PESOモデルとは?4つのメディアの特徴と成功事例をわかりやすく紹介

PESOモデル(ペソモデル)は、マーケティング分野において、ユーザーの声が重要視されるようになったことから注目されているマーケティングモデルです。

本記事ではPESOモデルの意味や4つのメディアの特徴や具体例、成功事例をわかりやすく紹介します。

Contents

PESOモデルとは

PESOモデルは4つのメディアを組み合わせたマーケティングモデルのことです。

●メディアの種類

メディア概要
ペイドメディア(Paid Media)お金を支払うことで情報を発信できる広告のこと
アーンドメディア(Earned Media)企業の広報活動により、マスメディアやWebメディアなどの外部メディアから情報を発信すること
シェアードメディア(Shared Media)ユーザーが情報を発信して、他ユーザーに共有されるメディアのこと
オウンドメディア(Owned Media)自社が所有するメディアのこと

従来は、ペイドメディア・アーンドメディア・オウンドメディアのトリプルメディアを組み合わせたPOEMモデルが利用されていました。しかし、ユーザーの購買行動が変容したことから、シェアードメディアを加えたPESOモデルが注目されています。

POEMモデルとPESOモデルの違い

従来のPOEMモデルでは、まずペイドメディアを使い、企業が一方的に情報を発信して自社製品やサービスの認知度を高めます。次に、アーンドメディアやオウンドメディアで補完することで、消費者に購買行動を促すマーケティングモデルです。例えば、テレビCMで商品名の認知度を高めつつ、自社サイトに誘導するといった具合です。

しかし、近年はSNSの普及や得られる情報量が増えたことにより、企業からの一方的な情報が届きにくくなりました。そこで、以前はアーンドメディアの一部として考えられていたシェアードメディアをPOEMモデルに加えたのがPESOモデルです。

つまり、POEMモデルとPESOモデルの大きな違いは、SNSなどのようにユーザー同士が情報を共有するメディアを区分しているかどうかです。

PESOモデルの4つのメディアの特徴

PESOモデルは、自社のマーケティング戦略に合わせて4つのメディアを組み合わせて使うことを指します。例えば、商品やサービスの認知度を高めるのであればペイドメディア、ユーザーからの共感を得るのであればシェアードメディアといった具合です。

このようにPESOモデルを実践するには、各モデルの特徴を押さえる必要があります。一覧は以下のとおりです。

メディア特徴
メリットデメリット
ペイドメディア・お金を支払うことで確実に情報を     掲載できる。
・不特定多数のユーザーに情報を発信できる。
・発信する情報をコントロールできる。
・広告費用が発生する。
・ユーザーに情報が届きにくくなった。
アーンドメディア・不特定多数のユーザーに情報を発信できる。
・第三者の意見として信頼されやすい。
・発信する情報をコントロールできない。
・情報を発信するかどうかの決定権がない。
シェアードメディア・ユーザーの生の声を伝えられる。
・ユーザーから共感を得られる。
・情報をコントロールできない。
オウンドメディア・発信する情報をコントロールできる。
・コンテンツは自社の資産となる。
・効果をあげるには時間とコンテンツ量が必要。

さらに、各メディアのメリット・デメリットや具体例について詳しく解説します。

ペイドメディア:広告

ペイドメディアは、お金を支払うことで情報を発信できるメディアのことです。簡単に言えば広告のことで、テレビやラジオ、新聞、雑誌、Web広告など様々なメディアがあります。

ペイドメディアのメリットは、自社が意図した広告を不特定多数のユーザーに訴求できることです。認知度を高めたり、潜在顧客を掘り起こしたりするのに向いています。確実に情報を配信できる代わりに、広告費用の負担がデメリットです。

また、従来は得られる情報に限りがあったため、企業からの広告を通した一方的な情報がユーザーの購買行動につながっていました。しかし、現在ではSNSの普及や得られる情報量が増えたことで、認知度を高めるだけでは成果につながらないこともあります。

アーンドメディア:外部メディア

アーンドメディアは、第三者が運営している外部メディアのことです。第三者の情報のため、掲載されればユーザーから信頼されやすく、認知度や購買意欲を高められます。具体例としては、取材記事やインフルエンサーなどの口コミ、レビューなどです。

ただし、第三者が運営していることから、発信する情報をコントロールできず、配信するかどうかの決定権もありません。そこで、アーンドメディアを活用する際には、広報などの活用により掲載してもらえるように働きかけることが大切です。

シェアードメディア:SNS

シェアードメディアは、「Shared(共有する)」の意味から共有できるメディアを意味します。具体的には、ユーザーが投稿した情報を他のユーザーが拡散できるSNSなどです。

アーンドメディアと同様に、発信される情報をコントロールできません。その代わり、ユーザーの生の声のため、他ユーザーから共感を得やすいのがメリットです。

オウンドメディア:自社メディア

オウンドメディアは自社が保有するメディアのことで、自社サイトや自社ブログ、公式SNSなどを含みます。自社が運営していることから、発信する内容をコントロールできるのがメリットです。

ユーザーに対して役立つ情報を届けられることから、リピーターやファンの獲得といった顧客育成に向いています。

一度作ると自社の資産となり、長い間、顧客育成や集客に役立ちます。反対に、効果が出るまでに時間がかかることや、コンテンツの量を増やしたり、質を高めたりするのに労力を必要とするのがデメリットです。

PESOモデルの成功事例

PESOモデルの活用方法を具体的にイメージできるように、ここでは成功事例として株式会社良品計画の取り組みを紹介します。

株式会社良品計画:無印良品

出典:無印良品「What is MUJI?

株式会社良品計画は、無印良品を運営している企業です。

無印良品は、「しるしの無い良い品」という意味を持つブランドで、衣類や生活雑貨、食品などの幅広い商品を取り扱っています。国内に597店舗、海外に654店舗を展開しており、日本だけではなく世界でも活躍しています。

そのような無印良品のPESOモデルは以下のとおりです。

  • ペイドメディア

テレビCMや新聞広告などのペイドメディアにおいて、ブランドイメージが伝わる広告を配信しています。ストーリー性のある広告が特徴です。

  • アーンドメディア

無印良品の商品は魅力的な機能やデザインを持つものが多く、テレビで紹介されたり、雑誌で特集が組まれたりすることがあります。また、新製品の発売に合わせて取り上げられる機会も多いため、アーンドメディアをうまく活用していると言えるでしょう。

  • シェアードメディア

LINEやInstagram、Facebookなどの公式アカウントを活用し、積極的にユーザーとコミュニケーションを図っています。Instagramの公式アカウントだけでも、フォロワーが300万人を超えており、商品の魅力的な写真を数多く投稿しているのが特徴です。このように、誰かと共有したくなる情報を提供することで、SNSの拡散による効果を高めています。

  • オウンドメディア

「くらしの良品研究所」は、ユーザーからのリクエストの受付や研究成果を発信していたオウンドメディアです。2022年に活動を終了したものの、コンテンツは2024年6月時点でも公開されていました。また、ユーザーからのリクエストは、現在も受け付けています。

このように、無印良品は4つのメディアを活用したマーケティングを展開しています。

PESOモデルを取り入れてみよう

PESOモデルは、ユーザーの消費行動の変容から生まれたマーケティングモデルです。本記事で紹介した4つのメディアは、自社の戦略にマッチするように組み合わせて使うことが大切です。マーケティング手法に悩んでいる方は、PESOモデルを取り入れてみてはいかがでしょうか。