間でアイデアを量産する会議の手法です。新規事業や事業改善、新製品のアイデア出しによく利用されています。さらに、チームの一体感の強化や参加者の成長など、副次的な効果も期待できます。アイデア出しに悩んでいるビジネスパーソンは、この機会にブレインストーミングを取り入れてみてはいかがでしょうか。