PMI法とは?アイデアの評価に役立つフレームワーク

アイデア出しの会議ではブレインストーミングがよく使われます。しかし、量産したアイデアをどのように評価し、選抜したらいいのかと悩んでいる方も多いはずです。このような場面で役立つフレームワークが「PMI法」です。本記事ではPMI法の概要や使い方、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。 

参考:「ブレインストーミングとは?意味や4原則、やり方を徹底解説」 

Contents

PMI法とは 

PMI法とは、「Plus(プラス)」「Minus(マイナス)」「Interest(興味深い)」の頭文字をとったフレームワークです。名前の由来である3つの視点からテーマやアイデアを議論することで、アイデアの評価や新たな着想を得ることができます。そのため、ブレインストーミングで量産したアイデアの中から実現可能性の高いものや、成功率の高そうなものを絞り込む際に役立ちます。 

PMI法の3つの視点 

PMI法をうまく活用するには、3つの視点を押さえておくことが大切です。そこで、それぞれの視点について解説します。 

Plus:良い点 

Plusは、対象となるテーマやアイデアのポジティブな点を評価する視点です。具体的には、以下のような項目を確認しながら良い点を探します。 

  • 効果的な部分はどこか? 
  • 成功する要因はあるか? 
  • 実現可能性は高いか? 

これらの評価により、アイデアの可能性や良い点を明確にします。 

Minus:悪い点 

Minusは、対象となるテーマやアイデアのネガティブな点を評価する視点です。具体的には、以下のような項目を確認しながら、アイデアの悪い点を探します。 

  • 予算を超えないか? 
  • リスクは高くないか? 
  • 実現可能性が低すぎないか? 
  • 失敗する要因はあるか? 

この視点により、アイデアのリスクや改善すべき点が把握できます。 

Interest:興味深い点 

Interestは、対象となるテーマやアイデアの中で特に興味深いと感じる点を評価する視点です。PlusとMinusのどちらにも当てはまらない要素や、直感的に「面白い」「可能性を感じる」と思った要素を挙げていきます。例えば、次のようなケースが該当します。 

  • 「このアイデアはこれまでに聞いたことがなく斬新だ」 
  • 「このアイデアを実行することで、社会課題の解決に貢献できそうだ」 

Interestの視点は、他の2つの視点では見落としがちな可能性や魅力を発見するのに役立ちます。このことから、Interestの視点を用いて評価するのがPMI法の特徴と言えるでしょう。 

PMI法の使い方 

PMI法の使い方はいたってシンプルです。そのため、ほとんどの方が短時間に理解して実践できるでしょう。ここではPMI法の使い方の手順を紹介します。 

手順① 事前準備 

まずは事前準備です。3つの視点の記入欄があるPMIシートとペンを用意します。1枚のシートに全員の意見を記入することもできますが、シートが手元にあると個々に意見を書き出せるので人数分用意するのがおすすめです。 

手順② テーマやアイデアの選定 

次は、議論するテーマやアイデアの選定です。メンバーで何について話し合うかを決めましょう。 

手順③ 個別ワークで3つの欄を記入 

個別ワークとして、テーマやアイデアから思い浮かんだことをPMIシートに記入します。この際、「こんなこと書いていいのかな」と躊躇する必要はありません。アイデアの質よりも量が大切なので、感じたこと、思ったことをそのまま書くことがポイントです。 

手順④ シートをチームで共有 

書き込んだPMIシートをチームで共有します。共有した情報をもとに、グループディスカッションをして議論を深めます。この際、ホワイトボードに意見を書くと、メンバー全員が共有しやすくなるのでおすすめです。 

手順⑤ 共有した情報をもとに今後の方針を決定 

最後に、議論した内容をもとに次のステップとして何をするのか、今後の方針を検討します。 

PMI法のメリット 

PMI法のメリットについて解説します。 

メリット① シンプルで使いやすい 

PMI法のメリットはシンプルで使いやすいことです。Plus(良い点)・Minus(悪い点)・Interest(興味深い点)の3つの視点で意見を書き出すだけなので、特別なスキルや経験を必要としません。また、個人での作業やグループディスカッションなど、幅広い場面で使える汎用性の高さも魅力です。 

メリット② 短時間で意見を集約できる 

PMI法は個人で書き出したPMIシートをチームで共有することで、多くの意見を短時間で集約できます。そのため、複数のアイデアを比較したいときや、時間が限られているときでも効率的に議論を深めることができます。 

メリット③ 社内全体で意見を共有できる 

PMI法で議論した内容は、最終的に1枚のPMIシートにまとめて可視化できます。すると、会議に参加していない従業員にも伝達しやすくなるため、社内全体で意見を共有できるのがメリットです。 

PMI法のデメリット 

PMI法にはメリットがある一方で、デメリットもあります。適切に活用するために、ここではPMI法のデメリットについて紹介します。 

デメリット① 複雑なテーマには不向き 

PMI法はシンプルな3つの視点からアイデアを評価するフレームワークです。そのため、多角的な視点から捉える必要のある複雑なテーマには不向きです。そのような複雑なテーマを議論する場合は、SWOT分析やファイブフォース分析など、他のフレームワークと組み合わせて検討します。 

デメリット② 結果が人によって異なる可能性がある 

PMI法は個人の背景や経験、スキルなどにより意見が大きく異なります。そのため、人によっては「素晴らしい」と判断するアイデアであっても、別の人は「実現可能性が低い」と判断するアイデアになるかもしれません。このように人によって結果が異なることがあるため、特に個人で実施する際は注意が必要です。 

PMI法を成功させるポイント 

PMI法で議論を深めるためには、以下のポイントを押さえることが大切です。 

ポイント① メンバー全員が参加する 

PMI法は人によって結果が異なる可能性があります。そのデメリットを軽減するには、より多くの人の意見を集めることが有効です。そのため、参加メンバー全員に積極的に意見を出してもらうことが大切です。多様な意見を集約することで、確度の高い議論につながります。 

ポイント② 制限時間を設定する 

PMI法は短時間で意見を集約できるのがメリットですが、人によっては記入するのに時間がかかりすぎることもあります。時間がかかりすぎると、複数のアイデアを検討する時間がなくなるなどの弊害が発生します。そのような事態を避けるために、意見を記入する時間はあらかじめ設定しましょう。 

ポイント③ 具体的な情報を入れる 

PMI法は、3つの視点で思いつくままに意見を記入するフレームワークです。しかし、具体的な情報を入れることで、さらに踏み込んだ議論ができます。可能であれば具体的な情報を入れると良いでしょう。 

PMI法でアイデアを評価しよう 

PMI法はアイデアを3つの視点から評価するフレームワークです。やり方はシンプルでわかりやすいため、誰でも実施できるのが魅力です。また、短時間で意見を集約できることから、複数のアイデアを評価するのにも向いています。ブレインストーミングで複数のアイデアが出た場合などは、PMI法を使って評価してみてはいかがでしょうか。