「仕事に対するモチベーションが低下している」や「職場の人間関係で悩んでいる」というビジネスパーソンはいませんか。このような悩みには、リフレーミングが有効です。リフレーミングは別の視点から物事や状況を捉えることで、気持ちを前向きにしたり、人間関係を円滑にしたりするのに役立ちます。本記事ではビジネスパーソンに向けて、リフレーミングの意味やメリット・デメリット、ビジネスにおける活用法を紹介します。
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リフレーミングとは
リフレーミングとは、物事や状況の枠組み(フレーム)を組み直すという意味で、物事や状況を別の視点から見つめることを指す用語です。代表例は、コップの中に半分の水が入っている場合の捉え方の違いです。一部の人は、「もう半分しかない」と感じる状況ですが、捉え方によっては「まだ半分ある」とも言えます。このように、ネガティブに感じる状況であったとしても、視点を変えることで前向きに捉えられるのがリフレーミングの特長です。
リフレーミングとポジティブシンキングとの違い
リフレーミングとポジティブシンキングは、どちらも前向きになるという意味で似ていますが、正確には違いがあります。ポジティブシンキングは、前向きに物事を考える思考方法で、リフレーミングは、物事や状況の捉え方を変えることでアプローチする方法です。つまり、リフレーミングとポジティブシンキングの違いは、視点を変えるかどうかです。
リフレーミングの種類
リフレーミングの種類は、重視する枠組みにより「状況のリフレーミング」と「内容のリフレーミング」の2つに分類されます。それぞれの違いについて解説します。
種類① 状況のリフレーミング
状況のリフレーミングとは、自分が置かれている状況や出来事に対して枠組みを変えることで、ポジティブな感情や反応に変えることです。例えば、プロジェクトが失敗した場合に「自分の能力不足」もしくは「自分にこの仕事が向いていないのでは?」と捉えて、ストレスを感じる人もいるでしょう。しかし、視点を変えて「難易度の高い仕事を任せられるほど信頼されている」と感じられれば、次は「どのようにしたら成功できるか」などのように気持ちを前向きにできます。
種類② 内容のリフレーミング
内容のリフレーミングとは、性格や経験、悩みなどの内面に関する枠組みを変えることです。状況のリフレーミングが状況に焦点を当てるのに対して、内容のリフレーミングは物事の内面や本質に着目し、その部分を別の解釈に置き換える手法です。例えば、同僚との関係性がぎくしゃくした場合、「自分が嫌われているのでは?」と感じるとますます疎遠になるでしょう。そこで、「同僚が仕事でストレスを抱えているかもしれない」などのように置き換えることで、関係性の悪化を防ぐことができます。
リフレーミングのメリット・効果
ビジネスシーンにおいて壁に突き当たったり、強いストレスを感じたりするときは、視点を変えることで乗り越えられることが珍しくありません。そのため、リフレーミングはビジネスを円滑に進めるための1つのテクニックと言えるでしょう。ここでは、リフレーミングの4つのメリット・効果について解説します。
メリット① モチベーションの向上
リフレーミングは、ネガティブな物事や状況が発生してもポジティブに捉え直すことで、モチベーションの向上が期待できます。例えば、難易度の高い仕事を任された場合、自分には困難な仕事と諦めるのではなく、「新しいチャレンジができる」や「成長できる機会」と捉えることで仕事への熱意が湧くでしょう。すると、パフォーマンスも向上し、結果的に個人のキャリアアップや会社の成長にもつながります。
メリット② 人間関係の円滑化
リフレーミングは、職場の人間関係の円滑化にも役立ちます。例えば、同僚から厳しい意見を受けたとき、「批判された」や「否定された」と感じてしまうかもしれません。このような負の感情は、人間関係を悪化させる要因になります。そこで、「自分を成長させるためにあえて厳しいアドバイスをしている」と捉え直すことで、負の感情がなくなり、人間関係を良好に保つことができます。
メリット③ ストレスの緩和
リフレーミングは、プレッシャーやストレスを感じる場面においても有効です。プロジェクトの途中で予期しない問題が発生しても、「失敗した」と思うのではなく、「学ぶ機会」と捉え直すことでストレスを緩和できるためです。これにより、イライラや焦りが抑えられ、冷静な判断がしやすくなります。
メリット④ 課題解決力の向上
リフレーミングは、課題解決力の向上にも役立ちます。様々な視点から物事や状況を見直すことで、新しい解決方法を模索できるためです。また、粘り強く課題に取り組むことで、諦めずに実現する精神力も養われます。そのため、リフレーミングはアイデアの創出に加えて、精神的な意味でも課題解決力の向上に貢献します。
リフレーミングのデメリット・注意点
リフレーミングは多くのメリットがある一方で、使い方を誤ると反対に自分の成長を阻害する要因にもなりかねません。そのため、実施する際はデメリット・注意点についても押さえておきましょう。
デメリット① 本質を見失う可能性がある
リフレーミングは活用しすぎると、問題の本質を見失う可能性があります。本来は自分に反省すべき点があったとしても、ポジティブに捉え直すことで見逃してしまうことがあるためです。そのため、リフレーミングを実施する際は、事実を歪めて解釈しないことが大切です。
デメリット② 失敗から学ばない可能性がある
リフレーミングを活用すると、失敗も前向きに捉えられるようになります。しかし、「失敗してもいい」と考えるようになると、問題点などを反省しなくなるかもしれません。それでは自分の成長につながらないので、「何が問題だったのか」や「どのように改善するのか」など、失敗から学ぶ姿勢が大切です。
ビジネスシーンのリフレーミングの活用例
この章では、リフレーミングの使い方の参考として、ビジネスシーンにおける活用例を紹介します。
活用例① 人材育成
リフレーミングが役立つビジネスシーンは人材育成です。具体的には、部下が期待する成果を上げられない場合、リフレーミングを活用して人材育成方法の視点を変えます。例えば、先輩社員に対して質問が少ないのであれば、「やる気がない」と断じてしまうのではなく、「先輩社員が忙しそうで声をかけにくいのではないか」と疑問を持つことです。すると、よりコミュニケーションをしやすい環境を構築した上で、人材育成をするといった対策が考えられます。このように、リフレーミングを活用することで、より効果的な人材育成ができます。
活用例② 新商品の開発・新規事業のアイデア出し
リフレーミングが役立つビジネスシーンは、新商品の開発や新規事業のアイデア出しです。なぜなら、リフレーミングを活用することで、これまでにはなかったアイデアが生まれる可能性があるためです。このように、様々な視点から捉え直すことは、マーケティングの強化にも役立ちます。
活用例③ プロジェクトの推進
プロジェクトの推進において、トラブルや失敗はつきものです。そこで、リフレーミングが役立ちます。リフレーミングにより、個人だけではなく、チーム全体でプロジェクトに前向きに取り組めるようになるためです。
リフレーミングを実践してみよう
リフレーミングは、様々なビジネスシーンで活用できる思考法です。ストレスを緩和したいときやモチベーションを高めたいときだけではなく、新規事業のアイデア出しにも活用できます。結果として、企業の競争力を高めることにもつながるので、この機会にリフレーミングを実践してみてはいかがでしょうか。