人気の福利厚生の置き社食とは?注目される背景とメリット・デメリット 

置き社食は近年、人気の福利厚生として注目を集めています。その一例として、体重計などの計測器を開発・販売している株式会社タニタは、2025年2月4日から置き社食サービスを開始しました。しかし、「置き社食とはどのようなサービスなのか?」「導入するとどんなメリットがあるのか?」と疑問を持つビジネスパーソンもいらっしゃるでしょう。そこで本記事では、置き社食のサービス内容や注目される背景、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。 

Contents

置き社食とは? 

置き社食とは、オフィス内に専用の冷蔵庫や冷凍庫を設置し、そこから従業員が自由に食べ物や飲み物を取り出すことができる食事の福利厚生サービスです。一般的にお惣菜や冷凍食品などが用意されており、24時間いつでも利用できます。導入するには、株式会社タニタのような置き社食サービスを提供している企業と契約する必要があります。 

置き社食が注目される背景 

2024年、ビジネスホテルチェーンを展開するアパグループは、日本国内の222拠点で置き社食を導入しました。このように導入する企業やサービス提供企業が増えていることから、置き社食への関心が高まっていると言えます。ここでは、置き社食が注目される3つの背景を紹介します。 

参考:PR TIMES「「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」、アパグループ222拠点に導入」 

中小企業でも導入しやすい 

従来の社員食堂は設備投資の負担が大きく、中小企業にはハードルの高いものでした。しかし、置き社食は設備投資の負担が少なく、少人数の企業でも導入しやすいのが特徴です。そのため、これまで社食サービスを導入したいと思っていた企業から注目を集めています。 

従業員の昼食代の負担増を支援できる 

物価が高騰している中、従業員にとって昼食を外食で済ませることは負担が大きくなっています。株式会社リクルートの調査によると、2024年の外食の平均費用は1,243円でした。2023年は1,190円であったことから、物価高騰の影響で外食にかかる費用が増えていることを示しています。このような従業員の負担を企業がサポートする取り組みとして、置き社食が注目されています。 

参考:株式会社リクルート「働く人の平日ランチ「自炊」が最多も 2 年連続で減少」 

従業員の好みに合わせて柔軟な運用ができる 

置き社食は、従業員のニーズに応じた柔軟な運用が可能です。例えば、以下のようなスタイルの社食を提供できます。 

  • 市販の弁当や食品を提供するスタイル 
  • 健康志向の食品にこだわるスタイル 
  • サンドイッチやおにぎりなどの軽食に特化したスタイル 

このように、企業ごとの従業員の特性に合わせて、柔軟に運用できるのが注目を集めている要因の一つです。 

置き社食を導入するメリット 

置き社食を導入するメリットは、従業員の満足度の向上や働きやすい環境の実現、健康管理の支援、さらにはコミュニケーションの推進などがあります。ここでは、各メリットについて解説します。 

従業員の満足度の向上 

置き社食の導入は、従業員の満足度向上に役立ちます。なぜなら、従業員のニーズに合った食事を提供することで、心身をリフレッシュしやすくなるからです。また、品ぞろえが豊富であれば、料理を選ぶこと自体が楽しみになるでしょう。 

置き社食サービスを導入することで、企業従業員に対して投資しているという印象を与えられるのも従業員の満足度向上につながります。これにより企業と従業員の関係性が強化され、結果として従業員のエンゲージメント(愛社精神)が高まり、離職率の低下や生産性の向上が期待できます。 

働きやすい環境を実現できる 

オフィス外で食事をする場合、従業員には様々な負担がかかります。金銭的な負担はもちろん、「限られた時間内に済ませなければならない」というプレッシャーがあるためです。そして、外食するには移動時間や飲食店などの待ち時間に休憩時間を消費してしまいます。そのため、十分に休めないといったことにもなりかねません。 

企業が置き社食を導入するメリットは、従業員のこれらの問題を解消できる点です。具体的にはオフィス内で気軽に食事ができるようになれば、金銭的な負担が軽減し、休憩時間をゆったりと過ごせるようになります。 

従業員の健康管理を支援できる 

忙しい業務の合間に取る昼食は、どうしても栄養が偏りがちです。その結果、栄養が不足し、従業員の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。 

そこで、企業は置き社食を導入してサラダや野菜を中心とした料理、あるいは低カロリーでヘルシーな料理を提供することで、従業員の健康的な食生活をサポートできます。このような取り組みは従業員の健康維持に役立ち、結果として病欠が減り、企業全体の生産性の向上につながるでしょう。 

従業員間のコミュニケーションを促進できる 

企業が置き社食を導入するメリットは、従業員間のコミュニケーションを促進できることです。なぜなら、置き社食サービスの提供場所に従業員が集まることで、交流する機会を創出できるからです。異なる部署の従業員が会話する機会が増えることで、これまでになかった新たなアイデアが生まれる可能性もあります。つまり、置き社食の導入は職場のコミュニケーションを活発化させ、全社的なチームワークや協力体制を構築するのに役立ちます。 

置き社食を導入するデメリット 

置き社食はメリットが多い一方、いくつかのデメリットもあります。導入する際は、これらのデメリットについても十分に検討し、対策を講じることが大切です。ここでは、置き社食を導入する2つのデメリットを紹介します。 

利用されない可能性がある 

置き社食を導入しても、必ずしも従業員が利用するとは限りません。弁当を持参する割合が高かったり、外食が好きな従業員が多かったりすることもあるためです。置き社食は人気の福利厚生ですが、「ほとんど利用されない」という失敗をしないために、導入する際はニーズがあるかを調査する必要があります。 

設備やスペースを確保する必要がある 

置き社食を導入する際は、冷蔵庫や冷凍庫だけでなく、電子レンジや電気ポットなどの設備も必要です。そのため、各機器の購入と、それらを設置するためのスペースの確保が求められます。特にオフィスのスペースが限られている場合は、事前に十分なスペースを確保できるかを確認することが大切です。 

置き社食を導入する際にかかる費用 

置き社食を導入する際、発生する費用は一般的に「初期費用」「月額利用料金」「商品代金」の3つです。参考までに、冒頭で紹介した株式会社タニタの置き社食サービスの費用は以下のとおりです。 

初期費用:60,000円(税別) 

月額利用料金:45,000円(税別) 

商品代金:別途購入 

従来の社員食堂を導入する場合は数百万円以上の費用がかかることから、置き社食は比較的費用をかけずに導入できる福利厚生と言えます。 

置き社食の可能性を検討しよう 

置き社食は、人気の高い福利厚生として注目されています。従業員のエンゲージメントを高められるため、「生産性を高めたい」あるいは「人材確保を有利に進めたい」などの企業にとって、有効な選択肢の一つです。また、人気の高まりから新たなビジネスチャンスと捉える企業も増えています。この機会に、置き社食の可能性を検討してみてはいかがでしょうか。