モビリティ業界・輸送機器メーカーランキング|国内で活躍する企業を紹介

モビリティ・輸送機器業界は現在、変革期を迎えています。AIを活用した自動運転やスマートモビリティといった次世代サービスへの期待が高まる一方で、これまで急速に成長してきたEV市場の伸びが鈍化しているためです。

また、「空飛ぶクルマ」の実用化に向けた動きも進んでおり、各社が次世代モビリティの方向性を模索しています。こうした変革期で成果を上げるには明確な成長戦略が重要です。

本記事では、2026年4月時点の情報をもとに、モビリティ業界・輸送機器メーカーランキングに加えて、国内で活躍する主要メーカーの成長戦略についてわかりやすく解説します。

国内のモビリティ・輸送機器業界の動向

日本のモビリティ・輸送機器業界は、経済や雇用を支えている基幹産業です。しかし国内市場に目を向けると、自動車販売台数は減少傾向にあります。1990年代は年間600万台を超えていましたが、2000年代は500万台規模へと縮小し、近年ではさらに減少が進み2024年は442万台でした。

出典:経済産業省「自動車産業を取り巻く国内外の情勢と自動車政策の方向性

一方で、モビリティ業界は変革期を迎えており、経済産業省はGX(グリーン・トランスフォーメーション)・DX(デジタル・トランスフォーメーション)の両面からモビリティ産業の高度化を推進しています。主な方向性は以下のとおりです。

  • AIや5Gを活用した自動運転の高度化
  • 空飛ぶクルマといった次世代モビリティの実用化
  • GXによる電動化の加速
  • DXによるSDV(ソフトウェア定義車両)の普及
  • 水素エネルギーのモビリティ分野での活用拡大
  • 合成燃料・バイオ燃料など次世代燃料の技術開発

これらの取り組みはまだ発展途上の段階にあり、競争環境が変化すると考えられます。そのため、各企業は技術開発の推進に加えて、成長戦略に基づいた事業展開が重要になっています。

モビリティ業界・輸送機器メーカーランキング【トップ10】

国内市場の全体像を把握するために、モビリティ業界・輸送機器メーカーランキングの上位10社を紹介します。※2026年4月14日時点での最新の決算情報をもとにしています。

順位企業名売上高カテゴリ
1位トヨタ自動車株式会社48兆367億円自動車
2位本田技研工業株式会社21兆6,888億円自動車
3位日産自動車株式会社12兆6,332億円自動車
4位株式会社デンソー7兆1,618億円自動車部品
5位スズキ株式会社5兆8,252億円自動車
6位マツダ株式会社5兆189億円自動車
7位株式会社アイシン4兆8,961億円自動車部品
8位株式会社SUBARU4兆6,858億円自動車
9位株式会社豊田自動織機4兆850億円産業車両・部品
10位いすゞ自動車株式会社3兆2,356億円商用車

このランキングから、日本のモビリティ・輸送機器業界は、自動車メーカーを中心に構成されていることがわかります。中でもトヨタ自動車株式会社は圧倒的な規模を誇り、業界全体を牽引する存在です。

一方で、大手自動車部品メーカーが上位にランクインしている点も注目すべきポイントです。電動化や自動運転の進展により、車両の性能を左右する部品・システムの重要性が高まっていることを示しています。

さらに、産業車両や商用車メーカーも名を連ねていることから、日本のモビリティ・輸送機器業界は、幅広い領域で成り立っていることが読み取れます。

国内で活躍するモビリティ・輸送機器メーカー

前章で紹介した上位10社の中から、特に国内で活躍している主要メーカーの特徴や成長戦略を解説します。

トヨタ自動車株式会社

出典:トヨタ自動車WEBサイト

トヨタ自動車株式会社は、日本を代表する自動車メーカーであり、世界トップクラスの販売台数と売上を誇ります。2025年の世界販売台数は1,054万台と過去最高を更新し、6年連続で世界首位を獲得しました。

同社の成長を支えているのはハイブリッド車です。年間443万台を販売しており、環境性能と実用性を両立した主力商品として高い評価を得ています。同社はEVに特化するのではなく、ハイブリッド車や燃料電池車なども並行して開発する「全方位戦略」を採用しており、市場環境の変化に柔軟に対応できる体制を構築している点が特徴です。

また、国内市場においても、保有されている乗用車の約49%を同社製が占めています。さらに、同社の実験都市「ウーブン・シティ」では、コネクテッド技術や自動運転の実証を進め、データの活用による移動体験の高度化や次世代モビリティ社会の実現を目指しています。

加えて、車両販売に依存しない収益構造の強化に注力しているのもポイントです。メンテナンスや用品・補給部品、中古車、保険・ファイナンスといったバリューチェーン全体で収益拡大を進めており、2026年度には約2兆円規模への成長を目指しています。

こうした取り組みにより、景気変動に左右されにくい安定した収益基盤の確立を図っている点も同社の成長戦略の特徴です。

株式会社デンソー

出典:株式会社デンソー

株式会社デンソーは、トヨタグループの中核を担う世界有数の自動車部品メーカーです。2025年の売上収益は7兆1,618億円に達し、過去最高を更新しました。

ハイブリッド車やEV向けの駆動・電源システムをはじめ、エンジン関連製品、先進運転支援システム(ADAS)など、幅広い分野で強みを持っています。このような背景から、自動車の電動化にはなくてはならない存在です。近年は、自動車部品のみならず、半導体やソフトウェア領域への投資も加速させており、SDVでの重要性も増しています。実際に、2026年は電動化と自動運転の領域に3,700億円を投資する予定です。

このように同社は、自動車メーカーの競争力を左右する重要な先進技術を研究・開発することで、成長を実現しています。また、工場自動化や顔認証システムなどの非車載事業にも注力し、事業ポートフォリオの多角化を推進している点も特徴です。

スズキ株式会社

出典:スズキ株式会社

スズキ株式会社は、軽自動車や二輪車に強みを持つ自動車メーカーで、国内の軽自動車市場で高い競争力を誇っています。2025年の売上収益は5兆8,252億円、営業利益は6,429億円と、いずれも過去最高を更新しており、堅調な成長を続けています。

同社の成長を支えているのは、軽自動車や小型車に特化した戦略です。2024年度の軽自動車販売ではシェア35.9%で1位を獲得しており、さらに登録車販売台数も13万台と過去最高を記録しています。実用性や価格競争力を重視した製品展開により、幅広い顧客層から支持を集めています。

一方で、電動化については段階的な投資を進めており、2030年までに国内で6モデルを投入する計画です。過度なリスクを避けながら持続的な成長を目指している点も特徴です。

このように同社は、軽自動車という特定領域に集中することで、国内市場で安定した成長を実現しています。

まとめ

モビリティ・輸送機器業界では、国内の自動車販売台数が減少傾向にある中でも、着実に成長を続ける企業が存在します。そうした企業に共通しているのは、自社の強みを生かしつつ、成長戦略のもとで競争力を高めている点です。

本記事で紹介した事例は、既存事業の強化だけでなく、新規事業の創出を検討する上でも有効なヒントです。戦略立案の際は、ぜひ参考にしてみてください。

また、セルウェルでは各種調査・分析を通じて、成長戦略の立案や経営判断を支援しています。事業課題の解決や新規事業の立ち上げをご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。