配送マッチングサービスとは?企業が利用するメリット・デメリット

物流業界は、2024年問題によりトラックドライバー不足が深刻化しています。実際に帝国データバンクによると、2024年度上半期において、人手不足による運輸・通信業の倒産件数は23件もありました。

このように、トラックドライバーが不足しているため、自社の配送リソースの減少や、配送業者の手配に苦労している担当者もいるでしょう。

そこで注目されているのが配送マッチングサービスです。

今回はビジネスパーソンに向けて、配送マッチングサービスの概要や企業が利用するメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

※物流の2024年問題とは、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の上限が960時間に定められたことで、人手不足が深刻化する問題のことです。

Contents

配送マッチングサービスとは

配送マッチングサービスとは、インターネット・GPS・スマートフォンなどの技術やそれらからの情報を活用して、荷主と配送会社やトラックドライバーをつなぐサービスです。

マッチングの主な流れ

一般的な配送マッチングサービスにおいて、荷主と配送業者やトラックドライバーをマッチングする流れは以下のとおりです。

1. サイトやアプリに登録する

2. 荷主が荷物の内容、集荷場所、配送先、配達日時を入力する

3. 近くにいる配達業者や配達ドライバーが依頼を受ける

4. 配達ドライバーが集荷場所から指定された配送先まで荷物を届ける

このように、企業は配送マッチングサービスを利用することで、簡単に配送を依頼できます。

活用方法

企業の配送マッチングサービスの活用方法は主に2つです。これらをうまく活用することで、効率的な物流を実現できます。

  • 配送会社とのマッチング

1つ目は、配送会社とのマッチングです。具体的には配送マッチングサービス上で、配送会社の空車情報をリアルタイムで確認してから、配送を依頼します。これにより、効率的に配送業者を探せるため、業務の効率化につながります。

  • 荷主とトラックドライバーのマッチング

2つ目は、トラックドライバーとのマッチングです。荷主が配送を依頼すると、登録しているドライバーがその依頼を受けて配送を担当します。例えば、「フードデリバリーアプリ」のように、近くのドライバーが料理を届けてくれる仕組みをイメージするとわかりやすいでしょう。近くにいるトラックドライバーが仕事を引き受けてくれるので、企業は配送業者を探す手間が省けます。

配送マッチングサービスが必要とされる背景

日本では複数の企業が配送マッチングサービスの事業を展開しています。複数の企業が参入するのは、このサービスのニーズが高まっているためです。この章では、配送マッチングサービスが必要とされる2つの背景を紹介します。

トラックドライバーの不足

少子高齢化や2024年問題により、トラックドライバーの不足が深刻化しています。経済産業省の「持続可能な物流の実現に向けた検討会」の試算によると、2030年に輸送能力が34.1%不足する見込みです。このような状況の中、配送マッチングサービスは、空いているトラックやドライバーを効率的に活用するための重要なツールとなっています。

配送の需要の拡大

EC市場規模は年々拡大しており、宅配便取扱実績も増加しています。2022年度の宅配便取扱実績は約50億個で、5年間で23.1%も増加しました。これは平均すると、1年間で約1.5億個増えている計算になります。このような急激な需要増に対応するには、限られたリソースを最大限活用することが不可欠です。配送マッチングサービスは、トラックやドライバーといった配送リソースを効率的に割り当てることで、急増する配送量に柔軟に対応できるとして必要とされています。

企業が配送マッチングサービスを活用するメリット

配送マッチングサービスは、企業が柔軟かつ効率的な配送を実現するために有効なサービスです。ここでは、その具体的なメリットを5つに分けて説明します。

メリット① 必要な配送分だけ補える

企業にとって、配送リソースが不足したときに、必要な分だけ外部の配送業者やトラックドライバーを利用できるのは大きなメリットです。例えば、繁忙期やセール期間など、通常時よりも配送量が増加した際に活用します。配送マッチングサービスを利用することで、急な増加にも対応できるため、機会損失を防げます。

メリット② 幅広い荷物に対応できる

小口や大口など、様々なタイプの荷物に対応できる配送業者を探せる点も企業のメリットです。また、条件に合った運送業者を選べるため、柔軟な対応が可能です。

メリット③ 早朝や深夜でも確保できる

配送マッチングサービスは、通常の営業時間外である早朝や深夜でも、対応できるトラックドライバーを見つけられます。そのため、急ぎの荷物を翌朝までに届けたいといった、スピードが求められるケースでも役立ちます。

メリット④ 紛失や遅延などのトラブルを防止

配送マッチングサービスには追跡機能が備わっており、荷物がどこにあるかをリアルタイムで確認可能です。これにより、荷物の紛失や配達の遅延のトラブルを防止できます。

メリット⑤ 配送業者を探す手間を省ける

配送会社を探すのは、手間や時間のかかる作業です。しかし、配送マッチングサービスを利用すれば、効率的に探せます。したがって、サービスを利用することで、配送の手配にかかる時間や労力が軽減され、業務改善につながります。

これらのメリットにより、企業は業務効率の改善や時間の削減が可能です。

企業が配送マッチングサービスを活用するデメリット

配送マッチングサービスは多くのメリットがある一方で、デメリットもあるので注意が必要です。ここでは、企業にとって注意すべき3つのデメリットを紹介します。

デメリット① 品質管理の難しさ

配送マッチングサービスでは、様々な配送業者やトラックドライバーとマッチングされるため、サービスの品質を一定に保つのが困難です。品質のバラつきにより、トラブルが発生するリスクもあります。

デメリット② トラックドライバーの確保の不確実性

配送マッチングサービスは緊急の配送依頼に対応できるのも魅力ですが、配送を依頼したからといって必ずしもトラックドライバーを確保できるとは限りません。配送会社やトラックドライバーが見つからない場合は、予定通りに配送できないこともあるので注意が必要です。

デメリット③ 情報漏洩のリスク

配送マッチングサービスを通じて、企業は取引先の情報や顧客の個人情報をトラックドライバーと共有します。しかし、これらの情報が漏洩すると、企業の信頼性や顧客との関係に悪影響を与える可能性があります。

配送マッチングサービスで業務を効率化しよう

日本では、少子高齢化や2024年問題の影響で、トラックドライバーを確保するのがますます難しくなっています。そのような中、注目されているのが「配送マッチングサービス」です。配送業務にかかる手間や時間を減らしたい方は、このサービスを活用することで、効率化が図れるでしょう。また、複数の企業がこの分野に参入しており、新たなビジネスチャンスとして捉えられています。新規事業のアイデアを探している経営者様は、配送マッチングサービスに関係する事業を検討してみてはいかがでしょうか。