ナラティブマーケティングとは!意味や事例をわかりやすく解説

ナラティブマーケティングは、ユーザーの共感を得るマーケティング手法として注目されています。ユーザーから共感が得られると、購買などの次の行動を促しやすくなるためです。本記事ではナラティブマーケティングの意味や注目される背景、やり方のポイント、事例をわかりやすく紹介します。

Contents

ナラティブマーケティングとは

ナラティブとは、「物語」「話術」「語り」を意味する言葉です。ナラティブマーケティングとは、ユーザーの体験に基づく物語によって、自社商品やサービスの魅力を伝える手法です。

例えば、自社商品やサービスを利用したユーザーがSNSに自分の体験談を投稿したとします。それを見た企業は、そのユーザーとSNS上でコミュニケーションを図り、その物語に参加します。ユーザー視点で語られているため、別のユーザーから共感を得やすいのが特徴です。

ストーリーマーケティングとの違い

ナラティブマーケティングと混合しやすい言葉に、ストーリーマーケティングがあります。

ストーリーマーケティングは、ストーリー(物語)を活用したマーケティング手法です。具体的には創業者や企業の歴史、商品やサービスの開発秘話といった物語を伝えることによるブランディングが挙げられます。

どちらも物語を使用したマーケティング手法ですが、ストーリーマーケティングは企業主体の情報である点に違いがあります。

ナラティブマーケティングが注目される背景

この章では、注目を集めている背景について紹介します。

消費者のニーズが多様化した

ライフスタイルや考え方などで様々な選択肢が増えたため、現代は消費者の価値観が多様化しています。このように多様化するニーズに対応した商品開発をするには、ユーザーから寄せられる情報が重要です。ナラティブマーケティングはユーザーとのコミュニケーションを増やせることから、多様化したニーズに訴求できるとして注目されています。

企業の一方的な情報が届きにくくなった

現代は情報が溢れており、企業の一方的な情報は消費者に届きにくくなりました。例えば、スマートフォンを開くたびに自分の属性に合わせた広告が表示され、嫌悪感を抱いた経験がある方もいるでしょう。このように、企業の一方的な情報はときに、迷惑と捉えられることさえあります。そこで、ユーザー視点で訴求できるナラティブマーケティングは、ほかの広告と差別化できる手法として注目されています。

ナラティブマーケティングのメリット

ナラティブマーケティングのメリットは以下のとおりです。

  • 商品・サービス本来の魅力を伝えられる
  • ユーザーの親近感や好感度を高められる
  • ユーザーのニーズに沿った商品開発ができる

実践する前にこれら3つのメリットについて押さえておきましょう。

メリット① 商品・サービス本来の魅力を伝えられる

ナラティブマーケティングのメリットは、ユーザー主体の情報発信のため、別のユーザーに商品・サービス本来の魅力を伝えられることです。ユーザーが実際に感じた使い勝手や価格の妥当性、利便性などは、商品・サービス本来の魅力と言えるためです。

メリット② ユーザーの親近感や好感度を高められる

ユーザーが発信した情報に企業が返答すると、「自分の投稿を見てくれている」と感じて、企業への信頼感や好感度が高まります。さらに、別のユーザーにとっては物語の主人公に親近感を抱くことで、商品に対する好感度が高まるでしょう。すると、リピーターやファンの増加が期待できます。

ユーザーのニーズに沿った商品開発ができる

ナラティブマーケティングのメリットは、ユーザー主体の物語からニーズに沿った商品開発ができることです。従来の画一的な開発手法が通用しにくくなっている現代において、ユーザーに訴求できる商品を作る手法として注目されています。

ナラティブマーケティングのやり方

ナラティブマーケティングはユーザー主体の物語であることから、企業の行動だけで実現できません。そのため、うまくユーザーを巻き込んでいく必要があります。ここでは、ナラティブマーケティングのやり方を3つの手順で紹介します。

商品やサービスに触れる機会を作る

まずは、ユーザーに商品やサービスに触れてもらい物語のきっかけを作る必要があります。この段階で有効な方法は、商品体験型のイベントを実施することです。実際に商品やサービスに触れてもらうのと同時に、ユーザーから直接意見を聞くこともできるためです。

ユーザーの反応を分析する

次に、商品体験型のイベントで得られたユーザーの反応を分析します。自社商品・サービスの強みや自社の目的・コンセプトに合致した物語を創造しやすくするためです。

また、この段階ではターゲット層を絞り、ペルソナを設定しましょう。ペルソナが主人公となるような物語を創造することで、より効果を高められるためです。※ペルソナとは、商品・サービスのターゲットを明確化するために、細かな属性まで具体的に設定した架空の人物像のこと。

SNSで双方向のコミュニケーションをとる

3つ目の手順として、ユーザーとSNSなどを通じてコミュニケーションを図ります。ユーザーの物語に参加することでナラティブマーケティングとなるため、重要な手順です。

また、ユーザーの物語の価値を高めていくようなコミュニケーションを意識することが大切です。さらに他のユーザーも参加することで、より質の高い物語を創造できます。そのため、より多くのユーザーが参加できるような環境作りも重要となります。

SNS以外に交流できる場所として、ファンコミュニティサイトなどユーザー同士が交流できる場を作ることも有効です。このようなサイトがあれば、ナラティブマーケティングがしやすくなります。

ナラティブマーケティングの事例

ナラティブマーケティングの事例として、味の素冷凍食品株式会社の取り組みを紹介します。

味の素冷凍食品株式会社:冷凍餃子フライパンチャレンジ

出典:味の素冷凍食品株式会社「冷凍餃子フライパンチャレンジ

味の素冷凍食品株式会社は、「油や水なしで誰が調理してもパリッパリの羽根ができる焼き餃子」というキャッチコピーで冷凍餃子を販売しています。しかし、あるユーザーが調理した際に、フライパンに餃子が張り付いてしまったことをSNSに投稿して話題になりました。

そこで同社が「研究・開発のためにユーザーのフライパンを提供してくれませんか」とお願いしたところ、わずか3日間で全国から3,520個のフライパンが届きました。

届けられたフライパンを分析し、同社のモットーである「永久改良」を目指して2023年10月に始まったのが「冷凍食品フライパンチャレンジ」です。同チャレンジの結果、2024年2月にはフライパンへの張り付きを改善し、リニューアルした冷凍餃子の販売を開始しています。

ユーザーの物語に参加し、商品の改良につなげた味の素冷凍食品株式会社の取り組みは、ナラティブマーケティングの成功事例と言えます。

まとめ

ナラティブマーケティングは、ユーザーがSNSなどに投稿した物語に企業が参加することで、多くのユーザーから親近感や好感、共感を得られるマーケティング手法です。情報や広告の氾濫により、企業から一方的に配信される広告が伝わりにくくなった現代において注目されています。この機会に取り組んでみようというご担当者様は、商品体験型のイベントから始めてみてはいかがでしょうか。