空飛ぶクルマの実用化はいつなの?メリットや開発企業を紹介

大阪・関西万博は2025年4月13日から開催されます。見どころのひとつが「空飛ぶクルマ」で、遊覧飛行や2地点間移動などに使われる予定です。

空飛ぶクルマは次世代のモビリティとして期待されているため、注目度の高い分野です。しかし、「本当に実用化できるの?」と思っている方もいるでしょう。そこで、本記事では空飛ぶクルマの実用化に向けた、ロードマップやメリットについて紹介します。

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空飛ぶクルマの仕組み

空飛ぶクルマと聞くと、一般的な車に翼が出てきて空を飛ぶと思うかもしれません。しかし、近年開発されている空飛ぶクルマは、そのようなSF映画に出てくるようなものではなく、どちらかといえばドローンに似ています。

複数のプロペラを搭載し、安定した姿勢を確保して飛行できますが、タイヤがついていないため路上の走行はできません。ただし、一部のメーカーでは道路も走行できる空飛ぶクルマの開発を行っています。

空飛ぶクルマは主に3種類があります。

マルチロータータイプ

垂直な軸周りに回転する3つ以上の電動の回転翼により、揚力・推進力を得るタイプです。バッテリーの消耗が激しいため、短距離の移動に向いています。

リフト・クルーズタイプ

水平方向の回転翼と垂直方向の回転翼を持つタイプです。推進力は水平方向の回転翼、揚力は垂直方向の回転翼で得ています。別々の電動推進を持っているため、マルチロータータイプと比較して、飛行できる距離が長くなります。

ベクタードスラストタイプ

離着陸時は垂直方向のプロペラで揚力を発生させ、水平方向の移動時はプロペラの角度が変わり、前方への揚力を得られるタイプです。

ヘリコプターとの違い

空飛ぶクルマは回転翼により飛行するので、「ヘリコプターに分類されるのでは?」と思う方もいるでしょう。ヘリコプターと空飛ぶクルマの大きな違いは、自動操縦機能、あるいは姿勢制御機能が搭載されているかどうかです。

空飛ぶクルマは、飛行時に自動で姿勢を制御する装置が搭載されているため、ヘリコプターを操縦するほどのスキルは要りません。また騒音の大きさにも違いがあります。空飛ぶクルマはヘリコプターよりも回転翼のブレードが短いため、発生する音が小さいのも特徴です。

大阪・関西万博の目玉は空飛ぶクルマ

出典:EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト

2025年4月13日から開催される大阪・関西万博の目玉は、空飛ぶクルマに実際に乗れることです。万博では周辺地域に設置された離着陸場から、万博会場までの2地点間運行を予定しています。

現在、4社の空飛ぶクルマの出展が決定しています。

  • Joby Aviation
  • Volocopter
  • Vertical Aerospace
  • SkyDrive

ただし、Vertical Aerospacの運行事業者である丸紅は「デモ飛行」にとどめることを決定し、有人飛行をしない予定です。残り3社による有人飛行が実現できるかどうかに注目が集まっています。

空飛ぶクルマの実用化に向けたロードマップ

我が国ではドローンや空飛ぶクルマを次世代モビリティとして捉えており、「空の移動変革に向けたロードマップ」に沿って環境整備や技術開発に取り組んでいます。ロードマップは以下のとおりです。

出典:国土交通省「空の移動革命に向けた官民協議会

ロードマップによると2025年の大阪・関西万博を皮切りに、商用運行の拡大を予定しています。さらに、2030年代以降はサービスエリアや路線、便数を拡大し、日常生活における新たな移動手段になるとしています。

空飛ぶクルマが実用化されるメリット

ロードマップによると近い将来、空飛ぶクルマが実用化し、見慣れた風景になるとのことです。しかし、実用化すると我々の生活にどのような変化をもたらすのでしょうか。ここでは、空飛ぶクルマが実用化された場合のメリットを紹介します。

効率的な移動が可能

空飛ぶクルマが実用化されると、効率的な移動が可能になると期待されています。例えば、ビルからビルへの移動ができます。また目的地まで一直線で行けるため、山間部への移動手段としても有効です。空中を移動することで移動時間の短縮もできます。

災害や事故時の対応の迅速化

空飛ぶクルマは空中を移動するため、渋滞に巻き込まれる心配がありません。また災害で道路が寸断されても、直接被災者のもとまで行けるのが強みです。そのため、災害や事故時などの対応を迅速にできるのがメリットです。

空飛ぶクルマの開発状況

現状、空飛ぶクルマはまだ開発段階で実用化には至っていません。ここでは大阪・関西万博で出展が決定している4社の開発状況を紹介します。

Joby Aviation:Joby S4

出典:Joby Aviation

Joby AviationはANAが運行事業者となり、「Joby S4」を万博に出展する予定です。「Joby S4」は、5席仕様でパイロットが1名、乗客が4名の計5人が乗れます。最高速度が約330km/hで飛行可能です。

2022年10月に国土交通省に型式証明を申請しており、審査を通過すると商業航空に向けて大きな前進となります。型式証明とは、民間航空機が安全基準を満たしているかを審査する制度です。

ちなみに、型式証明を取得してもすぐ商業航空はできず、飛行には耐空証明の取得も必要です。

Volocopter:VoloCity

出典:Volocopter

ドイツのVolocopterは、2011年に世界で初めて電動垂直離着陸機(eVTOL)の飛行に成功した企業です。大阪・関西万博ではJALを運行事業者として、2人乗りの「VoloCity」の出展を決定しています。

VoloCityは18個の独立したローターにより飛行し、巡航速度は時速90kmです。2人乗りではあるものの、パイロット1人と乗客1人で、実質1人乗りとなります。また、2024年のパリ五輪において商用飛行を予定しており、注目を集めている空飛ぶクルマです。

Vertical Aerospace:VX4

出典:Vertical Aerospace

イギリスのVertical Aerospaceは、万博では丸紅を運行事業者として「VX4」を運行する予定でした。しかし、当初予定していた完成度に達していないことから、丸紅は「デモ飛行」のみとすることに決定しています。

また、Vertical Aerospaceが2023年8月に実施した飛行テストで、試作機が墜落するトラブルがありました。無人飛行によるテストのため、人的被害はなかったもののVX4の実用化に影響を及ぼすとみられています。

SkyDrive:SD-05

出典:SkyDrive

SkyDriveは空飛ぶクルマやドローンを開発している日本企業です。2020年8月には1人乗りの有人飛行試験に成功した実績があります。また大阪・関西万博では、唯一の国産の空飛ぶクルマとなります。

その万博では「SD-05」を運行する予定で、パイロット1名と乗客2名の3人乗りです。型式証明は申請済みで、審査が進んでいる段階です。

大阪・関西万博を境に空飛ぶクルマが普及するかも

空飛ぶクルマは、次世代のモビリティとして期待されているため、多くの企業が開発に乗り出しています。大阪・関西万博においても、複数のメーカーが空飛ぶクルマを出展する予定です。

「空の移動変革に向けたロードマップ」によると、その大阪・関西万博を境に、商用運行の拡大が見込まれています。将来は、ビルからビルへ移動できる時代がやってくるかもしれません。今後のビジネスを考えるうえでも、空飛ぶクルマは注視すべき分野といえるでしょう。