シックスハット法とは?アイデアの質を高めるフレームワーク

会議を開いてアイデアを出し合っても、「意見がまとまらない」や「似た意見ばかりで進展しない」などの経験はありませんか。このような際に役立つフレームワークは「シックスハット法」です。多角的な視点から効率的にアイデアを議論できます。本記事ではシックスハット法の概要やメリット、進め方をわかりやすく解説します。 

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シックスハット法とは 

シックスハット法が「どのような場面で向いているのか?」と疑問に感じる方もいらっしゃるでしょう。具体的には以下のような場面に有効です。 

  • 複雑な議論が必要な場合 

多角的な視点から検討することで論点を整理できるため。 

  • 重要な意思決定をする場合 

ポジティブとネガティブの両方の視点から検討できるため。 

  • 会議で発言が偏っている場合 

全員が発言しやすい仕組みを実現できるため。 

  • アイデアを総合的に評価したい場合 

複数の視点からアイデアを精査できるため。 

このように、シックスハット法を使うことで幅広い議論ができて、アイデアの深掘りや生産性の向上に役立ちます。 

帽子の色と視点 

シックスハット法で使用する6色の帽子の視点や役割を紹介します。 

白色の帽子 

白色の帽子の視点は「客観的・中立的」です。データや真実に基づいた意見を出し、必要な情報や情報源について考えます。例えば、「どのような情報があるか」「どのような情報が必要か」「どこから情報を入手するか」などです。会議での発言例は以下のとおりです。 

「顧客満足度を調査した結果は85%でした。なお、競合他社の顧客満足度はWebサイトによると90%です。」 

「広告を出稿したところ、自社Webサイトのアクセス数が10%増加しました。」 

このように仮説を立てたり、自分なりの解釈を加えたりせずに、データや真実に基づいた情報に目を向けるのがポイントです。 

赤色の帽子 

赤色の帽子の視点は「感情的・直感的」です。感じたことや思ったことを意見として出します。赤色の帽子の場合は、発言の根拠となるデータや事実を提示する必要はありません。この視点により、アイデアに人の感情や直感を取り込むことができます。会議での発言例は以下のとおりです。 

「競合企業の顧客満足度が高いのは、搭載している機能が面白いからだと思います。」 

「広告から流入している顧客は女性が多く、男性には嫌われているように感じます。」 

このように、感情的・直感的に思ったことであれば根拠がなくても発言できます。重要なポイントはアイデアに対して「賛成」「反対」を表明するのではなく、「面白い」「嫌い」「怖い」など、自分が感じた感情を伝えることです。 

黒色の帽子 

黒色の帽子の視点は「否定的・悲観的」です。それまでに出たアイデアをネガティブに捉えて、問題点やリスクを探します。これによりアイデアが楽観的すぎたり、現実離れしていたりするのを発見できます。会議での発言例は以下のとおりです。 

「このアイデアは初期費用が高すぎて、予算を超える可能性があります。」 

「このシステムを導入しても運用に多くの作業が必要なため、実際には期待するほどの効率化につながりません。」 

ここでのポイントは、論理的に議論することです。※感情的に否定的な意見を出すのは、赤色の帽子の領域です。 

黄色の帽子 

黄色の帽子は、肯定的・楽観的な意見を出す役割です。それまでに出たアイデアをポジティブに捉え、実現するメリットや価値を探します。発言例は以下のとおりです。 

「このアイデアは素晴らしいと思います。特にコスト削減につながるポイントが大きなメリットです。」 

「このアイデアは優れています。これまでの方法と比較して作業効率が5%改善するからです。」 

ここでのポイントは、ポジティブな意見を裏付ける具体的な根拠が必要な点です。
※根拠がない意見は、赤色の帽子の領域です。 

緑色の帽子 

緑色の帽子の視点は「革新的・創造的」です。これまでにはない新しいアイデアを出すことが求められます。発言例は以下のとおりです。 

「自社製品にAIを搭載したらどうでしょうか?」 

「商品のパッケージデザインを大幅に変更して、女性にアピールしてみてはいかがでしょうか?」 

ここで重要なポイントは、各色の意見を参考にすることです。多角的な視点からの意見を参考にすることで、新たなアイデアを発想しやすくなるためです。 

青色の帽子 

青色の帽子の視点は「統括的・俯瞰的」です。会議全体を俯瞰的に見渡してスムーズな議論や進行を担う役割で、簡単に言えばモデレーター(司会者)のことです。例えば、以下のようなタスクを行います。 

  • 議論の整理 
  • 質問の投げかけ 
  • 帽子の切り替えを指示 
  • ルール順守の徹底 
  • 最終意見の確認 

このようなタスクを通して、参加者が沈黙せずに建設的な議論ができるように配慮します。 

シックスハット法のメリット 

シックスハット法を活用する3つのメリットを紹介します。 

メリット① 多角的な視点からアイデアを検討できる 

シックスハット法の最大のメリットは、多角的な視点でアイデアを検討できる点です。例えば、ネガティブな思考に陥りやすい人でも、黄色の帽子をかぶることで、アイデアのメリットや価値をポジティブに検討できます。このようにアイデアを精査できるため、重要な意思決定の場面でもシックスハット法は役立ちます。 

メリット② スムーズな議論を実現できる 

シックスハット法を活用することで、スムーズな議論が期待できます。 

一般的な議論の仕方の場合、一つの意見が出たら、反論が出ることも珍しくありません。そして、その反論といったように何度も意見交換が繰り返されるため、結論に至るまでに時間がかかります。 

一方、シックスハット法であれば全員が同じ視点のため、反論に時間を費やすことがありません。そのため、短時間で結論に至る可能性が高くなります。 

メリット③ 一人でも行える 

シックスハット法は、一人でアイデアを検討する際にも使えるフレームワークです。6色の帽子の役割を自分に課すことで、アイデアを検討できます。一人の場合は、個人の性格や癖などにより考え方が偏りがちですが、シックスハット法を使用することで是正できるのもメリットです。 

シックスハット法の進め方 

シックスハット法の進め方の手順は以下のとおりです。 

手順① 事前準備 

手順② 6色の帽子の視点を説明 

手順③ ルールを説明 

手順④ 青色の帽子をかぶる人を選定 

手順⑤ テーマに合わせて色の順番を決定 

手順⑥ 最後に青色の帽子の人がまとめ 

各手順について解説します。 

手順① 事前準備 

シックスハット法を行うには、まず以下の必要物品を用意します。 

  • 6色の帽子 
  • 紙 
  • ペン 
  • ホワイトボード 

このように、一般的な会議で必要な物品に加えて、6色の帽子を用意する必要があります。ただし、帽子は色紙で代用することも可能です。 

手順② 6色の帽子の視点を説明 

次に、参加者に帽子の視点の説明です。参加者が6色の帽子の視点を理解していないと、シックスハット法で期待される効果を得にくいためです。 

手順③ ルールを説明 

次に、参加者に以下の4つのルールを説明します。 

原則1 他の意見やアイデアを非難しない 

原則2 質より量に集中する 

原則3 アイデアを自由に発言できるようにする 

原則4 アイデアをまとめる 

これらはブレインストーミングの4原則ですが、シックスハット法でアイデアを出す際にもこのルールは有効です。 

ブレインストーミングの4原則については、「ブレインストーミングとは?意味や4原則、やり方を徹底解説」をご参照ください。 

手順④ 青色の帽子をかぶる人を選定 

青色の帽子は他の色とは異なり、司会進行という特殊な役割です。そのため、青色の帽子をかぶる人を先に選定します。スムーズな進行のためには、シックスハット法に慣れている方が適任です。
※会議の途中と最後に、全員で青色の帽子をかぶって結論を出す方法もあります。 

手順⑤ テーマに合わせて色の順番を決定 

議論するテーマに合わせて、色の順番を決定します。一般的には「白・赤・黒・黄・緑・青」の順ですが、順番は自由に設定してかまいません。順番が決定したら、青色の帽子以外の参加者は最初に検討する色の帽子をかぶり、議論を開始します。議論する時間は1色あたり5分程度が目安です。 

手順⑥ 最後に青色の帽子の人が総括 

最後に青色の帽子の人が結論をまとめます。この際に、次のステップに何をするか決めることが大切です。 

シックスハット法でアイデアの質を高めよう 

シックスハット法は、多角的な視点からアイデアを議論できるフレームワークです。そして、強制的に視点を変えることで、個人の性格や癖などによってアイデアが偏ってしまうのを防ぐこともできます。質の高いアイデア出しや重要な決定事項の検討に、シックスハット法を使用してみてはいかがでしょうか。