グリーンフライデーは浸透するのか?メルカリ・IKEAの事例を紹介

11月の第4金曜日といえばブラックフライデーです。週明けのサイバーマンデーもあわせて楽しみにしている方も多いでしょう。

そのような盛り上がりをみせるなか、徐々に認知度を高めているのがグリーンフライデーです。グリーンフライデーは安売りによる大量消費に反対する活動で、欧州を中心に広がっています。

本記事ではグリーンフライデーの概要と、取組事例について紹介します。

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グリーンフライデーとは?

グリーンフライデー(Green Friday)とは、11月の第4金曜日にモノを大切にする、地球や環境に優しい消費活動を推進する啓蒙活動です。同日に開催されるブラックフライデーの大量消費型のビジネスモデルに対する反対から始まりました。

グリーンフライデーは2015年ごろから始まった活動で、サステナビリティに対する意識が高い欧州を中心に広がっています。近年は、日本でもグリーンフライデーのイベントを開催する企業が出てくるなど、徐々に認知度が高まっています。

ブラックフライデーの歴史

そもそもブラックフライデーは、「なぜ11月の第4金曜日なの?」と思いませんか。

その由来はアメリカにあります。

アメリカの11月の第4金曜日は、「サンクスギビングデー(Thanksgiving Day)」と呼ばれ、前日が感謝祭の日となります。家族で集まり料理などを楽しむのが一般的です。

日本でいうところのお正月やお盆に近いイメージでしょう。

アメリカでは感謝祭に合わせて木曜日から連休を取得する方が多く、そのような方をターゲットにした大型セールがブラックフライデーの始まりです。このような歴史から、ブラックフライデーは11月の第4金曜日なのです。

日本でもさまざまな企業がブラックフライデーを開催し、多くの人が買い物を楽しむイベントになっています。

ブラックフライデーの問題点

ブラックフライデーはアメリカや日本、欧州でも開催されているビッグセールです。世界的な安売りセールは、ビジネスにおいてはチャンスといえます。しかし大量消費型のビジネススタイルは、以下のように地球環境に大きな負荷を与えます。

  • 大量消費により大量の資源が浪費される
  • 不用になったモノが大量に廃棄される
  • 大量の梱包資材が必要になる
  • 配送時に、二酸化炭素が排出される

このようなブラックフライデーの問題点から、グリーンフライデー運動が始まったのです。

ブラックフライデーとグリーンフライデーの認知率

日本において、ブラックフライデーは定着しつつあります。しかし、グリーンフライデーについては、知らない方も多いのではないでしょうか。

Shufoo!の「ブラックフライデーに関する意識調査」では、2022年のブラックフライデーの認知率は74.9%でした。対して、グリーンフライデーの認知率は11.4%と約10人に1が知っているという割合です。

調査結果から、ブラックフライデーは知っていても、グリーンフライデーを知らない方が多いとわかります。

グリーンフライデーにおける取組事例

グリーンフライデーは認知度の低さが課題です。そのため、さまざまな企業がイベントを開催しており、周知に努めています。ここでは、4社の取組事例について紹介します。

メルカリ:サステナブルファッションショー

出典:メルカリ

メルカリは、フリマアプリを運営する企業です。不用になった衣類や家電などの個人間売買を仲介し、次のユーザーに渡るのをサポートしています。

手軽に個人間売買ができるため利用者数が増えており、月間利用者数は2,200万人以上です。多くの衣類等の取引を仲介することで、不用品の廃棄につながっています。日米合計で、年間約53万トンの温室効果ガスの排出を防いだという試算もあるほどです。

また同社の調査によると、10代の約8割が「メルカリを使うことはサステナブルだと思う」と回答しています。この調査からも、国内のサステナビリティ関連の代表的な企業といえるでしょう。

そのメルカリでは、グリーンフライデーの取り組みとして2020年からサステナブルファッションショーを行っています。2023年のイベントでは「新作ゼロのサステナブルファッションショー」を開催し、大量消費に頼らないファッションの楽しみ方を伝えました。

このようにメルカリは、グリーンフライデーのイベントを継続して行い、認知拡大に取り組んでいます。

IKEA:買い取った家具をサーキュラーマーケットで再販

出典:IKEA

IKEA(イケア)は、スウェーデン発祥の家具メーカーで、安さに加えておしゃれなデザインが人気です。サステナブルな社会の実現に向けて、さまざまな取り組みをしています。

その一環として、2023年11月11日~12月9日までグリーンフライデーキャンペーンを実施しています。

グリーンフライデーキャンペーン中は、家具の買い取り価格が30%上乗せされるのでお得です。買い取られた家具はサーキュラーマーケットで再販され次のユーザーの手に渡るため、廃棄されることもありません。サーキュラーマーケットでは、IKEAが買い取った家具以外にも、返品や展示品などの商品を販売しています。

またグリーンフライデーキャンペーン中は、ホットドッグとベジドッグの食べ比べのクーポンを先着100名に配布しています。ベジドッグは植物由来の原料で作られており、ホットドッグに負けないおいしさが魅力です。このようにIKEAでは、サステナブルなフードの発信もしています。

世界の大手メーカーでは、サステナブルを意識した企業経営をしているのです。

REI:ブラックフライデーの日は全店休業 

出典:REI

アメリカのアウトドアブランドの「REI」は、アンチブラックフライデーとして有名な企業です。キャッチコピーに「Opt Outside(外に出て楽しもう)」を掲げ、当日は全店休業を宣言しています。

社員には有給休暇を与え、アウトドアを楽しむことを推奨しています。このように、アメリカ企業であってもブラックフライデーの大量消費型ビジネスモデルに批判的な企業もあるのです。

シェアリングエコノミー協会

出典:シェアリングエコノミー協会

一般社団法人シェアリングエコノミー協会は、サステナブルな消費を推進する団体です。2023年のグリーンフライデーでは当協会の事業者6社とともに、「シェアエコグリーンフライデープロジェクト」を実施しました。

「シェアエコグリーンフライデープロジェクト」では、グリーンフライデーの認知度拡大を目的として、協会シェアサービス事業者16社のロゴを期間限定でグリーンにチェンジしています。

また企業だけではなく、全国各地域との連携も図り、シェアリングビジネスの普及に取り組んでいるのです。11月24日の当日においては各地で啓蒙活動を展開し、認知度拡大に努めています。

グリーンフライデーは普及するのかに注目

グリーンフライデーはブラックフライデーの拡大とともに、大量消費に対する懸念から起こったムーブメントです。ビジネスモデルにおいて、地球環境への配慮が必要不可欠になってきているといえるかもしれません。

今後、ブラックフライデーを楽しむ際は、グリーンフライデーについても注目してみましょう。普及がすすみ、ブラックフライデーのように市民権を得るときがくるかもしれませんね。