メンバー全員が新製品プランを役員プレゼンできるように

富士工業株式会社様は、レンジフード分野で国内トップシェアを誇る厨房機器メーカーです。
今回、新分野での製品開発の部門立ち上げにあたって、セルウェルの新規事業支援サービス「medeteru(メデテル)」をご採択いただきました。
『マーケット起点での新製品をつくっていきたいが、ノウハウが分からない』
お困りごとの解決のために、セルウェルでは、以下の3フェーズに分けてのご支援を展開しています。
プロジェクト概要


| クライアント業界 | 住宅設備業界 |
| 支援期間 | 約3ヶ月 |
| BEFORE:支援前の課題 | ・部署背景の異なる4名の新チームが、議論や共通理解を深められていなかった ・新製品テーマがみいだせておらず、製品プラン策定に向けた検証手順も曖昧 ・市場ニーズのとらえ方がわからず、分析の知識が不足 |
| AFTER:支援成果 | ・部署横断チームが建設的に議論できる組織へ成長。全員が役員にむけて新製品プランを自らプレゼン ・新製品企画の推進フローを整備、マーケティングナレッジを体系化 ・市場起点で考察した新製品プランは、一部が実現性検証のフェーズへ移行 ・他部門へも波及し、新製品プラン創出の機運が拡大 |
| 支援内容 | ・常駐OJT形式で、マーケットイン視点をインプット ・検証プロセスの設定や調査/フレームワーク活用を実践支援 ・専門コンサルによるテーマ別レクチャーで知識定着を後押し ・壁打ち、模擬演習、日常的なディスカッションで、役員プレゼン準備を伴走 |
今回は、Phase.2『市場起点での新製品プラン開発』の取り組みについて、チームメンバーの方々にお話をお伺いしました。施策の目的は、「チームメンバーそれぞれが、市場起点の新製品開発ができるようになること」です。

週に3日、セルウェルのコンサルタントがオフィスに訪問。チームメンバーの4名に対して、OJTでマーケットインの視点(市場を見るDNA)をインプット。手元のタスクの進め方をアドバイスしながら、市場の見極め~製品案立案までのプロセスをサポートをいたしました。
それと並行して、それぞれ得意分野を持つセルウェルの4名のコンサルタントが個別にテーマを深掘するレクチャーを開催。業務として再現性があるものとなるよう、本質的な理解を促しチームに定着させていき、最後は役員プレゼンまで実施しました。
市場視点と知識不足、チーム議論が不活性
── 今回、このプロジェクトに取り組むことになったきっかけについてお聞かせください。
山本様
これから会社として新製品プランを作っていきたい、というときに、マーケットを見据えた考え方が会社に根付いていないという課題がありました。そこから、「新しくチームを作ってやりましょう」ということになり、今回のプロジェクトメンバー4名が選ばれました。
今まで、私も含めて色々な社員が新製品プランの提案をやってきましたが、それが顧客のニーズと合っているのかどうかすらわからない状態でした。
他の市場を攻めに行こうと思った時に、どうやったらいいかわからない。自分たちで見よう見まねでやっていて、軸となる知識や経験が圧倒的にない状態だったので、「軸を作りたい」という思いで、このプロジェクトが始まりました。
最初は不安の方が大きかったです。率直に言って、「どうしよう」という気持ちでした。

課題背景・お悩み事
- 顧客ニーズとの適合性が不明確で、市場分析や新製品立案の知識が不足していた
- 新製品のプランニングの進め方や軸が定まらず、不安を抱えていた
いきなりの面談にタジタジ。
わからないことがあってもすぐ聞ける環境だった

── プロジェクトはどのように進んでいったのでしょうか。
山本様
ワークショップと新製品プラン開発を実戦形式で週3日、会議室に缶詰でやりました。
当初の印象では「研修」という感じだったんですが、いきなり個人面談をやって、パーソナルな部分も含めて聞かれて、ちょっとびっくりしました。「いきなり面談か」と思って。
初めは「研修だけなのかな」と思っていたけど、3日間、手を動かす、頭を動かす。基本的なやり方を資料をもとに説明を受けますが、実践が主体でした。わからないことがあればすぐ聞ける環境で、「議論して」と言われても、わからないので最初は無言になっちゃうんですが、セルウェルさんのコンサルタントの方が「どんどん話して」と促してくれました。
手法やフレームワークも大事だけど、「伝えることを言葉にして伝えましょう」というコミュニケーションをとりながら進めていく。学びと実践が一体となっていました。
ある出来事をきっかけに、出自がバラバラなメンバー4名が議論できるように変わった

── 山本様が課長でいらして、他の方と年次も離れていらっしゃいます。また、このメンバー4名はプロジェクトのために集められたメンバーで、違う部署出身の方々だと聞きました。最初はなかなか話しにくかったのかなと思うのですが、いかがでしょうか。
島森様
確かに、最初はそんな感じでしたが、あるきっかけを経て、みんながどんどん自分の意見を言えるようになっていきました。
プロジェクトでは、ビジネスチャットツール「Microsoft Teams」でコミュニケーションを取っていたのですが、あるとき、一條さんが「それってどういうこと?」と聞き直してくれたんですよね。
他の3名が「ふんふん」と聞き流していたようなところを、食い下がって深掘りしてくれたというか。そこから、みんな違う意見を出し合って建設的な議論ができるようになっていったんです。セルウェルのコンサルの方も、違う意見を出し合うように促してくれました。
一條様
そのときのことはよく覚えています。一人だけ、みんなが「なるほど、そうだよね」と言っていることがわからなくて、なんでつまづいているかもわからない状態でした。
「なんでみんなそんなに綺麗にいくんだ」と思って。どこが違うのか、というすり合わせをしてなくて、みんな喋ってなかったんですよね。だからみんなの流れを止めて、聞き直したんです。

山本様
私も、他のメンバーが話しやすいように、「なるべくこうだよね」と決めつけないようにしました。そもそも最初に「このプロジェクトで自分が一番失敗しよう」という目標を立てていました。

このチームでは、人によって同じ情報を見ても解釈の仕方が異なることを許容し、お互いの考え方の癖を理解しあうことを早い段階から目指しました。
結果的に先のフェーズでの意見交換の質や各人の判断力が格段に高まったと思います。
また、仮説を検証することに適切に向き合うことができるようになりました。
親身で話しやすいコンサルだった
── 伴走支援を実施したセルウェルのコンサルについて、どんな印象を持たれましたか。
井上様
今までだと、コンサル会社の方に相談しても「そういうことじゃないんだよな」と思うこともあったんですが、セルウェルの方は「私のことをちゃんと理解してくれているな」と感じました。
一條様
身近な存在でした。週3回も来てくれていたので、相談しやすくて。ちょっとした疑問も、「聞いていいのかな」というものもあるけど、そうではなくて。
答えを導くための考え方を教えてくれるんです。その後、つまずいても応用できる。ためになる教え方をしてくれました。



── テーマごとに大きな研修も実施しましたが、その印象はいかがでしたか。
山本様
いつもと違うコンサルの方に来ていただいて、いろいろな形で研修してくれたので、メリハリがつきました。
一條様
セルウェルのコンサルのみなさんそれぞれの考え方が違っていて、面白かったです。
言語化して説明するのが上手な方とか、数値が強い方とか、得意分野が違うコンサルの方々から多角的にアドバイスをいただけました。
島森様
定性調査の研修で、「設問のカテゴリを分ける」タスクがあったんですけど、全くわからず大変でした。コンサルの方が何を言っているのか、本当に全くわからなくて、「困りすぎて眉毛がハの字になってるよ」と言われました(笑)。自分の苦手分野を自覚できました。


プロジェクト期間4ヶ月の最後には役員プレゼンを実施
ーープロジェクトの最後には、メンバー4名それぞれが役員の方々に新製品プランのプレゼンをされました。
山本様
プレゼンのやり方も含めてですけど、自分の資料であれだけ長くプレゼンする、という経験がそれほどなかったので、大変緊張しました。
何度も繰り返しセルウェルの方に模擬練習をやっていただきました。こういう流れがいいんだとか、ストーリーはこういうふうに膨らませるとか。ただやったことを伝えるだけじゃダメで。そういうところが、実態としてできるようになりました。
島森様
良い経験ができました。特に「資料作りが自分は苦手なんだ」と気付けたのが大きかったです。練習の時に、セルウェルのメンバーがプレゼンのスコア付けをしてくれて、改善できました。

井上様
プレゼンの後の質問タイムは今まで怖かったんですけど、3ヶ月ちゃんとプロジェクトをやってきたので、役員に聞かれたことにちゃんと答えられたのが大きな成果でした。
一條様
役員の前で発表する機会はそうそうないので「そのための資料ってなんだろう」と考えるところからプレゼン資料作りが始まりました。資料を作る中で、セルウェルの方が内容を精査し、サポートしてくださったので、議論の土台として十分な資料になったと思います。

情報を論理的に組み合わせてストーリーを作り、話の経緯を知らない人に伝えて、理解と共感を得ることがゴールでした。こういったことに時間をかけて資料を作りこむ機会は、これまでそう多くなかったかもしれません。
既存のフレームワークに頼りすぎず自分の考えを紙に落としていくことで、頭の中が整理され、経営層からの問いかけにも耐えるものが出来上がりました。
プロジェクト後の変化「自走して新製品プランづくりを進められるようになった」

ーープロジェクトの難易度についてはどんな印象を持たれましたか。
山本様
最初の1週間くらいは、毎日ヘトヘトになりました(笑)。
このプロジェクトをやって、日々のルーティーン業務もやって、という感じだったので。ただ、しばらくすると、脳の使い方が慣れてきたのか、ヘトヘトになることも減っていきました。
井上様
最初は「めちゃめちゃ疲れるな」と思いました。でも、こんなにずっと人と喋りながら考えるという経験がこれまでなかったので、楽しかったです。
ーープロジェクトを終えて「成長できたな」と思う点はありますか。

山本様
プロジェクトが終わってから、社内の他のメンバーも新製品プランを作れるよう、この3ヶ月間で教わったことを私と一條で教えています。そこでも、メンバーにアドバイスすべきことがよくわかるようになりました。
一條様
私も、1年前には絶対できなかったようなアドバイスができるようになっている、と感じています。
ーー島森様、井上様はそれぞれ新製品プランの検証を推進しているということですが、このプロジェクトの経験はどのように活かされていますか。
島森様
おかげさまで、新製品プランの形は着地しました。
今は市場調査などに取り組んでいます。ある程度、調査も済んできて、協力会社に依頼して、「こんな製品、実現できないか」とか、特許調査を進めています。
成長できた点としては、セルウェルさんに相談しなくても、自走できるようになったのが大きいかな、と感じています。
井上様
自分でいろいろな判断や優先順位をつけられるようになったことが大きいです。そういう意味では、成長できたのかな、と思っています。
今後は、教わったことを会社中に広げていきたい




ーー今後、このプロジェクトで得た知識や経験をどう活かしていきたいですか。
山本様
プロジェクトで身につけた、マーケットを捉えて新製品アイデアを企画し開発する考え方を、もっと社内中に広げていきたいです。多くの人がこの考え方をできるようになれば、もっと会社はよくなると思います。
ーーこちらの記事をご覧の方に、メッセージをお願いいたします。
島森様
セルウェルさんのこのサービスを利用すれば、必ず得るものはあるはずです。チームビルディングのきっかけとしてもおすすめしたいですね。
山本様
おすすめしたいのは、新製品・新規事業の企画方法とか、マーケットインの知識やノウハウ、手法が身につくことだけじゃないんです。
コミュニケーションの仕方や言語化の仕方、議論の仕方など、全部含めて意識が変わる。そこが他のいわゆる「コンサル」的なところとは違う気がします。
担当者のコメント
ボールを自分たちでしっかりと抱えて自走できるようになってもらうことが重要だったため、メンバーの主体性を軸に進めたプロジェクトでした。成果が上がるかはメンバー次第なところも大きかったのですが、一緒に設定したタスクに熱心に向き合い続ける4名の姿に、支援する側としても大きな手ごたえを感じました。
プロジェクト終了後の富士工業の皆さんは、続きのプロセスを自分たちで定めながら進められるようになっていたり、社内の周りの部門にレクチャーをする立場になっていたり、しっかりと自分たちの足で歩み始めているようです。
このチームがこれからどのような製品・サービスを生み出していかれるのか非常に楽しみです。
こちらの案件が気になる方は別途資料にてご紹介いたしますので、ぜひお気軽にご連絡ください。
