マイクロマネジメントから脱却しよう!意味や具体例、デメリットを解説

「離職率が高い」や「人材が成長しない」など、このようなお悩みを抱えている管理職は多いでしょう。その原因は、マイクロマネジメントと呼ばれる部下に対するマネジメント手法かもしれません。

短期的には有効な手法ですが、長期的には人材の成長を阻害し、モチベーションを低下させるためです。本記事では部下の育成方法に悩む管理職に向けて、マイクロマネジメントの具体例やメリット・デメリット、脱却するための対策方法を紹介します。

Contents

マイクロマネジメントとは

マイクロマネジメントとは、部下の行動に対して細かすぎる管理や指導を実施するマネジメント手法です。具体例は以下のとおりです。

  • 業務の進捗状況を30分単位で報告させる
  • 業務はすべて指示通りにすることを強要する
  • 電話のかけ方や内容を盗み聞きして指導する
  • 部下のテレワーク中はWebカメラを使い監視する
  • メールやチャットなどの返信を10分以内にするように指導する
  • メールのCCに自分を入れるように強要する

※CCとは、メールを送るときに送信先と同じ内容を共有する宛先のこと。

このような過干渉な管理手法は、部下がやる気を失うだけではなく、パワハラと感じる可能性もあります。

マイクロマネジメントをする上司の特徴

本人は丁寧に指導しているつもりでも、マイクロマネジメントになっている場合があります。気付かずに部下のやる気を奪わないために、どのような上司がしがちなのかを把握しましょう。

マイクロマネジメントをする上司の特徴は、以下のとおりです。

  • 部下の考えや意見を聞かない
  • 些細なミスでも許さない
  • 部下に仕事を任せられない
  • 独自の細かなルールを作る
  • 部下に対して言動が横柄になる

このような特徴が当てはまる上司は、自覚がないまま実践している場合もあるので注意が必要です。

マイクロマネジメントによる悪影響・デメリット

マイクロマネジメントを実践すると、部下や企業に多くのデメリットがあります。ここでは、具体的な6つのデメリットについて解説します。

デメリット① 部下のモチベーションが下がる

上司の過度な干渉は、部下が「信頼されていない」や「仕事を任せてくれない」と感じる要因です。また、自分なりの仕事の手順ややり方ができないので、ストレスも溜まります。そのような中、些細なミスで執拗に責められれば、モチベーションが著しく低下するでしょう。従業員のモチベーションの低下は、部署及び全体の生産性を低下させるため、企業にとってもデメリットと言えます。

デメリット② 主体性のある人材が育たない

部下は自分の意見を聞いてもらえず、上司の指示通りに仕事をこなすように求められるため、指示待ち人間になってしまいがちです。また、自分の考えを実践したとしても、細かなミスで叱責されてしまうと、上司の指示以外のことができなくなってしまいます。このような要因により、主体性のある人間を育成できないのがマイクロマネジメントのデメリットです。

デメリット③ 部下が成長する機会を失う

マイクロマネジメントのデメリットは、部下が成長する機会を失ってしまうことです。部下が自分の考えを実践し、そこから何が良かったのか、あるいは何が悪かったのかなど、経験を得られないためです。成功体験を蓄積できないことから、部下のキャリア形成を阻害する要因にもなります。

デメリット④ 部下の心身への悪影響

過度な干渉や細かすぎる指導は、部下を肉体的・精神的に追い込んでしまいます。例えば、長時間に及ぶ説教や執拗な進捗状況の確認などです。このような上司の行動は、部下の心身へ悪影響を及ぼし、心身の不調により仕事ができなくなるかもしれません。また、このように心身に悪影響がでるほど追い込んだ場合は、パワハラとして訴訟されるリスクがある点にも注意が必要です。

デメリット⑤ 離職率が高くなる

企業への悪影響として看過できないのは、離職率が高くなることです。モチベーションが下がった状態で、心身に大きな負担がかかれば離職を選択する従業員が増えるためです。多くの業界で人材不足が叫ばれる中、人材が流出すると企業の競争力の低下を招く恐れがあります。

デメリット⑥ 上司としての役割を果たせなくなる

マイクロマネジメントをしている上司本人にもデメリットがあります。それは、自分が部下のすべき業務内容の指示や監視に注力するあまり、自分が求められている役割を果たせなくなることです。上司は本来、チームや部署全体を俯瞰した上で、成果を出すための戦略や方針を検討して決定することが役割です。このような重要な役割を疎かにすると、チームや部署全体の生産性が低下します。

マイクロマネジメントの利点・メリット

先に紹介したように多くのデメリットのあるマイクロマネジメントですが、短期的に使うのであれば、場合によってメリットがあります。

具体的には、入社した新人社員を指導する場合です。部下が何をすればいいか全く理解していない場合は、手取り足取り教える必要があるためです。

また、スケジュールや仕事の進め方を上司に管理してもらったほうが安心という方もいます。このような部下であれば、マイクロマネジメントが有効な場合もあります。

ただし、このような場合でも行き過ぎた干渉は逆効果のため、注意が必要です。

マイクロマネジメントから脱却するための対策

部下のモチベーションを高め、主体性のある人材を育成するためには、マイクロマネジメントからの脱却が必要です。ここでは、具体的な3つの対策方法を紹介します。

対策方法① 進捗状況の報告のルールを見直す

頻回な進捗状況の報告は、マイクロマネジメントにつながる大きな要因です。まずは進捗状況の報告のルールを見直してみましょう。

具体的には、報告の回数を減らします。また、あらかじめ報告のタイミングを設定しておくのもポイントです。そうすることで、部下は自分なりのスケジュールを組んで仕事ができるためです。

この際、部下の仕事が遅延しても全体のスケジュールに影響がでないように、クリティカルパスを把握した上で報告のタイミングを決めるようにします。※クリティカルパスとは、プロジェクトを最短時間で完了するための作業経路のこと。

対策方法② オープンクエスチョンを使う

部下とのコミュニケーション方法においても対策ができます。具体的にはオープンクエスチョンを使用して、部下の意見を聞き出すことです。

オープンクエスチョンは、「はい」や「いいえ」で答えられない質問のことです。例えば、「この件について、どのように思いますか?」や「今週のスケジュールはどのような予定ですか?」などです。

部下が意見を述べる機会を意図的に作ることは、主体性のある人材の育成につながります。

対策方法③ 部下に仕事を任せる

マイクロマネジメントから脱却するための対策は、部下と達成すべき目標や目的を共有したら、やり方やスケジュールは部下に任せることです。また、事あるごとに上司に判断を仰がなくてもいいように、ある程度の裁量を認めることも大切です。部下が経験を積むことで、成長も期待できます。

マイクロマネジメントから脱却しよう

マイクロマネジメントは、部下に対して事細かに行動や仕事の進め方を管理するマネジメント手法です。悪影響が大きくほとんどの場合、部下のモチベーションの低下や離職率を高める要因となります。

人材育成に力を入れた管理者は、まずマイクロマネジメントをしていないかを確認してください。もしも、しているようであれば脱却することから始めてみましょう。