B to Bマーケティングとは?基本知識や手法、成功事例、注意点を解説 

B to Bマーケティングとは 

「Business to Business」を略した言葉が「BtoB」です。この言葉が持つ意味は何でしょうか?簡単に説明すると「企業間取引」のことです。それでは、企業間取引とは何か?サービスや商品を販売する側=企業、そのサービスや商品を購入する側=企業の構造になっているのが企業観取引です。つまり、売り手と買い手のどちらもが企業なのが「BtoB」です。そして、この構造でビジネスを成長させていく戦術の1つに「BtoBマーケティング」という手法があります。 

BtoBマーケティングで成功した事例はいくつもあり、Googleで検索すると簡単に成功例を見つけられるでしょう。ただ、皆さんにお伝えしておきたいことがあります。それは、成功企業があれば失敗に至った企業もあるということです。この記事では、失敗例を掲載していませんが、是非、一度確認してみることをおすすめします。 

この記事では、BtoBマーケティングが注目される背景や成功事例などを紹介した後、注意点もまとめています。時間や資金、労働力といった経営資源にはどの企業も限りがあると思います。おそらく、このページを開いたあなたも、限られた制限の中知識を絞っていることでしょう。残された資金や時間などを無駄にせず有効的に使えるよう、BtoBマーケティングについてまとめたので、是非、最後まで完読して頂けると幸いです。 

BtoCマーケティングとの違い 

違いを紹介する前に「BtoC 」を知っていますか?この言葉は「Business to Customer」の略語です。「BtoB」では、売り手と買い手の両方が企業だったのに対し、「BtoC」は売り手=企業、買い手=一般消費者の構造になっています。「BtoC」の身近な代表例を挙げると、コンビニエンスストア、ドラッグストア、家具店など様々な業界に存在しています。つまり、一般消費者向けに自社商品やサービスを提供している企業が行っているマーケティングを「BtoCマーケティング」と呼んでいます。 

BtoCマーケティングの概要を踏まえたところで、「BtoBマーケティング」と「BtoCマーケティング」の特徴を比較してみましょう。それぞれの特徴から、以下のような違いがあります。 

・購入単価:BtoB > BtoC 

・購入に至るまでに必要な時間:BtoB > BtoC 

・購入頻度:BtoB < BtoC 

まずは「購入単価」について。一番イメージしやすい違いかと思います。「BtoC」の場合、一般消費者が使える主なお金は、本業収入の範囲内になると思います。家賃や保険などを支払った後に残ったお金の範囲でしか買えないので、商品やサービスに対して支払う金額は少なくなります。対して「BtoB」の場合はどうでしょうか?買い手は企業で資金という経営資源にも限りはありますが、1人の一般消費者が支払う金額と企業が支払う金額は比べ物にならないでしょう。つまり、買い手が誰かによって購入単価に大きな差がでてきます。 

次は「購入に至るまでに必要な時間」を比べてみましょう。「BtoC」の例として、夫婦+子供2人の家庭を考えてみましょう。家庭のお財布を管理しているのは妻という家族は多いと思います。この場合、気になる商品や欲しい商品を買うとなると、購入するかどうかを決めるのは妻のケースがほとんどでしょう。一方で「BtoB」はどうでしょうか?企業が商品や管理ツールなどを導入する場合、まずは担当者が窓口になり上司の係長や課長へ報告し、次は課長から部長、部長から社長へと、稟議を通すため複数人が関わります。社長決裁が通るまで1,2ヶ月かかるなんてことも普通かと思います。これらの例で分かるように「購入に至るまでの時間の長さ」が違ってきます。 

最後は「購入頻度」です。商品やサービスにもよりますが、「BtoC」で消費者がコンビニを利用する場合、お昼ご飯を毎日コンビニで買う人なら購入頻度は高いでしょう。購入頻度が高い商品は、生活必需品やそれに近い存在かと思います。そのため、単価も安いのが一般的な価格設定です。ところが「BtoB」の場合、業務効率化を図るシステムやツールを導入するとなると、システムやツール開発にかかる人件費や設備投資の関係で必然的に買い手側の単価が高くなります。商品が高額なため、費用対効果や1度の導入で長く使えて効率化できるものを検討しているでしょう。「BtoC」と比較すると購入頻度が低くなる理由が分かると思います。 

これらのように、「BtoB」と「BtoC」の主な違いは、購入単価、購入に至るまでに必要な時間、購入頻度と言えるでしょう。 

BtoB マーケティングが注目される背景

以前からBtoBマーケティングはありましたが、近年になり注目度が高まってきています。それはなぜでしょうか?実は、これもインターネットの普及が関係しています。これまでは、企業が効率化を図るために情報管理システムを導入しようと決めた場合、そのシステムを販売している企業に電話若しくはメールなどで連絡を取り情報収集していたと思います。他にも、外部の担当営業が訪問してきて話を聞くケースも多かったでしょう。一昔前は、人から情報収集する方法が主流でしたが、インターネットの普及に伴いこの流れが変わってきました。初期情報をWebメディアや検索エンジンといったインターネット上で得る企業が増えてきているということです。 

初期情報の収集方法の変化を分かりやすく理解する例として、株式会社メディックス(Medix Inc.)が実施した『2020年版IT製品選定者アンケート調査』が参考になると思います。アンケート対象者は、メディック社のIT製品やサービスを導入について関与した人を対象としています。アンケート結果では、何かしらのサービスや商品の導入を決めていないが業務に関する情報を収集する場合、検索エンジンやWebメディアを情報源としている人が多いことが判明したそうです。ただ、従業員数が多い企業ほどこの傾向が強いようで、少ない企業は出入り業者に聞く割合が増えたようです。 

出典:株式会社メディックス(Medix Inc.)『2020年版IT製品選定者アンケート調査』「認知のきっかけ」フェーズにおける、情報収集源(複数回答)

BtoBマーケティングが注目される背景として、買い手側の購入までのプロセスが変化していることを理解することがポイントです。顧客はインターネットを通じて様々な企業のサービスを比較検討することが容易になりました。そのため、初期情報を収集している段階で自社のサービスが認知されていなければ、競争に負ける確率が高くなる可能性があるでしょう。 

BtoBマーケティングの流れとメソッド

BtoBマーケティングの概要を学んだ次は、実際のマーケティングの流れを紹介します。色んなサイトでマーケティングのメソッドなどが紹介されていますが、ここでは、大まかな流れを把握するため、5つのStepにまとめ説明していきます。 

Step1:顧客ニーズを知る 

必ず理解しないといけないのが、顧客のニーズを知ることです。顧客のニーズを把握しないまま商品開発やサービスの準備を始めてはいけません。しっかりとした需要予測を無しに準備をすることは、自ら失敗する確率を高めているようなものです。顧客が何に対して問題を抱えており、どのように解決したいのか、ライバル企業のサービスは好評かなど、ニーズ調査を徹底することが重要です。USJをV字回復させたマーケター森岡毅氏のある著書の中でも「消費者理解」の大切さを謳っています。 

Step2:見込み客を獲得する 

徹底した顧客ニーズを調査した後、提供するサービスや商品を決めていきます。そして、顧客ニーズと同様に大切なのが、ターゲットいわゆる見込み客に対して情報をどのように届けるかです。情報発信の仕方が大切なのは、見込み客に自社商品やサービスを選んでもらえる機会を逃さないためです。そのため、見込み客がどのように情報収集しているのか、その実態を捉えることがポイントとなるでしょう。見込み客を獲得するには、見込み客にしっかりと情報を届けることが大切です。 

Step3:見込み客を育成する 

一般的に見込み客の育成とは、中長期的に顧客との接点を持ち信頼関係を構築していくことと言われています。BtoBの場合、購入決定に至るまでに時間を要することを説明しましたが覚えていますか?社長決裁まで時間がかかるため、顧客が抱える問題が変わる可能性も考えられます。そのため、一度提案して終わりではなく顧客の問題が変わっていないか、解決したいことが他にないかなど、見込み客との接点を切らないように関係を築づけるかがポイントになります。 

Step4:商談する 

ある程度見込み客の選定や抽出を終えた後は、提案や商談を進めていきましょう。この段階までくれば、自社サービスを必要としてくれるであろう見込み客を厳選できていると思います。 

Step5:顧客を維持する 

新規顧客を獲得できた場合、可能な限り関係性を維持できるようにすると良いでしょう。BtoBマーケティングの場合、提供しているサービスや商品にもよりますが、購入頻度が少ないので関係性を維持するとともに、購入の機会を逃さないためにも、他に抱えている問題がないか探るようにしていきましょう。顧客の問題をライバル企業よりも早く知ることができ、解決できる提案ができれば顧客の信頼度はさらに高まるでしょう。 

リード獲得には 

リード獲得とは、見込み客を見つけ出すことと言えるでしょう。見込み客を見つける方法には、展示会、セミナー、ダイレクトメール、テレマーケティング、資料ダウンロード、メディアへの記事掲載などたくさん存在します。ただ、これらの方法全てに取り組むことは得策ではないでしょう。なぜなら、経営資源である資金には限りがありますし、それぞれの方法にはメリット・デメリットを合わせ持っているからです。 

例えば、展示会の場合を考えてみましょう。展示会へ来る人たちはその業界に精通する人が多いと考えられるので、既に興味を持った人へアプローチできる点は強いメリットでしょう。一方で、展示会の主催者への利用料の支払い、広告物作成にかかる費用、展示会までの移動費など必要経費がどんどん高くなる可能性も考えられます。また、展示会の日時も決められているので、アプローチできる人数も限られます。 

展示会を例にメリット・デメリットを考えてみましたが、どのように感じたでしょうか?情報を発信し見込み客を獲得するには、アプローチしたい見込み客がどのように情報を収集しているのかを知ることが大切なポイントだと言えるでしょう。それを理解してから情報発信の方法を選ぶ、そのような手順で進めることで見込み客の獲得に向け効果的に取り組めるかと思います。 

リード育成には 

リード育成とは、機会損失をなくすことと言えるでしょう。折角、展示会やダイレクトメールなどで見込み客を獲得できたとしても、自社製品の購入に至らずライバル企業の製品を購入したとなれば、機会損失になります。では、なぜこのような機会損失が起こるのか。それは、見込み客への継続的なアプローチ不足と言われています。 

継続的なアプローチが必要になってきたのは、インターネットの普及による情報過多に伴う厳格化や長期化が原因ではないかと思います。買い手が得られる情報量が多くなったため、正確な情報を選別するのが厳しくなり、社長決裁までの過程が長期化していることが考えられるでしょう。実際に、欧米のコンサルティングチームの調査結果では、見込み客に対し継続的なアプローチができなかった場合、約8割の企業がライバル企業から製品を購入していると判明したそうです。 

出典:Sirius Decision※欧米のマーケティングコンサルティングファーム

そのため、リード育成には、長期的にフォローできる仕組み作りや適切なタイミングでの再アプローチがポイントとなるでしょう。 

BtoB マーケティングの事業事例 

それでは、実際にBtoBマーケティングの成功事業の事例を紹介します。 

金属加工業界 

長野県諏訪市に本社を置く、株式会社長野サンコーの事例を紹介します。同社は、プレス金型の設計や製作、プレス加工の事業を行っている企業です。展示会への出展による新規開拓など、従来の見込み客の獲得方法を変える必要性を感じ、Webマーケティングの導入を決めました。この導入をきっかけに、Webサイトへの問い合わせがコンスタントに入るようになり、大手自動車部品メーカーから量産案件を受注することができたそうです。 

リード獲得方法を変えたことによるBtoBマーケティングの成功事例の1つと言えるでしょう。 

海外製品の販売 

次に、大阪市西区に本社を構える、株式会社スペック・ジャパン(Speck Japan Co.Ltd)を紹介します。同社は、ドイツ製のマグネットポンプメーカー(SPECK社)の販売事業を展開している企業です。会社設立に伴うWebサイトの構築の際、Webサイト作成会社にサイト作成を外注したことで、問い合わせ件数の大幅な増加に加えて顧客のニーズを知る機会が多くなったそうです。ポンプの販売だけでなく、ポンプを理解するためにコンテンツを作成し、利用した顧客から良い評価を受けた実績があります。 

こちらの例も、効果的な情報発信により見込み客の増加及び顧客満足度向上に繋げれた成功事例です。 

注意点 

ここまで、成功事例も含め詳細に紹介し、BtoBマーケティングに取り組もうと意欲的になった方もいるかと思います。ただ、BtoBマーケティングの利点を効果的に応用できるように注意点を学んでおきましょう。ここでは、2つの注意点を紹介します。 

注意①:企業の問題を正確に捉える 

顧客のニーズを徹底的に理解することです。先程もお伝えしましたが、非常に大切なので 

もう一度お伝えします。BtoBマーケティングの顧客は企業です。企業が買い物をする場合には、相当な時間をかけ検討し、購入した後のメリットが見込めた場合に購入するケースがほとんどでしょう。つまり、企業が抱える問題を理解しておかないと購入に繋がる可能性が低くなるかもしれません。 

注意②:見込み客へのアプローチ方法を絞る 

見込み客を獲得する方法はたくさんあります。Webサイト、展示会への出展、メルマガ、SNSなど多様にあります。ですが、それぞれには特徴がありその点を理解していないと無駄な努力になりかねないので注意が必要です。まずは認知度を広めるといった目的であれば、SNSやメルマガといった方法が良いかもしれませんし、ある程度、見込み客を絞りたいなら展示会への出展などが効果的な情報発信に繋がるかもしれません。資金や時間といった経営資源は限りがあると思うので、届いて欲しいターゲットに効果的なアプローチ方法を絞ると良いかと思います。 

おわりに

BtoBマーケティングについて詳細に紹介してきましたが、どうでしょうか?インターネットの普及により、顧客の購買プロセスが大きく変化してきていることを理解する。この点を把握する大切さをこの記事を通して感じてもらえると幸いです。 

ライバル企業がこの大切さに気づいていないならチャンスです。売り上げをさらに伸ばす1つの方法として、BtoBマーケティングを覚えておくと、今後の選択肢の幅が広がるかとおもいます。