新規事業開発を何気なく進めてしまい、壁にぶつかった経験はありませんか。うまくいかない理由には、企業体質や人員、プロセスが挙げられます。
「やる必要があるの?」
「誰がやるのよ!」
「俺は聞いていないぞ!」
上記のような新規事業に対する不安や不満を抑えるためにも、ワークショップによるコンセンサスの醸成が有効です。
本コラムは、弊社で開催させていただきましたラジオ風ウェビナー
『コンセンサスを伴う新規事業推進のためのワークショップデザインとは?』
の一部内容を編集して、全5回のシリーズに分けてお届けいたします。
Contents
新規事業開発を前進させるためには・・・?
新規事業を前進させるためには、うまくいかない理由を把握することが大切です。具体的に推進を阻害するのは、「体質」「人手不足」「プロセス」の3つがあります。
- 体質
企業では既存事業に合わせて体質が最適化されているため、新規事業に適した体質でないことがあります。体質が出来上がっていない状態で、推進しようとしても体力が途切れてしまい、新規事業が中断してしまいます。
スポーツに例えると、初めてフルマラソンに挑戦する方が、いきなりマラソン大会に挑戦しても成果を上げるのは難しいでしょう。基礎的なトレーニングを重ねるなど、マラソンを走りきる体力が必要なためです。
企業も同様で新規事業に適した体力をつける必要があります。その体力をつけるためには、ゴールや目的の共有といったコンセンサスが重要です。
- 人手不足
新規事業では人手の確保が問題です。多くの場合で新規事業は、既存事業の人員を割いて立ち上げるためです。人員を割かれた部署は既存事業に必要な人手が不足するため、既存事業に悪影響を及ぼしかねません。
しかし、1人・2人といった少人数ではできることが限られてくるため、新規事業を推進できない場合もあります。
適材適所の人材を配置することが新規事業の推進には重要です。そのためにも、人手不足とならないようにしながらも、できる限りたくさんの人を巻き込んでいくマネジメントの視点が必要となります。
- プロセス
新規事業のプロセスの設計に不備がある場合は、途中で何をすればよいのか、いつまでにすればよいのか、誰がするのかなど不明確になります。すると途中で推進力を失ってしまい、新規事業をうまく進められなくなります。
新規事業を計画的に進めるためにもプロセスの設計と周知が重要です。そこで他部署間で話しやすい雰囲気を作るためにも、報連相を密にするためにもワークショップが有効となります。
ワークショップとは?推進支援手法として
ワークショップとは一般的に学びや創造、問題解決のトレーニングなどの体験型講座です。参加者が自発的に作業や発言をする環境が整った場において、ファシリテーターと呼ばれる司会者役を中心に、参加者が体験できるように運営される形態がポピュラーです。
新規事業推進において、ワークショップは有用なツールとなります。他部署とのコミュニケーションの機会を創出し、ゴールや目的の共有といったコンセンサスの醸成に役立つためです。
ワークショップの種類
新規事業であればセミナー型のワークショップをイメージするかもしれません。しかし、ワークショップにはいくつもの種類があります。
- ものづくりワークショップ
- ビジネスのワークショップ
- 教育分野のワークショップ
- 芸術分野のワークショップ
- まちづくりワークショップ
このように教育からアート、ビジネスといった幅広いシーンで、問題解決を効率よく実施するためのツールとして活用されているのです。
セルウェルでのワークショップの定義
ワークショップは幅広い分野で利用されているため、グループワークのような研修をイメージされる方もいれば、ハンドメイドワークショップのような体験型講座をイメージされる方もいるでしょう。
このように、人によってイメージが違うかもしれません。そこで、セルウェルでのワークショップの定義を紹介します。
セルウェルでは、「部門や職位の異なる人々が交わり、議論やアウトプットの創出を通じて、新しいアイデアを生み出すことや、今までにない視点を養い組織のコンセンサスを醸成するビジネスの営み」と定義しています。
またセルウェルは「点型支援」「線型支援」「パルス型支援」を提供しており、その中でも「パルス型支援」はワークショップを取り入れたコンセンサス形成にフォーカスした支援です。
新規事業におけるワークショップのメリット
ワークショップの特徴は、ただ話を聞くだけではなく、周りの関係者と協力しながら課題解決を目指すことです。そのためセミナーや会議では得られない、ワークショップならではのメリットがあります。
伝達性が向上する
ワークショップは通常の業務ヒエラルキーとは異なる空間で活動します。既存事業では深く関わることのなかった他部署間とのコミュニケーションが生まれるでしょう。
また、経営者の考え方を各社員へ伝えるにも有効な場です。経営者の新規事業に対する認識を、各社員へ伝達することで目標やゴールの共有がしやすくなります。
さらに、ワークショップは各部門を巻き込んで、新規事業を展開できるため、推進担当者の見えない不安の低減につながります。
意外性のあるアイデアを創出できる
ワークショップは意外なアイデアの創出に役立ちます。全社的な人材が関わることで、これまでにはなかった新しいロジックにもとづくアイデアが生まれるためです。
例えば商品企画部だけでは経験や知識から、これまでの枠を打ち破るのが難しい場合もあるでしょう。そこで製造部門やカスタマーサポート部門など、様々な視点からの意見を取り入れることで、既成の常識にはないアイデアを創出できます。
参加者の能力・才能を再発見できる
ワークショップでは普段の業務の役割では見いだせなかった、参加者の能力や才能を再発見できます。普段の業務では内向的なのに、新規事業ではリーダーシップを発揮したり、斬新なアイデアを秘めていたりすることもあるためです。
コミュニケーションを拡張できる
ワークショップは、普段の業務で話す機会の少ない部署間の交流に役立ちます。ワークショップでの構造化された社内コミュニケーションを通じて、従来になかったつながりが生まれるでしょう。
すると組織の活性化や新たな意思決定構造を構築できるため、高速の意思決定が可能になります。つまりコミュニケーションの拡張は、新規事業の推進力を向上させてくれます。
当事者意識が生まれる
ワークショップは参加者が体験することで、理解を深められるだけではなく、当事者意識が生まれます。すると、参加者は問題や課題を自分事として認識するため、より具体的なアイデアの創出や、モチベーションの向上に役立ちます。
達成感を得られる
ワークショップでは参加者が一体となって、アイデアの創出や課題解決に取り組んでいきます。成果を上げた際には、1人では味わえなかった達成感が得られるでしょう。参加者全体の成功体験は、複数の部署の人材育成にも役立ちます。
注意すべきワークショップのデメリット
ワークショップはビジネスに限らず、教育やアートといった様々な分野で活用されています。しかし決して万能な手法ではなく、ワークショップならではのデメリットもあります。新規事業を推進するために、ワークショップのデメリットについても理解を深めましょう。
時間がかかる
これまで関係性のなかった部署の担当者同士が関係を構築するまでには、相応の期間が必要です。例えば、ワークショップを1回すれば関係性が構築できるわけではありません。何度も繰り返し実施し、意見を交換することで関係性が構築できていきます。つまり、ワークショップで期待する効果を発揮するには、相応の時間がかかります。
手間がかかる
ワークショップのデメリットは、実施するために事前準備や会場の用意など様々な手間がかかることです。さらに担当者はプラン設計や社内調整、上層部への説明など、しなければいけない業務が多数あります。簡単にできそうと思うかもしれませんが、担当者には経験や知識が求められます。
参加者により成功が左右される
どれほど手間暇をかけてワークショップの品質を高めても、参加者の質や意欲が低ければ失敗することもあります。チャレンジ精神に乏しい社員や事なかれ主義の社員が多数を占めてしまうと、ワークショップも思うように進展しないためです。
新規事業を推進するためには、ワークショップの品質を高めることも重要ですが、参加者の選定も重要な要素となります。
ワークショップは魔法のツールではない
ワークショップは新規ヒエラルキーの構築、ゴールや目的の共有、新規事業の推進力向上といった様々な効果を発揮します。
このように聞くと、ワークショップの成功が新規事業の成功と考えてしまうかもしれません。参加者の中には、参加したことで満足してしまうこともあります。しかし、ワークショップは魔法のツールではありません。
ワークショップの成功が最終目標ではないことに注意が必要です。最終目標である新規事業の成功には、プロセス設計が重要であることに変わりありません。
ワークショップを成功させるポイント
ワークショップは参加者同士が話し合いをするため、「開催するのは簡単そう」と考えている方もいるかもしれません。しかし、実際にはポイントを押さえて開催する必要があります。ここでは、ワークショップを成功させるための4つのポイントを紹介します。
ファシリテーターを用意する
ワークショップのような体験型作業の場合は、ファシリテーターの存在が欠かせません。なぜなら話が脱線したり、時間を超過したりしたときに、その場をうまく仕切ってくれる存在が必要なためです。
会議で話が脱線してしまい、時間を大幅に超過した経験や、ほとんど無意味な会議になってしまった経験は誰しもあるでしょう。
このような事態を避けるために、ファシリテーターを必ず用意してください。ただしファシリテーターは目配りができて、場をまとめられるなど、求められる条件があるため誰でもできるわけではありません。適任者がいなければ、外部に依頼するのも1つの方法です。
ゴールを明確にする
ワークショップを開催する際は、冒頭で目標やゴールを明確に提示しましょう。もしワークショップの目標やゴールがわからなければ、参加者が意見を出しにくいためです。意見が出なければ、ワークショップのメリットを引き出せず、沈黙した会議になるかもしれません。
またワークショップごとに、ゴールや目的を明確にすることで、次のアクションへもつなげやすくなります。
グラウンドルールを共有する
ワークショップでは、意見しやすい雰囲気を作ることが大切です。そのためにも、グラウンドルールを設定しましょう。
グラウンドルールとは、ワークショップで守るルールのことです。意見を出しやすくするためには、例えば以下のようなグラウンドルールが考えられます。
- 意見を否定しない
- 気づいたことはその場で発言する
- 発言者に恥をかかせることはしない
- ワークショップでの発言をもとに別の場所で攻撃しない
このようなグラウンドルールは設定だけではなく、参加者全員が共有して徹底されることで、話しやすい雰囲気を作りだせます。
事前準備をする
グループワークを成功させるためには、事前準備も重要です。具体的には「会場」「備品」「スケジュール」に気を配りましょう。
- 適切な会場
グループワークの開催場所は、話しやすい雰囲気を作れるかに影響します。例えば、普段通りの会議と同じ場所では、緊張してしまい話しにくいかもしれません。リラックスできて、気軽に話しやすい雰囲気の会場でしましょう。
- 備品
グループワークで使用する備品は、付箋や紙、ボールペン、ホワイトボードなどがあります。
- スケジュール
ワークショップを円滑に進行するためには、時間割などのスケジュールを作成してください。時間割があることで、ファシリテーターが時間配分をしやすくなるためです。
セルウェルがワンランク上のワークショップを実現
ワークショップを開催したくても、ファシリテーターの適任者がいないなど、自社では難しい場合もあるでしょう。そのような企業様でもセルウェルが入ることで、ワンランク上のワークショップを実現します。
また新規事業でありがちな「アイデアが出てこない」や「プロジェクトが計画通りに進まない」といった悩みについても、セルウェルにお任せください。
セルウェルの新規事業における支援内容には、以下の3つの型があります。
- 点型支援
リサーチや検証支援といったスポットの支援
- 線型支援
特定の事業部や担当者に伴走するマーケティング支援
- パルス型支援
コンセンサス形成にフォーカスした支援