「おうち時間」が与えたSNS利用者への影響とは?平均使用時間などを解説 

新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界中で大きなライフスタイルの変更が余儀なくされました。外出機会は減少し、家の中で過ごす時間が増えたことから、「おうち時間」と称するムーブメントへと発展しつつあります。 

今回は、そんなおうち時間の浸透がSNSの利用へどのような影響を与えたのかについて、平均使用時間などの統計を見ながら考えていきましょう。 

2020年以降増加する「おうち時間」 

2020年以降、仕事や生活の拠点は自宅へと移行し、多くの人が家の中で大半の時間を過ごすライフスタイルへの変更を余儀なくされました。 

SBパワー株式会社が発表した2020年の調査結果によると、外出自粛中の1日あたりの平均外出時間は「1時間未満」が約半数という数字が表れています。これまで多くの時間を家の外で過ごし、家に帰るのは寝る時だけ、という生活を送ってきた人にとって、大きな変化が訪れたと言えるでしょう。 

家庭における水道光熱費や食費も増加の傾向を見せ、家の中で過ごすことが多くの消費者にとって、経済状況を一変させるきっかけになったことがわかります。 

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000059397.htm

おうち時間が増えたことによるSNSの影響 

それでは、おうち時間が増えたことによって、SNSの利用にはどのような影響を与えているのでしょうか。結論から言うと、おうち時間の到来とともに、SNSの利用時間は大きく増加したことが明らかになっています。 

生活におけるSNSの比重の高まり 

調査によると、SNSの利用時間が急激に伸びていったのは、2020年の5月以降です。新型コロナの感染拡大が確認され、日本でも外出制限が厳格化されていったとともに、TwitterをはじめとするSNS利用が増えていきました。 

特に新型コロナの影響を強く受けたと考えられているのが、Twitterです。2020年1月には56億PVだったTwitterは、同年5月には83億PVに到達するなど、大きな増加が見られました。 

テレビやラジオといったニュースはもちろんですが、Twitter上で共有される最新のニュース情報の需要が大きくなり、いち早く状況を把握したいと考える人が増えたことが理由にあると想像できます。 

参考:https://fainpixar.co.jp/column/sns-marketing/40776/ 

店舗の休業情報や行政の対応状況など、リアルタイムかつ自身と関連性の高い情報を迅速に集められるという点が評価され、SNSを見る習慣が根付いていったと考えられています。 

新しいSNSの運用可能性も 

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、SNS上では自身の生活の様子を報告しあうコミュニティも次々と登場していきました。「おうち時間」という言い回しも、SNSを発祥として使われるようになっていき、お互いにどんな過ごし方をしているかが共有されることとなりました。 

おうち時間の登場によって、SNSはより生のコミュニケーションに近いやりとりを支えるインフラとして機能するようになっています。お互いに励ましあったり、生活の知恵を共有しあったりする文化が育まれていきました。 

このような民間レベルでの活動が活発化したことで、急激な冷え込みに直面していた各企業は、「おうち時間需要」にターゲットを絞っていくことになります。「#おうち時間」を用いたSNS上のプロモーションが活発になり、巣ごもり消費の喚起に取り組んでいました。 

参考:https://www.trenders.co.jp/news/1723/ 

おうち時間への注目は、ライフスタイルの変化はもちろんのこと、企業活動にも大きな影響を与えたことがわかります。 

昨今のSNS平均使用時間 

このようなSNS利用のトレンドの変化を受けて、使用時間はどのように変わっていったのでしょうか。 

Glossom株式会社が発表した「スマートフォンでの情報収集に関する定点調査」によると、2020年は情報接触の時間が増加、情報収集の方法も大きく変わっている実態が明らかとなり、SNSの利用時間も増えていることがわかりました。 

参考:https://glossom.co.jp/news/5f169519.html 

総利用時間は全体的に増加 

調査によると、SNSの1日平均利用時間は「67.1分」と、2019年比で26.9%の増加が確認されています。2020年はスマートフォンの利用時間そのものも増加しており、2019年の「112.1分」から2020年は「126.6分」と、13.0%の増加が確認されています。検索エンジンやメディアの閲覧時間もSNSと合わせて増加していますが、最も閲覧時間が長いのはSNSです。 

そして、SNSの中でも利用時間の押し上げの要因となっているのが、Youtubeです。YouTubeの利用時間は「16.0分」(2019年)から「27.8分」(2020年)へと73.3%もの増加を見せ、SNSの平均使用時間に大きく影響を与えていることがわかります。 

10代のYoutube利用者に至っては、利用時間は22.3%に達し、前年比で2倍もの時間が費やされることになりました。これは、おうち時間向けのコンテンツが増加したり、学校が休校になったことで、家で過ごす時間が増えたりしたことが背景として考えられます。 

Youtubeの他にも、instagramやTiktokの利用時間が増加していることがわかりました。Instagramの伸長は中でもずば抜けていて、調査対象者全体で平均19.0%もの増加が見られています。これまでSNSは若者だけのツールと考えられてきましたが、おうち時間の浸透を機に、若年層より上の世代のSNS利用も増えていっていることが予想できます。 

若年層では利用時間の低下も見られる 

一方で、興味深い調査結果も現れています。多くの年齢層やサービスにおいては利用時間の増加が見られる一方、若年層において利用時間が低下しているSNSもあるという事実です。 

おうち時間の到来で利用機会が減ったのが、LINEやFacebook、Twitterです。実は、年代別でSNS利用率を見てみると、10代〜40代は2019年に比べて2020年は利用率が5〜10%程度低下しており、全体の割合としてはその数が減っていることがわかっています。 

10代において、Twitterが10.7%、Facebookに至っては15.0%と、顕著な低下がSNSによっては起こっていました。 

おうち時間でSNS利用が減少する背景 

このようなSNS利用率の低下が起こっている理由としては、以下の2つが考えられます。 

現実での人付き合いが少なくなったため 

まず、現実世界での人付き合いが少なくなったことで、それに紐ついたSNS利用も減少している可能性がある、という点です。SNSを現実の延長線上で利用している人は若年層に多く、交友関係が狭まったことで、SNSの利用もご無沙汰になっていったケースが想定できます。 

また、新しい人との出会いの機会も少なくなったことで、新たにSNSに登録する機会も減り、SNS離れが加速していったと考えられるでしょう。 

隙間時間が減り、インドアコンテンツを楽しむ機会が増えたため 

SNSは隙間時間に好んで利用されていたサービスですが、おうち時間が顕著だった2020年は隙間時間が逆になくなり、多くのリッチコンテンツに触れる機会ができたとも考えられます。 

インドアで時間をかけて取り組める余裕が生まれたことで、わずかな時間をSNSで埋めることがなくなり、結果的に利用時間の減少につながった、という可能性です。 

SNSとの上手な付き合い方 

おうち時間の到来は、SNSと現実を密接につなげる働きをもたらしたと考えられる一方で、SNSを遠ざける現象も確認されています。おうち時間の到来によって、SNSとは今後どのように付き合うべきなのでしょうか。 

実世界での繋がりを大切にする 

まず重要なのは、現実世界で健康的なコミュニケーションを楽しむことです。SNSは現実世界の人間関係を補完するツールという側面も持っており、現実での交流がなければ利用に繋がらなかった、という人も多いものです。 

実世界で多様な人や物に触れ、SNSに依存しないコミュニティ形成が必要です。 

過度にSNSからの情報を鵜呑みにしない 

おうち時間の到来により、SNSを情報メディアとして役立てる人が増えて生きています。しかしながら、SNS上で拡散される情報はフェイクニュースの可能性も高く、安易に内容を信じ込むのは危険です。 

SNSだけでなく、新聞やテレビといった従来のマスメディアも併用し、情報の平衡感覚を身につけましょう。 

おうち時間を有意義に過ごすアクティビティを見つける 

SNSと密接に触れる時間が増えたことで、「SNS疲れ」に悩む人も増えています。SNSでのやりとりや、そこで共有される情報量の多さに疲れ、ストレスを溜めてしまうケースです。 

おうち時間の全てをSNSに費やすのではなく、適度にインドアで楽しめる趣味を見つけ、並行して楽しめることが理想です。 

まとめ 

これまで外出が基本だった人にとって、おうち時間の到来は生活が一変するような体験を余儀なくされたかもしれません。コロナショックも落ち着いてきたことで、今は改めておうち時間の過ごし方を見直す過渡期に入ったと言えます。 

自分にとって最適な過ごし方を発見し、SNSとの適切な距離を保ちましょう。