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セルウェル通信 No.003
2026.08.04 (火) 発行
論点号|商品開発・マーケ
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第3号 — 論点号
なぜ、あの競合だけが 「新しい売り場」を創れたのか。
いまの数字3つ/分かれ目4つ/会議の前に埋める4問
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いつもセルウェル通信をご覧いただきありがとうございます。
成熟しきったカテゴリーで、一社だけが「新しい売り場」を立ち上げることがあります。追随する側にも技術はあり、予算もある。それでも差が埋まらない。
差がついているのは、製品スペックでも広告費でもありません。「何をもって選ばれるか」というものさしの側を書き換えたかどうかです。
そのものさしを書き換えられていない商品ほど、値上げが通りません。まず、いまの数字から見ていきます。
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1. いまの局面
売れている。それでも、残らない。
主戦場の一つ、食品・飲料を例に。年次統計は公表ラグで1〜2年前の姿になるため、四半期・月次の直近値だけを並べます。
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売上高 前年同期比/営業利益率(2026年1-3月期)
+6.0% / 営業利益率 1.9%
売上は伸びています。それでも利益率は1.9%(前年同期比では+1.1pt)。「売れているのに、残らない」が数字で出ている局面です。
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価格転嫁ギャップ(2026年6月・全国値)
−5.4pt
消費者物価の前年比から企業物価の前年比を引いた値。マイナスが大きいほど、仕入コストの上昇を売価に転嫁できていない状態です。値上げが「通る商品」と「通らない商品」は、ここで分かれます。
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業況判断DI(2026年6月・大企業)/機械受注 前年同期比(〜2026年5月)
+9 / 機械受注 +2.7%
景況感はプラス。設備投資の先行指標である機械受注も伸びています。つまり、競合はいま動いています。様子見が最も高くつく時期です。
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読み方 需要は戻り、競合も投資している。それでも利益は薄く、値上げは通りにくい。そのなかでも最も値上げが通らないのは、価格以外の選ばれる理由を持たない商品です。
▸ 4指標の推移・出典・他業界との比較(業界ファクトシート・無料)
▸ 値上げしても選ばれ続けるための設計(価格改定・値上げの戦略)
出典と時点:売上高・営業利益率=財務省 法人企業統計調査・四半期(2026年1-3月期・原数値のため前年同期と比較)。価格転嫁ギャップ=総務省 消費者物価指数・日本銀行 企業物価指数より当社算出(2026年6月・全国値/業界別内訳は非公表)。業況判断DI=日本銀行 短観(2026年6月・大企業)。機械受注=内閣府 機械受注統計(食品製造業・民需/季節調整済・3ヶ月平均の前年同期比/〜2026年5月)。
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2. 4つの分かれ目
「選ばれる理由」が立つ商品と、 立たない商品。
ヒット商品の開発プロセスを当事者に遡って解剖した案件から、再現できる形に整理しました。
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市場の停滞を「飽和」と読むか、「共感の欠如」と読むか |
伸び悩みを「もう需要がない」と読めば、次の一手は改良競争の延長になります。「不満の中心をまだ掴めていない」と読めば、誰も棚を立てていない不満を探す調査に進みます。新しい売り場は、後者からしか生まれません。
判定の目安 直近3年の失注・棚落ちの理由の1位が「価格」なら、価格の問題ではなく、価格以外の理由を提示できていない可能性が高い。
いま確認 自社の商品会議で使われている言葉は「市場が飽和している」か、「不満の中心が見えていない」か。
▸ 生活者インサイト調査・分析(本音から「なぜ選ばれるのか」を解く)
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従来の価値軸に機能を足すと、比較表の中の1行になります。価値のものさし自体を取り替えると、比較表の外に出ます。新しいカテゴリーは、新技術より先に「新しい言葉」から立ち上がることが少なくありません。
| 足す(比較表の中に留まる) |
言い換える(比較表の外に出る) |
| 「高機能」「◯◯配合」 |
「◯◯をしなくて済む」 |
| 「業界最高水準の精度」 |
「確認作業がゼロになる」 |
| 「多機能で経済的」 |
「買い替えの判断がいらない」 |
いま確認 自社のコンセプト文は「従来+α」になっていないか。顧客が実際に使う言葉で書けているか。言葉の候補は、社内の多数決ではなく顧客への提示で選べているか。
▸ 商品コンセプト開発・検証(「刺さる理由」を事実で設計する)
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「全部やり直す案」しかないか、「一点だけ変える案」があるか |
ブレイクスルーの正体は、全面刷新ではないことが多い。長年変わらなかった工程の最後の一手だけを変え、既存の強みと設備を壊さずに新しい便益を成立させる。投資も上市リスクも抑えられるため、社内も通ります。
いま確認 止まっている企画は「全部やり直す案」になっていないか。既存工程・既存設備を前提に、変えるのは一点だけという案まで落ちているか。
▸ 開発ストーリー解明(ヒットの「売れた理由」を再現可能な型に)
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「棚の前の数秒」を見ているか、値引きで動かしているか |
新しい売り場は、企画会議ではなく店頭で完成します。ところが配荷が決まった瞬間に、社内の関心はPOSの数字だけになりがちです。「配荷はされたのに、回転が上がらない」——このときPOSからは、なぜ隣の商品が取られたのかが分かりません。結果、打ち手が値引きとポイントだけになり、利益とブランドが同時に痩せていきます。
「選ばれない」は1つの現象ではありません。段階で切り分けると、値引き以外の打ち手が見えます。
| 選ばれない理由(段階) |
効く打ち手 |
| そもそも売場に来ていない |
売場位置・カテゴリ提案(棚割の見直し) |
| 通っているが気づかれていない |
パッケージ・什器・視認性 |
| 気づかれたが手に取られない |
便益のひと言・棚前の説明 |
| 比べられて負けている |
価値の言い換え(=分かれ目2に戻る) |
いま確認 直近で回転が落ちた商品について、この4段階のどこで落ちているかを言えるか。言えない場合、値引き以外の打ち手は選べません。棚の前を見た人が社内にいるかどうかが分かれ目です。
▸ 店頭で「選ばれる」仕組み(棚前行動の観察から売場・商談の打ち手へ)
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| WHO |
最も買ってほしい顧客が、いま抱えている不満は何か。それを今は何で解決しているか(=本当の競合) |
| WHAT |
その商品は顧客の何を「できるように」するか。専門用語なしの一文で言えるか |
| WHY US |
価格が同じでも自社が選ばれる違いは何か。その違いを顧客は価値だと感じているか |
| AGAIN |
一度使った顧客が「また選ぶ」理由は何か。値上げしても離れない理由になっているか |
埋まらなかった欄が、いま確かめるべきことです。アンケートの「買いたい」と実際の購買行動は必ずずれます。仮説が固まったら、発売前に実測してから投資判断へ進んでください。
▸ 「選ばれる理由」設計ワークシート(全4ステップ・記入式・無料DL)
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関心の分岐
いま最も近い関心を、1つ選んでください。
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次号以降
今号 論点号|商品開発・マーケ(選ばれる理由が立つ商品と、立たない商品)
次号 成長17分野|「うちは関係ない」と思っていた市場への乗り遅れ(予定)
発行は毎週火曜。
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