組織マネジメントを成功に導く5つのフレームワーク

成果を上げるには、企業内の経営資源を有効活用することが大切です。そこで重要なのが「組織マネジメント」です。しかし、実際の現場では「どのようにすれば上手くいくのか」と、悩むビジネスパーソンもいらっしゃるでしょう。そこで今回は、組織マネジメントに役立つ5つのフレームワークを紹介します。 

組織マネジメントとは 

組織マネジメントとは、組織の力を最大限に引き出し、成果を高めるための取り組みです。 

「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」といった経営資源をバランスよく活用し、組織が円滑に機能するように環境を整える手法と言えます。優れた組織マネジメントは、個人の力を結集し、変化の激しい時代でも持続的に成長できる強い組織をつくる土台となります。 

組織マネジメントにフレームワークが効果的な理由 

組織マネジメントの現場では、経験や直感を基に意思決定をしているケースもあるでしょう。しかし、そのような属人的な判断は、どうしても再現性や一貫性に欠けやすいという課題があります。そこで役立つのがフレームワークです。ここでは、組織マネジメントにフレームワークが効果的な理由を紹介します。 

組織の課題の可視化につながる 

組織マネジメントにフレームワークを使うことで、組織の現状や課題、強みなどを可視化できます。すると、「何がボトルネックになっているのか」や「どこにリソースを集中すべきか」といった判断を客観的な視点から行えます。その結果、属人的な判断から脱却できるのです。 

判断のブレを防げる 

経験や直感に頼った組織マネジメントの手法は、判断がブレやすいのが課題です。一方、フレームワークを使うと意思決定の基準ができるため、判断のブレを防げます。 

チームの共通理解に役立つ 

フレームワークを使えば、意思決定のプロセスを組織内で共有しやすくなるため、組織マネジメントの必要性や目的の共通理解に役立ちます。これにより「なぜこのような対応をするのか」といった疑問を解消し、組織全体で目標達成に向けた一体感が生まれるでしょう。 

組織マネジメントに役立つフレームワーク5選 

組織マネジメントに役立つフレームワークは数多く存在します。ここでは、その中から実務で役立つ5つのフレームワークを紹介します。 

ジョハリの窓 

ジョハリの窓は、自己理解と他者理解を深めるための自己分析フレームワークです。「自分から見た自分」と「他人から見た自分」という2つの視点から、以下の4つの要素に分類します。 

開放の窓:自分も他人も知っている自分 

盲点の窓:自分は気付いていないが、他人は知っている自分 

秘密の窓:自分は知っているが、他人には見せていない自分 

未知の窓:自分も他人も知らない自分 

このフレームワークでは、「開放の窓」を広げることが重要とされています。自己開示や他者からのフィードバックを通じて、盲点の窓や秘密の窓を減らして開放の窓を広げることで、未知の窓への気付きを得られるためです。未知の窓は自分の新たな可能性の領域のため、気付くことは成長のチャンスとなります。 

認知/行動ループ 

認知/行動ループは、メンバー同士の関係性を改善するためのフレームワークです。次の4ステップを繰り返すことで、自分と相手の認識のズレを改善できます。 

1. 相手の行動 

相手の行動を客観的に書き出します。 

2. 自分の認知 

相手の行動に対して、自分がどのように感じたかを書き出します。 

3. 自分の行動 

自分が感じたことを受けて、自分がどのような行動を取ったかを書き出します。 

4. 相手の認知 

自分の行動に対して、相手がどう受け取ったかを想像して書き出します。 

この一連の流れをシートにまとめて相手と共有し、認識のズレを確認します。その上で、お互いの理解を深めながら「どうすれば関係がより良くなるか」を話し合うことで、チーム内の信頼関係の向上が期待できます。 

ウォント/コミットメント 

ウォント/コミットメントは、メンバー同士の相互理解を深め、チームの連携を高めるためのフレームワークです。特にプロジェクトの立ち上げ時や、役割分担を決める際に効果的です。このフレームワークでは、次の2つの項目を各自が書き出します。 

ウォント:チームや個人に期待していること 

コミットメント:自分が貢献できること(技術やスキルなど) 

これらをチーム内で共有することで、メンバー同士の期待値のすり合わせができ、「誰が何を望み、何に貢献できるのか」が明確になります。その結果、役割分担がスムーズになり、適材適所の体制づくりがしやすくなります。 

PM理論 

PM理論は、リーダーシップの在り方を「P機能(目標達成機能)」と「M機能(集団維持機能)」という2つの軸で分類するフレームワークです。 

P機能:目標を達成する力 

M機能:チームをまとめる力 

それぞれの機能は、強い場合に大文字、弱い場合に小文字で表記します。そのため、PM理論ではリーダーを次のように分類します。 

PM型:目標達成力もチーム統率力も高い 

Pm型:成果重視だが、チームをまとめるのが苦手 

pM型:チームをまとめる力はあるが、目標を達成する力が弱い 

pm型:どちらの力も弱い 

P機能とM機能がどちらも強い「PM型」がリーダーの理想とされています。 

ステークホルダー分析 

ステークホルダー分析は、プロジェクトや組織運営に関係するステークホルダー(利害関係者)を洗い出し、その影響力や関心度を評価・分類するフレームワークです。誰がどの程度の影響力を持ち、どのような関心を抱いているかを可視化することで、優先的に対応すべき相手や効果的なコミュニケーション方法を判断します。ステークホルダーとの適切な関係構築により、合意形成や協力を得やすくなります。 

フレームワークを活用する際のポイント 

フレームワークは知識として「知っている」だけでは、意味がありません。重要なのは、どのようにして活用するかです。ここでは組織マネジメントに役立つフレームワークを活用するポイントを紹介します。 

成長フェーズに適したフレームワークの使い分け 

組織には次の成長フェーズがあり、それぞれの段階で課題が異なります。フレームワークを効果的に活用するには、自社やチームがどのフェーズにあるのかを把握することが大切です。 

  • 創業期:限られた経営資源を有効活用し、早期に市場でのポジションを確立することが求められます。 
  • 成長期:市場シェアを拡大するために、積極的な人材・設備投資が必要です。 
  • 安定・拡大期:収益を維持しながら、作業効率の向上や業務効率化によって、さらなる利益拡大を図ります。 
  • 衰退・再成長期:撤退の判断や事業モデルの再構築、新たな技術の導入などを検討する段階です。 

このように、組織の成長フェーズを意識することで、抱える課題に対して適切なフレームワークを選びやすくなります。 

複数のフレームワークを併用 

フレームワークは単体でも有効ですが、併用することでより多角的な視点から課題を理解できます。異なる視点やアプローチを組み合わせることで、見落としていた要因に気付いたり、課題の本質が見えたりすることもあります。その結果、より効果的なアクションへとつなげやすくなるのです。 

組織マネジメントで競争力を高めよう 

持続的な成長を目指す上で、組織マネジメントは欠かせない要素です。そして、その組織マネジメントをより効果的に進めるための手段として、フレームワークが有効です。 

変化のスピードが増す現代において、企業が競争力を保つためには、強くしなやかな組織づくりが求められます。この機会に、ぜひフレームワークを取り入れ、自社の組織マネジメント力を高めてみてはいかがでしょうか。