
2024年12月19日、Amazonは地域活性化と中小企業支援を目的に「Amazonふるさと納税」を開始しました。このサービスの強みは、返礼品を最短で翌日に配送できる点です。これまでのポータルサイトにはない強みであることから、注目を集めています。本記事ではビジネスチャンスを探しているビジネスパーソンに向けて、Amazonふるさと納税に出品するメリットと登録手順をわかりやすく解説します。
Contents
ふるさと納税とは
ふるさと納税は、「生まれ育ったふるさと」や「応援したい自治体」に寄付できる制度です。寄付を受けた自治体は、収入が増えることで公共サービスを充実できます。寄付者は、その自治体と関係の深い商品やサービスを返礼品として受け取れます。つまり、自治体と寄付者の両者にとってメリットのある制度です。
ふるさと納税の市場規模
さらに、寄付額のうち2,000円を超える金額については、住民税の控除や所得税の還付が受けられます。寄付者は税金の優遇措置を受けながら返礼品を受け取れるため、ふるさと納税はお得な制度として人気があります。
ふるさと納税は2008年(H20年)に始まった制度で、初年度の寄付額は81億4,000万円でした。それが、2024年度(R5年度)には1兆1,175億円に達し、15年で市場規模が137倍に拡大しました。以下のグラフはふるさと納税受入額と件数の推移を示したものです。

出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和6年度実施)」
グラフを見ると、ふるさと納税の寄付額・寄付件数は年々増加傾向にあることがわかります。このことから、ふるさと納税は広く認知され、お得な制度として多くの人に支持されていると言えるでしょう。
事業者がふるさと納税に参入する理由
事業者がふるさと納税に参入する主な理由は、次の恩恵を受けられるためです。
- 市場規模の拡大によるビジネスチャンスの増加
- 自社製品の露出の増加による認知度の向上
- 新規顧客の獲得とリピーターの育成
- 地域貢献による企業イメージの向上
ふるさと納税への出品は事業拡大やブランディングに貢献するため、民間企業にとって大きなビジネスチャンスと言えます。
Amazonふるさと納税とは

出典:Amazonふるさと納税
Amazonふるさと納税は、Amazonが提供するふるさと納税のプラットフォームです。寄付者はAmazonのサイト上で手軽に寄付を行い、返礼品を選ぶことができます。その特徴は以下のとおりです。
- 迅速な配達:Amazonの物流ネットワークにより、返礼品を最短で翌日に配達できる。
- 高い利便性:普段使っているAmazonアカウントを用いて、買い物感覚で寄付できる。
- 豊富な返礼品:取り扱っている返礼品は約30万件で、寄付者はその中から好きな返礼品を選択できる。
- ポイント還元:寄付額に対してAmazonポイント・dポイントが還元される。
※ただし、2025年10月以降は制度の変更により、ポイント還元が禁止される予定です。
Amazonふるさと納税は、ふるさと納税のポータルサイトの中では後発組です。しかし、これらの特徴によって大きな注目を集めています。
Amazonふるさと納税に出品するメリット
Amazonふるさと納税では、参加している自治体が返礼品をAmazonに登録することで、寄付者はその中から返礼品を選択できます。このようにして、自社製品やサービスをAmazonふるさと納税に出品すると、先に紹介した一般的なふるさと納税の恩恵に加えて、次の2つのメリットを得られます。
6,724万人のAmazon会員にアプローチできる
Amazonふるさと納税に自社製品を返礼品として出品するメリットは、膨大な数のAmazon会員にアプローチできる点です。ニールセンの調査によると、2024年5月時点でAmazonの国内利用者数は6,724万人に達し、国内のオンラインモールの中で1位を獲得しました。これほど多くの会員が登録しているAmazonに返礼品を出品することで、広範囲の顧客層にリーチできます。その結果、これまで接点のなかった顧客への露出が増加し、新規顧客の獲得につながるでしょう。
参考:ニールセン「ニールセン、デジタルコンテンツ視聴率のMonthly Totalレポートによるオンラインモールジャンルの利用状況を発表」
FBA(フルフィルメント by Amazon)を利用できる
Amazonふるさと納税では、Amazonの物流ネットワークを活用したFBA(フルフィルメント by Amazon)を利用できます。FBAは商品の注文、配送、カスタマーサービスなどをAmazonが一括して代行するサービスです。
FBAを利用することで、注文から配送までの時間を大幅に短縮できます。返礼品を事前にAmazonの倉庫に送ることで、注文が入るとすぐに配送作業を行えるためです。これにより、Amazonふるさと納税では最短で翌日のお届けが可能です。迅速な配送は、寄付者の顧客満足度の向上につながり、リピーターやファンの獲得が期待できます。
ふるさと納税返礼協力品事業者の登録手順

Amazonふるさと納税に自社商品を返礼品として出品するには、自治体のふるさと納税返礼品協力事業者に登録する必要があります。ここでは登録手順について解説します。
手順① 自治体のホームページで募集要項を確認
始めの手順は、自治体のホームページでふるさと納税返礼品協力事業者の募集要項の確認です。募集は各自治体で行っていますが、募集期間が終了している場合や募集を停止している場合があるためです。もしホームページで確認できない場合は、自治体の担当部署に直接確認しましょう。
手順② 募集条件に当てはまるかを確認
次に、募集要項に記載の募集条件を満たしているかを確認します。例えば、以下のような条件が設けられていることがあります。
- 各種法令規則等に沿った生産・製造・販売を行っていること。
- 事業所や工場などが地域内にあること。
- 要件を満たす返礼品を準備できること。
手順③ 自治体に登録を申請
募集条件を満たしていることを確認したら、必要事項を記入した申請書を自治体に提出します。すると、自治体で申請内容の審査が行われ、審査に通過すればふるさと納税返礼品協力事業者に登録されます。
手順④ 返礼品の登録と契約の締結
次は、返礼品の登録手続きです。自治体と返礼品の提供に関する契約を締結すると登録完了です。
手順⑤ 自治体がふるさと納税ポータルサイトに返礼品を登録
最後に、自治体が返礼品をふるさと納税ポータルサイトに登録します。ただし、ふるさと納税のポータルサイトへの掲載順序は自治体が決定します。そのため、事業者側で掲載するポータルサイトを指定できない場合があるので注意しましょう。
Amazonふるさと納税の活用を検討しよう
ふるさと納税の寄付額は、2024年度に初めて1兆円を突破したように、増加傾向にあります。そのような中、サービスを開始したのがAmazonふるさと納税です。同サービスの強みは、最短で翌日に配送できることです。
これまでのふるさと納税にはなかった価値が提供されることで、新たな顧客を取り込み、市場規模がさらに拡大する可能性があります。返礼品として自社製品を出品していないのであれば、この機会にAmazonふるさと納税の活用を検討してみてはいかがでしょうか。