潜在ニーズと顕在ニーズの違いの解説、BtoB商材への応用を解説

ニーズ」と聞くと、ほとんどの人はなんとなく意味を思い浮かべることができるでしょう。しかし、「潜在ニーズとは?」「顕在ニーズとは?」と聞かれれば、はっきりと説明できる人は少ないかもしれません。また、「2つの違いは何?」と尋ねられれば戸惑う人も多いのではないでしょうか。

確かに、日常でも「ニーズ」という言葉を使うようになってきましたが、「潜在ニーズ」、「顕在ニーズ」はあまり聞き慣れないかもしれません。

そもそも、「潜在ニーズ」、「顕在ニーズ」というのは、マーケティング用語ですので、あまり馴染みはないでしょう。しかしマーケティングや営業の基本は、顧客ニーズの理解にあり、ビジネスにも通じます。

そこで今回は、「潜在ニーズ」、「顕在ニーズ」を詳しく解説していきます。またBtoBマーケティング、BtoB商材への応用も解説するので、ぜひ最後までご覧ください!

Contents

そもそもニーズとは

突然ですが、今あなたは何がしたい、もしくは、何が欲しいですか?

「潜在ニーズ」、「顕在ニーズ」を理解する前に、そもそもニーズとは何かを考えてみましょう。

ニーズとは、本来は「求めているもの、要求するもの」を意味することばで、語源は英語の「Needs」になります。ビジネス用語でいうと、ニーズは「相手が求めている理想的なものや状態」のことで、人の欲求が満たされていない状態=欠乏状態であることを指します。

例えば、「寒いから暖かい服をほしい」という場合は、寒い状態がニーズです。

ニーズに近いビジネス用語で、ウォンツがありますが、ウォンツは、ニーズに対する具体的な要望のことで、「寒いから暖かい服がほしい」という場合は、「暖かい服がほしい」ということがウォンツとなります。

このことから、ニーズは目的、ウォンツは手段と表現することもできます。

ニーズとは手段によって実現したい事で抽象度が高く、ウォンツとは目的を実現するためのもの/コトで具体性が高いのです。

1つのニーズに対して、複数のウォンツが存在するという点もマーケティング戦略において押さえておきたいポイントです。顧客はまず具体性の高いウォンツを思い浮かべますが、その目的であるニーズを深堀りしていくことで、提案の選択肢が増えるからです。

つまり、ニーズを捉えることこそが、マーケティングにおいては重要なのです。

そのニーズには「潜在ニーズ」と「顕在ニーズ」の2種類が存在します。この違いを理解し応用していくことは、BtoBマーケティング、BtoB営業において大変有効ですので、次の章で詳しく説明していきます。

潜在ニーズと顕在ニーズとは

ニーズには、「潜在ニーズ」と「顕在ニーズ」の2種類があります。それぞれ言葉の定義を整理すると以下の通りになります。

顕在ニーズ

顕在ニーズとは、顧客自身が自分の欲求を明らかに自覚している状態のことです。

顧客のニーズ全体を氷山に例えるなら、顕在ニーズは水面から外に出ていて、明確に可視化されている部分といえます。

顧客自身がほしいものやサービスを自覚できている状態で、なぜそれがほしいかを説明できる状態にあるものになります。

例えば、「仕事中の眠気を覚ましたい」、「転職したい」などが顕在ニーズとなります。

ニーズが顕在化していれば、購買行動を起こす可能性がかなり高くなります。自分が持った課題の解決手段を探す行為に出るからです。見つけたモノやサービスに費用対効果があると実感すれば、すぐにでも購買行動に至るでしょう。

潜在ニーズ

一方で潜在ニーズは、顧客自身に明確な自覚がないにもかかわらず、何かしら欲しているものがある状態のことを表します。

潜在ニーズは前述の氷山に例えると、水面下にある部分となり、表面上はみえていないが、確かに存在している部分にあたり、顕在ニーズよりも潜在ニーズのほうがウェイトは大きいといわれているため体積も大きくなっています。

普段は顧客自身も意識していないため、潜在ニーズを理解するのには苦労します。

欲している原因がわからないため、購買に至りにくいのです。購買行動をおこさせるには、潜在ニーズを何らかの形で顕在化させる必要があります。

顧客本人が日常生活を通じて突発的に気づくこともありますが、外部から、例えば企業のマーケティング活動を通じ、欲求を掘り起こされることでニーズが顕在化することがあります。

ニーズが顕在化することにより、新たな提案をすることができるので、顧客獲得に近づくことができますし、これまでターゲッティングを行わなかった新しい層にもアプローチすることができるようになります。潜在ニーズを把握することで、顧客の希望や悩みを叶えるための、これまでとは違った視点から新しい商品やサービスの開発に繋がるでしょう。

潜在ニーズを理解しないといけない理由

潜在ニーズを理解し、顧客から引き出せると、商談が有利に進みます。なぜなら、顧客は潜在ニーズを引き出されると、自分が意識していなかった重要な課題に気づかせてくれた企業や営業担当者から購入したくなるからです。

顧客自身がまだ理解できていない、意識できていない潜在ニーズの場合、顕在化してくれる営業担当者がいると、自分が意識していなかった重要な課題に気づかせてくれたという意識から顧客満足度が上がり、顕在化を助けた営業担当者から購入する可能性が高くなるのです。

また潜在ニーズを引き出すことで、顧客のパートナーとなることができます。

潜在ニーズの顕在化をするプロセスを一緒にサポートできると、たとえ競合他社がいたとしても、顧客理解度としてかなり有利なので、商談受注率がかなり高くなるからです。さらに、長期的に関係を持つことで、顧客だけでは気づけない隠れた課題を見つけられるようになり、大切なパートナーとしてなくてはならない存在となり、強固な信頼関係を築くことが出来るでしょう。

そこで必要なことは、顧客の動向を見続けていくことです。

顧客の無意識な行動に着目することで潜在ニーズを見つけることが可能です。可能であれば行動やサービスを利用している様子を観察します。予定外な行動や想定外な行動の中に潜在ニーズが見つかるかもしれません。その行動を取った理由をインタビューしてみるのも効果的でしょう。

例えば、ウォーターサーバーを商材とする企業を例としましょう。オフィス内で使われているウォーターサーバーを使用する人々の行動をよく観察するのです。すると、重たいボトルの交換に手こずる女性社員、ボトルの交換を行わない男性社員、デスクにテイクアウトコーヒーのカップが置いてありウォーターサーバーを使用しない社員と様々でした。

そこから、交換ボトルの軽量化やウォーターサーバーでコーヒーやお茶が入れれるようになればという潜在ニーズが読み取れるわけです。

ニーズが顕在化している場合は、それを解決するためのモノ、サービスを自ら探す行動を起こします。特別な条件がない限り、広く情報を集め複数社と比較して、安くて質が良いものが選択されるでしょう。顕在化されたニーズに対して、それに対応するモノやサービスを提供しているだけでは、ただの下請け業者とみなされてしまうかもしれません。

一方で、気づいていない課題や、気づいていても解決方法がわからない潜在ニーズをうまく顕在化してくれる営業担当は、”困ったことはなんでも”真っ先に相談されるパートナーとなれるのです。

困った時にいつでも相談してもらえるパートナーとなり、顧客との信頼関係を構築することで、課題解決を早め、成約率を上げることが出来ます。潜在ニーズを引き出すためには、ヒアリングテクニックを使うとよいでしょう。次の章で詳しく説明します。

潜在ニーズの引き出し方

顧客が自覚していない潜在ニーズを引き出すことは簡単ではありません。しかし、潜在ニーズを把握することは、顧客の悩みや希望を解決するという点では、前述の通りBtoBマーケティングにとってはとても大切なプロセスです。

そのため、潜在ニーズを引き出すテクニックを知っておく必要があるでしょう。

潜在ニーズは顧客が把握していないニーズなので、直接的に「潜在ニーズは何ですか?」と聞いても答えてくれないでしょう。まずは慎重に段階を踏んで調査していかなければなりません。そこで潜在ニーズを引き出すプロセスには、2つの段階があります。

まず第一段階にウォンツを把握することです。

基本的に顧客から最初に要望されるものは「ウォンツ(希望)」が多い傾向にあるかと思います。このウォンツを把握することが、潜在ニーズを引き出すための第一歩です。

次の段階として、ウォンツを深堀していくことで、潜在ニーズを引き出すことができます。
相手の発言をウォンツ(手段)と考え、そこから「なぜそれがほしいのか?」「なぜそれが必要なのか」「その目的は何か」を深掘りしていきます。これらの質問を繰り返すことで、ニーズの深掘りができます。

ポイントは、「なぜ?」という質問を3から5回繰り返していくことです。

では具体例を見てみましょう。

「業務の効率化ツールを導入したい」という潜在ニーズの例です。

①「業務の効率化ツールを導入したい」➡なぜ業務効率化を図りたい?
②「業務Aに関わっている事務担当者の人数を減らしたい」➡なぜ事務担当者の人員を減らしたい?
③「減らした担当者を営業職に回したい」➡なぜ営業職に回したい?
④「営業部門のリソースを増やして、営業力を高めたい」=潜在ニーズ

この場合、顕在ニーズは「業務の効率化ツールを導入したい」ということになりますが、「なぜ?」と質問を3回繰り返すことで、「営業力を高めたい」という潜在ニーズを引き出す事が出来ました。潜在ニーズが分かれば、「営業力を高めたい」という潜在ニーズに対して、新たな提案や対応をしていくことができます。


BtoB商談の際に、業務効率化をしたいという話はよくあるウォンツの例です。目的をより掘り下げる事で、課題理解の幅が広がり、問題解決へのスピードを高めることができます。

また、商談の場では「あなたはなぜ〇〇をしたいのですか?」と直接的に質問すると、尋問のように聞こえてしまい、相手に不信感を与えてしまいかねません。そこで、質問内容にバリエーションを持たせることもポイントです。

「そのように感じるのは何か理由はありますか?」

「それをやることでどんなメリットがありますか?」

「それをやりたい目的は何ですか?」

「もしそれをしたらどうなりますか?」

などと、質問にバリエーションを持たせることで、顧客から自然と潜在ニーズを引き出すことが出来ます。顧客にとっても自覚できていないニーズを引き出してもらえることで頭の整理ができるので、的確な問題解決と様々な提案を試みることができ、顧客満足度も益々高められるでしょう。

潜在ニーズを引き出す方法のポイントとして、もう一つ挙げられるのは、相手の言葉を鵜呑みにしないということです。顧客に質問することで様々な回答が返ってくると思いますが、その言葉を全て鵜呑みにするだけでは、潜在ニーズは引き出せません。本心を語ることが難しい場合もありますし、本当の目的を顧客自体もはっきり把握していない場合もあるからです。

そこで、潜在ニーズを引き出すことはとても効果的です。潜在的なニーズがどこにあるのかを上述の方法によって探ることで、提案できる内容、幅が大きく広がってきます。顧客獲得率や顧客満足度を高めるためにも、潜在ニーズを効果的に掘り下げていきましょう。

まとめ

潜在ニーズから本質的な課題解決をするために、 潜在ニーズを再認識して新たなビジネスチャンスを見つけたり、既存の顕在ニーズを拡張したり、既存に対して解決軸をずらして展開してみましょう。潜在ニーズに応え、自社の商品・サービスを「欲しい!」とアクションしてもらうため、まずは、顕在ニーズから潜在ニーズを聞き出すことから始めましょう。

顕在ニーズは、顧客自身もはっきりと認識しており、営業側も具体化し契約に繋げていくことはより容易になります。しかし、潜在ニーズを引き出した時こそ、顧客の真のニーズを理解することになり、満足度を高め信頼関係を深める事が出来るのです。

顕在ニーズを深掘りし、潜在ニーズを引き出すこと、その潜在ニーズを共有していくことで、BtoBマーケティングやBtoB営業を効果的に実践していきましょう。