
BtoBマーケティング業界では、デジタル施策やAI活用による効率化が進んでいます。その結果、リード数が獲得しやすくなりました。しかし、商談数がその伸びに追いついていないケースも少なくありません。このギャップは構造的な課題に起因していることが多く、改善することで成果を大きく引き上げられる可能性があります。
そこで本記事では、リードは増えているのに成果が伸びない理由や商談につなげるための具体的な解決策を解説します。
なぜBtoBでリードは増えているのか
近年、多くのBtoB企業で「リードは順調に増えている」という状況が見られます。この背景には、主に3つの変化があります。
①デジタル施策の普及
コンテンツマーケティング、Web広告、ウェビナー、ホワイトペーパーなど、オンラインでのリード獲得手法が広く普及しました。その結果、リード獲得のハードルは下がり、多くの企業が成果を出すようになっています。
②AI活用によるマーケティングの効率化
AIの進化により、広告運用の最適化やコンテンツ生成などを効率的に行えるようになりました。その結果、これまでリソース不足で取り組めなかった企業でもリードを獲得しやすくなっています。
③情報収集プロセスの変化
購買担当者の情報収集は、対面からオンラインへとシフトしています。検討の初期段階からWebで情報収集が行われるようになり、企業側もオンラインでリードを獲得しやすい環境になっています。
リードは増えているのに商談が増えない構造的な課題

リード数が増えているにもかかわらず商談や受注につながらない背景には、4つの構造的な課題があります。
リードの質のばらつきが増加
デジタル施策の普及により、リードの「量」は増えましたが、その一方で「質」のばらつきも大きくなっています。例えば、ホワイトペーパーをダウンロードしたリードの中にも、次のような質のばらつきがあります。
- 課題が明確で、すぐにでも解決方法を検討したい担当者
- 課題意識はあるものの、まだ情報収集段階の担当者
- 将来的な参考として、とりあえず資料をダウンロードした担当者
- 競合比較の一環で資料を取得した担当者
このように、同じ「リード」でも温度差があります。その結果、まだ検討段階にないリードにアプローチしても、「反応が薄い」「商談につながらない」といった状況が生まれます。
検討プロセスの変化
インターネットやコンテンツマーケティングの普及により、顧客の検討プロセスは変化しています。以前は、営業担当者が重要な情報源であり、接点を持つ段階で一定のニーズが顕在化しているのが一般的でした。
しかし現在は、顧客自身がWeb上で情報収集を行い、比較検討から選定、場合によっては最終候補の絞り込みまでを進めるようになっています。その結果、同じ「リード」でも、検討プロセスに大きな差が生まれています。例えば、次のような違いです。
- 情報収集を始めたばかりで、課題整理をしている担当者
- 複数のサービスを比較し、選定を進めている担当者
- すでに最終候補まで絞り込み、導入直前の担当者
このように、異なる検討プロセスのリードが混在しているため、商談化の難易度が高くなっています。
ナーチャリングの不足
リードの質や検討プロセスにばらつきがある中、重要なのはナーチャリング(顧客育成)です。しかし、多くの企業ではリード獲得に注力する一方、十分に取り組めていないケースも少なくありません。例えば、次のような状態に陥っているケースが見られます。
- リード獲得後に一度メールや電話をするだけで、その後の接点がない
- すべてのリードに同じ内容のメールを送信している
- 一定期間反応がないリードを放置している
こうした状態では、せっかく獲得したリードも関心が徐々に薄れてしまいます。
ナーチャリングの目的の一つは、リードの検討フェーズに応じて適切な情報を提供し、関心を高めることで商談や成約につなげることです。このプロセスが十分に設計・実行されていない場合、「リードは獲得できているのに商談につながらない」という状況が生まれます。
マーケティング部門と営業部門の分断
商談数が伸びない背景の一つは、マーケティング部門と営業部門の分断です。
多くの企業では、マーケティング部門はリード数、営業部門は成約数や売上など、それぞれ異なるKPIで評価しています。その結果、同じリードに対しても評価基準が異なり、次のような認識のズレが生まれやすくなります。
マーケティング部門:「リードは十分に供給しているのに、活用されていない」
営業部門:「成約につながる質の高いリードが少ない」
このような状態ではリードの扱いが部門ごとに分断され、最適なアプローチが行われず、商談につながる可能性の高いリードも取りこぼしてしまいます。この分断が、商談化を阻むボトルネックとなっているのです。
BtoBマーケティングの構造的な課題への解決策

リードを効率的に商談や受注につなげるためには、プロセス全体の最適化が不可欠です。ここでは、その実現に向けた4つの解決策を解説します。
リードスコアリングの導入
まずは、リードの質を見極めるために、リードスコアリングを導入します。リードスコアリングとは、リードの購買意欲や関心度を数値化し、優先順位を明確にする手法です。例えば、次のような要素をもとに評価を行います。
- Webサイトの訪問回数や滞在時間
- 資料請求の有無
- 所属業界や役職などの属性情報
- セミナーやイベントへの参加状況
これらのデータをもとにスコアリングすることで、質の高いリードを抽出できます。その結果、営業部門は「アプローチすべきリード」に集中できるようになり、効率的に商談数を増やすことが期待できます。
検討プロセスに合わせたコンテンツ設計を行う
次に重要なのは、リードの検討プロセスに応じたコンテンツ設計です。すべてのリードに同じ情報を提供するのではなく、検討段階に応じて最適なコンテンツを届けることがポイントです。例えば、次のような設計が考えられます。
- 認知段階:課題を喚起する記事やホワイトペーパー
- 理解段階:導入事例や活用事例
- 検討段階:サービスの特徴や他社比較
このように検討プロセスごとに適切な情報を提供することで、リードの関心を段階的に引き上げることができます。その結果、商談につながる確率が高まります。
ナーチャリングの推進
より多くのリードを商談につなげるためには、ナーチャリングの推進が不可欠です。具体的には、次のような施策があります。
- メルマガ配信による定期的な接点づくり
- セミナーやウェビナーの開催
- 関心に応じたコンテンツの提供
- リターゲティング広告の活用
これらの施策を通じて接点を維持することで、リードの関心や検討度を高めることができます。その結果、これまで商談につながらなかったリードにもアプローチできるようになり、商談の機会を増やせます。
マーケティング部門と営業部門の連携強化
最後に重要なのは、マーケティング部門と営業部門の連携強化です。リードを商談につなげるためには、両部門が同じ基準でリードを扱う必要があります。例えば、次のような取り組みが有効です。
- どの状態のリードを営業に引き渡すかの基準を明確にする
- アプローチのタイミングや方法をルール化する
- MAやSFAなどのマーケティング・営業ツールを活用する
これらを実行することで、リードの扱いに一貫性が生まれ、取りこぼしを防ぐことができます。また、デジタル技術やAIの活用により、部門間の情報共有や連携はこれまで以上にしやすくなっています。こうした技術を活用することも検討しましょう。
まとめ
リード獲得の手法が広がったことで、BtoBマーケティングにおいてリードを増やす難易度は下がりました。しかしその一方で、「リードは増えているのに商談につながらない」という新たな課題が顕在化しています。
この課題を解決するためには、次のような取り組みが有効です。
- リードスコアリングの導入
- 検討プロセスに応じたコンテンツ設計
- ナーチャリングの推進
- マーケティング部門と営業部門の連携強化
これらを通じて、BtoBマーケティングのプロセス全体を最適化することが成果を高めるポイントです。
セルウェルでは、各種調査による現状分析や課題の抽出、施策の立案・実行など幅広い支援を提供しています。「リードは増えているが商談につながらない」「商談化率を改善したい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

