ウィンザー効果とは何か?マーケティングにおける口コミの活用例

「自社製品やサービスの魅力を伝えても、なかなか見込み顧客に響かない」と悩んでいませんか。現代の消費者は、広告や営業トークに対して懐疑的です。そのため、企業からの一方的な情報は信頼されにくい傾向にあります。

そこで、注目したい心理効果が「ウィンザー効果」です。マーケティングに活用することで、自社製品やサービスの信頼性を高めるのに役立ちます。本記事ではウィンザー効果の意味や名前の由来、マーケティングへの活用例、得られるメリットをわかりやすく解説します。

ウィンザー効果とは

ウィンザー効果とは、当事者が発信する情報よりも、利害関係のない第三者からの情報のほうが信頼されやすいという心理効果です。例えば、企業がテレビCMなどで自社商品の優れていることをアピールしても、消費者はそれだけでは信用せず、第三者による口コミ・レビューを重視する傾向があります。

この効果の由来は、アメリカの作家アーリーン・ロマノネス氏が1991年に発表したミステリー小説「伯爵夫人はスパイ」です。同作品に登場するウィンザー伯爵夫人には、「第三者の褒め言葉がどんなときでも一番効き目があるのよ」というセリフがあり、この心理効果を的確に表現しています。

バンドワゴン効果との違い

ウィンザー効果と混同されがちなのはバンドワゴン効果です。

バンドワゴン効果とは、多くの人が選んでいるものに対して、「みんなが使っているから安心」や「多くの人が支持しているから正しそう」と思う心理効果です。例えば、商品のパッケージに「100万人が愛用!」などのキャッチコピーがあると、ついつい手に取って見てしまうのはこの心理効果の典型と言えるでしょう。

2つの心理効果をまとめると以下のとおりです。

ウィンザー効果:第三者の客観的な評価や発信を信頼しやすい心理効果

バンドワゴン効果:多数派・大勢の選択に正当性を感じる心理効果

つまり、誰が情報を発信しているのかに注目するのがウィンザー効果で、どれだけの人が支持しているのかを重視するのがバンドワゴン効果です。

マーケティングにおけるウィンザー効果の活用例

マーケティングにウィンザー効果を取り入れることで、自社商品やサービスへの信頼感の向上が期待できます。ここでは、ビジネスにおける活用例を紹介します。

口コミ・レビューを掲載する

ウィンザー効果を取り入れたマーケティング施策として代表的なのは、実際に商品やサービスを体験した人の声を紹介することです。口コミ・レビューがあることで、企業発信の情報よりも説得力が増します。

●活用例

・ECサイトや公式メディアに、購入者の口コミ・レビューを掲載

アンケートやインタビューの結果をコンテンツ化する

既存顧客に対して実施したアンケートやインタビューの内容を公表するのも、第三者の視点を活用する有効な手段です。例えば、「利用者の9割が成果を実感」といった統計データは、新規顧客の安心材料になるでしょう。また、顧客の生の声をコンテンツ化して紹介することで、リアルな使用シーンや使用感を伝えることができます。

●活用例

・導入事例記事の制作と公開

・ホワイトペーパーや営業資料にインタビュー内容を掲載

広報活動でメディア露出を狙う

テレビや新聞、雑誌、業界専門メディアなど、第三者のメディアに自社の情報が取り上げられることはウィンザー効果を得るのに有効な機会です。そのような機会を増やすために、メディア各社に対する広報活動を行うことも重要なマーケティング施策の一つです。

●活用例

・プレスリリース配信によるメディア掲載の促進

・業界アワードへの応募

インフルエンサーと連携してPRする

SNSで強い影響力を持つインフルエンサーに製品やサービスを体験してもらい、感想や様子をSNSに投稿してもらうこともウィンザー効果を生かしたマーケティング手法です。インフルエンサーは特定の分野や業界に特化していることが多く、発信される情報はフォロワーに信頼される傾向にあります。ただし、インフルエンサーの発言は影響力が大きい分、発信内容によっては企業のブランドイメージに悪影響を及ぼす可能性もあるため、起用する際は慎重に選定することが大切です。

●活用例

・インフルエンサーマーケティングの実施

SNSへの投稿を促進する

スマートフォンやSNSが普及した今、消費者自らが商品に関する投稿を行うことが増えています。そこで、SNS映えを意識したパッケージやイベント、参加型の企画を用意することで、自然な投稿を促せます。例えば、「#○○チャレンジ」のようなハッシュタグを使ったキャンペーンや、フォトコンテストなどが効果的です。

●活用例

・口コミを意図的に発生させるバズマーケティングの実施

・自然な情報拡散を促す仕組みづくり

ウィンザー効果を活用するメリット

ウィンザー効果は様々なメリットがあります。その中でもビジネスに関係する2つのメリットを紹介します。

メリット① 信頼性が向上する

第三者から高評価があると、商品やサービスに対する信頼性が向上します。なぜなら、購入者には口コミ・レビューを記載するメリットがないことから、信憑性の高い情報として認識されるためです。このメリットは、商品やサービスだけでなく、企業やブランドに対する信頼性の向上にも役立ちます。

メリット② 購買促進につながる

ウィンザー効果により商品やサービスに対する信頼性が向上すると、購買促進につながる可能性が高まります。また高評価が多いと、バンドワゴン効果も相まって購買意欲を強く促進できます。

ウィンザー効果を活用する際の注意点

ウィンザー効果を活用したマーケティングを実施する際は、使い方によっては逆効果になることもあるので次の2点に注意が必要です。

注意点① ネガティブな口コミ・レビューも掲載する

ウィンザー効果を活用するために口コミ・レビューを募集すると、意図と反してネガティブな意見が寄せられることもあります。ネガティブな意見は購入を思いとどまらせる方向に働くため、削除したくなるかもしれません。しかし、ネガティブな意見を削除しポジティブな意見のみを掲載すると、顧客に「都合の悪い口コミを削除しているのでは?」と不信感を与える可能性があります。そのため、ネガティブな口コミ・レビューも掲載して透明性を高めることが大切です。

注意点② ステルスマーケティングは信頼を損ねる

ウィンザー効果を活用する際は、ステルスマーケティングにならないように注意が必要です。ステルスマーケティングとは、消費者にあたかも第三者の意見であるかのように商品やサービスを宣伝する行為です。例えば、金銭や商品を提供して口コミ・レビューを投稿してもらう行為、インフルエンサーに報酬を支払ったのに広告であることを隠して宣伝させる行為などが該当します。このようなステルスマーケティングは、公正な市場競争を歪め、消費者の誤解を招くことから禁止されています。仮にステルスマーケティングをしていることが判明した場合は、顧客からの信頼を大きく損ねるでしょう。

ウィンザー効果をマーケティングに取り入れよう

ウィンザー効果は利害関係のない第三者の意見であるからこそ、信憑性が高まる心理効果です。マーケティングに取り入れることで、企業や製品の信頼性の向上、購買促進といったメリットが期待できます。そのため、売上拡大や事業拡大を目指しているビジネスパーソンは、この機会にマーケティングにウィンザー効果を取り入れてみてはいかがでしょうか。