BPMNとは?基本的な概念やメリット、書き方をわかりやすく解説

BPMN(ビジネス・プロセス・モデリング表記法)は、業務の一連の流れを図式化するための国際基準に準拠した表記法です。この手法を使い業務を可視化することで、業務改善の推進や属人化の解消が期待できます。本記事ではビジネスパーソンに向けて、BPMNの基本的な概要やメリット、書き方をわかりやすく解説します。 

BPMNとは 

BPMNとは、業務プロセスを図として表現するための国際標準(ISO 19510)に準拠した表記法です。業務の開始から終了までの流れを、決められた記号や線を使って視覚的に示します。 

書き方のルールが世界共通のため、BPMNで作成された図は国や組織を問わず理解されやすく、グローバルに通用する業務プロセス図と言えます。 

BPMNのメリット 

BPMNを使って業務プロセスを図で表現することで、主に3つのメリットがあります。 

メリット① 業務可視化ができる 

複雑な業務の流れを図として可視化できるのがメリットです。その結果、業務全体の構造や各工程の関係性が一目でわかるようになります。 
業務可視化については「業務可視化とは?メリットや手順、効果を高めるフレームワーク3選」の記事をご覧ください。 

メリット② 業務改善の推進に貢献する 

BPMNは業務改善の推進に貢献します。業務プロセスを可視化することで、無駄な工程やボトルネックを把握しやすくなるからです。例えば、「A部署とB部署の間で行われている複数のやり取りを1回に集約する」といった具合です。全体の流れを図で俯瞰することで、改善点が見つけやすくなります。 

メリット③ 属人化の防止・解消に役立つ 

業務の手順を図示することで、特定の人にしかできない業務を削減できます。可視化し全体で共有することで、誰もが対応しやすくなるためです。これにより業務の標準化が進み、引き継ぎや新人教育がスムーズになります。このような属人化の解消は、全体の生産性向上にもつながります。 

BPMNはどんなときに使うべき? 

BPMNは、そのメリットから様々なビジネスシーンで効果を発揮します。代表的なタイミングは以下のとおりです。 

  • 業務プロセスを標準化したいとき 
  • 業務改善や効率化を推進したいとき 
  • システム導入に併せて業務を整理したいとき 
  • 外部パートナーとの連携を円滑にしたいとき 
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進したいとき 

このように、BPMNは特定の部門や業種に限らず、幅広いビジネス課題に対応できる手法です。 

BPMNの構成要素 

BPMNは、業務プロセスを表現するためのルールが定められています。ここでは6つの構成要素について紹介します。それぞれの役割を理解することで、図を「読む」ことも「書く」こともできるようになるでしょう。 

イベント 

イベントとは、業務プロセスの「開始」や「終了」、または「途中で発生する出来事」を表す要素です。イベントの種類ごとに円の形が異なります。 

  • 開始イベント:1重の円 
  • 中間イベント:2重の円 
  • 終了イベント:太い1重の円 

このように、イベントの種類は見た目で識別できるため、プロセス全体の流れを簡単に把握できます。 

アクティビティ 

アクティビティは具体的な作業や処理を表す「業務の最小単位」です。例えば、「書類を作成する」や「メールを送信する」などのように、「~を~する」と表現します。ユーザータスクは人が実施する場合、サービスタスクは情報システムによって自動化されている場合に使用します。 

ゲートウェイ 

ゲートウェイは、業務プロセスの分岐や結合を行う要素です。種類によって条件が異なり、以下のような要素があります。 

  • ゲートウェイ:条件に応じて複数の経路に分岐 
  • 排他ゲートウェイ:いずれかの一つの経路へ進む 
  • 並列ゲートウェイ:複数の経路に同時に進む 

このように、分岐条件を示すのがゲートウェイです。 

接続オブジェクト 

接続オブジェクトは業務プロセスの流れを示す要素です。種類は以下のとおりです。 

シーケンスフロー:各要素を処理する順番を示す 
メッセージフロー:メッセージのやり取りを示す 
関連:データや注釈との関連を示す 

データ 

データは業務の中で使用されるデータに関する要素です。データオブジェクトは文章、データストアはデータベース内の情報を指します。 

スイムレーン 

スイムレーンは、業務プロセスや部署、担当者の業務内容を区分する枠です。水泳のプールのように、全体をプールと呼び、各枠をスイムレーンと呼びます。これにより、誰が、どの業務を行っているのかが一目でわかります。 

初心者のためのBPMNの書き方 

出典:デジタル庁「地方公共団体の基幹業務システムの標準仕様における業務フローについて」 


ここでは、初心者の方でもスムーズに取り組めるよう、BPMNの書き方をわかりやすく解説します。 

ステップ① 目的を明確にする 

BPMNを作成する際、目的を明確にすることが大切です。目的が曖昧だと、どこまで情報を掘り下げればいいのか、判断が難しくなるためです。例えば、以下のような目標を設定します。 

  • 業務の無駄や重複を見つけて改善したい 
  • 引き継ぎ資料として活用したい 
  • システム導入に向けて業務を整理したい 

複数人で作成する場合は、関係者全員が同じ目標を共有することも大切です。 

ステップ② 業務の洗い出しを行う 

BPMNを作成するには、業務内容を漏れなく洗い出すことが重要です。ここでは、作業の流れや手順だけでなく、使用しているツールや関係者についても確認します。 
このステップは次の項目を意識して進めましょう。 

  • メモに業務内容を書き出す 
  • 担当者へのヒアリングや、実際の作業現場の観察を行う 

最初は全体像を把握することを優先しましょう。 

ステップ③ スイムレーンを設定する 

BPMNを作成するための外枠をつくります。具体的には全体を示すプールに加えて、部署や役職、担当者などのスイムレーンを記入します。 

ステップ④ BPMNを描く 

スイムレーンの中に、洗い出した業務内容をBPMNの各要素を使って配置します。実際に図を描くときは、時間軸が左から右に流れるように配置するのが基本です。 

BPMNを作成する際のポイント 

BPMNは複雑そうに見えるかもしれませんが、ポイントを押さえておくことで、見やすい図を作成できます。そのポイントは以下のとおりです。 

  • どこまで掘り下げるか決めておく 
  • 対象の範囲を設定しておく 
  • できるだけBPMNの図は1枚に収める 
  • わかりやすい記号と文字を使う 
  • 専用ツールの活用を検討する 

これらのポイントを意識することで、関係者全体が同じ業務プロセスを共有しやすくなります。 

BPMNを活用して業務改善をしよう 

BPMNを活用して業務プロセスを可視化することで、無駄な手順やボトルネックを明確に把握でき、業務改善や属人化の解消に貢献します。チーム全体の生産性向上や標準化にも効果的です。 
しかし、実際の業務改善や問題解決においては、「何から手を付けていいのかわからない」や「問題解決のためのアイデアが出てこない」といった悩みに直面するケースも少なくありません。 

セルウェルでは、こうした課題を解決するために「問題解決コンサルティング」を提供しています。現場に即した実行可能なアクションをご提案し、貴社の業務改善をしっかりサポートいたします。是非お気軽にご相談ください。