世界で注目されるECアグリゲーターとは!意味や事例3選を解説 

ECアグリゲーターは、EC業界で急速に成長しているビジネスモデルとして注目を集めています。簡単にいえば、有望なD2C企業を積極的に買収し、経営の効率化や集約などにより成長させる企業です。

本記事ではEC業界のトレンドを知りたい経営者に向けて、ECアグリゲーターの意味やメリット、事例3選を紹介します。

Contents

ECアグリゲーターとは

ECアグリゲーターとは、Amazonなどで高評価を得ている有望なD2Cの中小企業を積極的に買収し、経営の効率化や集約化などで成長させる戦略をとる企業です。なおD2Cとは、メーカーが直接消費者に商品を販売するビジネスモデルです。

Amazonの評価を参考にする企業が多いことからAmazonアグリゲーターや、ECロールアップと呼ばれることもあります。

ECアグリゲーターが注目される背景

Marketplace Pulseの「Amazon Aggregators」によると、ECアグリゲーターの数は2022年に急増し、現在は世界中で77の有力企業があります。それらのうち28の企業は、1億ドル以上の資金調達に成功しているとのことです。

このように、世界中でECアグリゲーターが注目される背景は以下の2つが挙げられます。

  • D2C市場規模の拡大
  • D2C企業のリソース不足による限界

ECアグリゲーターの現状を把握するために、注目される背景を押さえておきましょう。

D2C市場規模の拡大

D2C市場規模は年々拡大しており、今後も成長できるビジネスモデルとしてECアグリゲーターが注目されているのです。

実際にEMARKETERの「Why more brands should leverage a D2C model(より多くのブランドがD2Cモデルを活用すべき理由)」によると、アメリカのD2C市場規模は以下のように拡大すると予想されています。

出典:EMARKETER「Why more brands should leverage a D2C model

2020年時点で1,000億ドルを突破し、EC総売上高の14.0%をD2Cが占めました。2023年の売上高の予測は1,749億ドル(約26兆円)で、2020年から1.5倍以上の拡大となる見込みです。

日本においてもD2C市場規模は拡大しており、売れるネット広告社の2020年のプレスリリース「デジタルD2Cの市場動向調査」によると、2025年には3兆円を突破すると予測されています。

このように世界中で市場規模が拡大しているD2C産業で、ビジネスチャンスを掴むための手法としてECアグリゲーターが注目されています。

リソース不足による限界

D2Cの中小企業にとって、製造から販売まで一貫して行うのはリソース不足による限界があります。また、マーケティングやブランディングなどの専門知識を持つ人材が確保できていない企業もあるでしょう。

このような企業の場合、事業を拡大しようにも十分な施策が実行できないことで、いかんともしがたい状態に陥ります。そこで、ECアグリゲーターのD2C事業の経営ノウハウやリソースを投入することで、効率よく事業を拡大できるとして注目されているのです。

ECアグリゲーターのメリット

ECアグリゲーターが注目される理由に、買収側・売却側の双方にメリットがあることが挙げられます。ここでは双方のメリットについてわかりやすく解説します。

買収側:効率的に事業を拡大できる

買収側、つまりECアグリゲーター側のメリットは、有望なD2C事業を傘下に加えることで効率的に事業を拡大できることです。

ECアグリゲーターが買収するD2C事業は、すでにAmazonなどで高い評価を得ている企業です。消費者から選ばれていることから、マーケティングを強化することでさらなる売上アップが期待できます。

そのため、ECアグリゲーターの成功は、D2C事業を成長させる独自のマーケティング手法やノウハウがあるかどうかにかかっています。

売却側:マーケティングのノウハウやリソースを活用できる

D2C事業を売却する企業のメリットは、売却益を得られることです。加えて、ECアグリゲーターのマーケティングのノウハウやリソースを活用できるのもメリットです。

中小企業のD2C事業であれば、マーケティングのノウハウやリソースの不足が要因で事業を思うように成長できないこともあります。ECアグリゲーターに売却すると、これらの課題を解決できるため、さらなる事業の拡大に挑戦できます。

ECアグリゲーターの国内事例3選

実際にECアグリゲーターは、どのような活動をしているのか知りたい方もいるでしょう。そこで、国内のECアグリゲーターの3社を事例として紹介します。

事例① forest(フォレスト)株式会社

出典:forest株式会社

forest(フォレスト)株式会社は、東京に本社を置くECアグリゲーターです。forest株式会社は2021年7月に創業して以降、着実に成長を続けています。2023年には約25億円を資金調達し、2026年までの目標として約100社の買収を掲げています。

同社が買収した代表的なブランドはスマホ向けの液晶保護ガラスフィルムの「ガラスザムライ」です。正規取扱店の「BRIDGE STORE」は、楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2023にて大賞を受賞しています。

またforest株式会社は、日本の製品や伝統工芸品の越境ECサイト「omakase」を2023年10月に開設しました。海外への販路を確保することで、さらなる成長が期待されています。

事例② 株式会社ACROVE(アクローブ)

出典:株式会社ACROVE

株式会社ACROVE(アクローブ)は、東京に本社を置くECアグリゲーターです。また、ECの売上の最大化を支援するECプラットフォーム事業も行っています。

株式会社ACROVEの特徴は、自社開発した大手ECモール分析ツールの「ACROVE FORCE」を活用していることです。独自の分析ツールを開発することで、再現性の高いノウハウを確立しています。実際にブランドの売上平均成長率は300%を達成しており、国内のECアグリゲーターのなかでも注目されている企業です。

事例③ MOON-X(ムーンエックス)株式会社

出典:MOON-X株式会社

MOON-X(ムーンエックス)株式会社は、東京に本社を置く企業です。以下の3つの事業を展開しています。

  • 自社ブランドの立ち上げ・運営
  • 他社ブランドの成長支援
  • 共創型M&A

MOON-X株式会社が提案する共創型M&Aとは、簡単にいえばECアグリゲーターのビジネスモデルです。

共創型M&Aで、これまでに統合したブランド例は以下のとおりです。

  • レバンテ:ヘルス&ビューティケアブランド
  • 猫壱:猫用品ブランド
  • ヒツジのいらない枕:高品質寝具ブランド

このように、多ジャンルの事業を短期間のうちに拡大できるのはECアグリゲーターの強みといえます。

D2Cで悩んでいるならECアグリゲーターとの提携も1つの方法

D2C事業を立ち上げたものの、成長戦略について悩んでいる経営者も多いでしょう。例えば以下のような悩みを持っていませんか。

  • 人的リソースが足りない
  • 販売チャネルを多角化しようにもやり方がわからない
  • 越境ECに挑戦したいが専門知識を有する人材がいない

このような悩みを持っているのであれば、ECアグリゲーターへ売却する解決方法もあります。事業を成長させるための選択肢の1つとして、この機会に検討してみてはいかがでしょうか。