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Column

2021/01/27

ブランドポジショニングの見直しを行いたい 市場動向・STP分析

〜参入市場選定の経験者たちが語る。STP分析の留意点〜 

 Introduction  

 新型コロナウイルスで経済、社会が大きく変化した2020年。そんな目まぐるしい変化に伴って、自社の商品・サービスの市場や顧客の購買に変化が見られるといったケースも出てきています。2021年もコロナの影響が引き続き、先行きが不透明な時代になりそうです。そのため、今一度、自社のブランドポジショニングを見直し、競合他社と差別化を図りたいという企業様も多くいらっしゃるかと思います。 

 そこで今回のコラムは、そんな企業様にお送りする「STP分析」を利用して市場動向を掴み、ブランドポジショニングを正確な視点で見直し新しい施策を考えるヒントをお伝えしていきます。 

 STP分析とは? 

 STPとは、Segmentation(セグメンテーション:市場細分化)、Targeting(ターゲティング:ターゲット層の抽出・顧客設定)、Positioning(ポジショニング:自社の立ち位置)の頭文字をとったもので、企業が商品・サービスの内容や価格の設定を行う時によく使われるフレームワークです。 

 これは、アメリカの経済学者で有名なフィリップ・コトラー氏が発見した分析方法です。多くの企業は、製品やサービス、会社自体においてこの分析方法を使い、競合他社との差別化を図ったり、広告戦略などを考えています。 

  それではまず、Segmentation(セグメンテーション)について説明します。この段階では、市場を細分化し標的市場を決定します。市場は、消費財市場と生産財市場に分けます。消費財市場は、デモグラフィック変数(性別、年齢、家族構成、職業など)、ジオグラフィック変数(地域、人口密度、文化、住まい、行動範囲など)、サイコグラフィック変数(ライフスタイル、価値観、パーソナリティ、購買動機など)、ビヘイビア変数(購買活動、購買心理、購買契機)といった項目で細分化していきます。消費者を取り巻く環境や心理から自社の商品やサービスに合う市場を探っていくのです。そして、もう1つの生産財市場は、人口(業種、規模)、オペレーティング変数(使用頻度、顧客の能力)、購買アプローチ変数(購買方針、購買意欲)、状況要因変数(緊急性、受注量)といった項目で細分化します。 

 このように細分化して市場を見極める際のポイントは、まず自社の商品やサービスのブランドイメージや価格帯、それを利用している既存顧客についてよく理解することです。 

入念にそれらを理解することで、現在の市場に合っているのか、もしくは新たに進出できる市場があるのかなど、利益向上に繋がるヒントが発見しやすくなります。 

  次に顧客のTargeting(ターゲティング)を行います。セグメンテーションの段階で細分化した市場を評価して、自社の商品・サービスを販売するターゲット層を抽出します。この時のポイントとしては、市場の将来性を見極めること、自社が提供する価値が顧客に届く可能性が十分にあること、そして競合の状況をそれぞれしっかり把握することです。市場の将来性については、売上や利益が上げられる規模かどうか、自社の強みを大きく活かせるか、多くの顧客を獲得しやすいSNSやWebページで広告や口コミの波及が大きいかに着目することで、将来性のある市場かどうか判断することができます。提供価値が届くかどうかについては、例え良い商品・サービスを作っても、それが顧客に届きにくい障害が沢山ある市場だと元も子もありません。競合の状況については、自社が競合他社と差別化するための施策を考える上で欠かせないポイントになります。ターゲティングの段階ではこれらのポイントに注意して顧客を設定していきましょう。 

 最後のPositioning(ポジショニング)では、設定したターゲットに対して、他社と異なる自社の立ち位置を明確化させ、競争優位性を確立していきます。この段階で重要なのは、「顧客目線」でポジショニングを設定していくことです。例えば「この商品Aは他社の商品Bより安い」ということをポジショニングとして設定しました。しかしあまり売れ行きが良くありません。なぜでしょうか? 

 この場合、その市場では安さよりも性能、品質を求めている顧客が多いといったような、ポジショニングを活かせない市場である可能性が指摘できます。こうしたケースはターゲット層である顧客の目線で判断ができていないことが原因だと考えられます。せっかくセグメンテーション、ターゲティングという段階を経て、分析に時間をかけてきても活かせないのであれば水の泡になってしまいます。そのため、「顧客目線での判断」はどんな時でも大切な視点として理解しておきましょう。 

   STP分析を1通り終えてみて、実践で活かした場合、それがスムーズにいけばその調子で引き続き行ってみてください。[文字列の折り返しの区切り] しかし、一方でスムーズにいかない場合も勿論あるかと思います。そうした場合は自社商材のSKU(単品管理:Stock Keeping Unit)が多いなどといったような問題があり、状況次第ではうまく使えないこともあります。 

 では、次にSTP分析が自社に通用するかどうか成功例、失敗例をそれぞれ見ながら考えていきましょう。  

STP分析がうまくいく時、うまくいかない時 

 STP分析の成功例として最も有名なのは、ユニクロです。ユニクロは、競合他社も気づかないようなユニークなセグメンテーションで差別化、利益率向上に成功しています。[文字列の折り返しの区切り] アパレル業界の競合他社では多くの場合、上記のようなデモグラフィック変数である若年層か中高年層か、OLか主婦か、などといった、非常に細かい分類を行ってきました。 

 しかし、ユニクロは「カジュアルかフォーマルか」「トレンドかベーシックか」という大まかなこの2つをセグメンテーションの軸としました。 

 なぜユニクロは、競合他社が細かいセグメンテーションを定める中、あえて大まかに設定したのでしょうか?また、いったいどんなメリットがあることを見込んでいたのか気になるところでしょう。 

 ユニクロはセグメンテーションを大まかにすることで生産する商品を限定し、生産コストを下げることで利益率を上げる。また、流行のファッションを作ることに重点を置くのではなく、「Life Wear」というモットーを掲げ、年齢、性別関係なく、誰でも気軽に使用することができる商品を開発し、ターゲットの顧客層を他社より広げていきました。 

 また、セグメンテーションにおける戦略として、Webサイト作りにも差別化を盛り込んでいます。例えば、商品のデータはサイズの目安となる男性用、女性用、キッズ用、各サイズと表記し、区別されていますが、顧客一人一人が自由にお好みでセグメントできるように、サイズ以外はあえて商品の区別をしていません。 

 こうした点は他のアパレル企業が持っていなかった視点であり、セグメンテーションとターゲティングでうまく差別化をしたことで、それがユニクロのポジショニングとして成り立たせることができただと考えられます。 

 経験者たちが語る。STP分析時の留意点 

時間経過の波を捉える

現在行っているSTP 分析は、5年後、10年後も同様のSTPの位置付けで良いのか、悪いのかを常に考え、悪いのであれば、新たなSTPを考え直したり、他のフレームワークを使って時間経過の波を正確に把握し、柔軟に新しい施策を打ち出していくことが大事になります。特に現代では、インターネット、SNSの波及効果が大きくなっています。そのため、トレンドが日々移り変わりやすい傾向があります。また、コロナによって顧客のライフスタイルに大きな変化が見られ、今後も感染状況によってポジショニングマップがどの方向に動くのかなど、常に考えていく必要があります。 

 ポジショニングマップ外の代替脅威にも備えておく

ポジショニングマップで想定外の事態になった時に備え、SWOT分析などの他のフレームワークも並列して行うことが重要です。SWOT分析では頭文字の通り、Strength(強み)、Weakness (弱み)という自社の内部分析と、機会(Opportunity)、脅威(Threat)という外部分析をそれぞれ行うフレームワークです。STP分析だけではカバーしきれなかった部分も対策をすることができるので、こうした他のフレームワークも積極的に利用していきましょう。 

 フレームワークの無用化/形骸化を恐れない

STP分析などのフレームワークを行い、社内で議論をしていくうちに内容が変わることも多々あるでしょう。そこでフレームワークが形骸化、無用化してしまうことがあっても、それが全て悪いわけではありません。議論の端緒としてSTPが使えていたり、チームで議論を重ねていき、施策を出していくことができていれば、それはそれで自社に合っているやり方で施策を出せているということなので、問題はありません。[文字列の折り返しの区切り] そのため、最終的に見据えたアウトプットが出せるなら、STPは議論の初段階で共通認識を得るためだけの使い捨てでもよいでしょう。 

まとめ 

 ここまで、STP分析というフレームワークとは何か、その使い方について見てきました。デモグラフィック、ジオグラフィック、サイコグラフィックといった視点で市場変化の著しい時代である現在は、参入していく市場を定めることが非常に難しくなっています。簡単に利益を上げることができる市場がないからこそ、こうしたフレームワークを使って自社の商品・サービスを客観的視点で捉えてみたり、ユニクロのような、シンプルだけどひねりが効いて差別化が図れる施策を打ち出していくことが大切になっています。 

 Sellwell(セルウェル)では、日本企業様の市場参入におけるプロセス全般や競合の調査をサポートさせていただいております。「フレームワークを導入してみたけど未だ参入する市場を決めることができない」「自社だけで考えるのではなく、コンサルタントの客観的視点のアドバイスがほしい」といったお悩みなど、どんな些細なご相談内容でも構いません。皆様からのご相談お待ちしております。 

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