企業における購買行動
企業における購買行動、購買フローの存在
BtoCビジネスにおいてだけでなく、BtoBビジネスにおいても購買行動は存在します。しかし、両者の形態には大きな違いがあります。
購入フローにおける関与者、プレーヤーの多さ
企業における購買意思決定は個人ではなく組織で行われます。そのため、購入フローにおける関与者は多くなります。例えば、起案者から起案セクション上長へ、その次は起案セクション決裁者へ、購買セクションへ、購買セクション決裁者へ、そして最後に最終決裁へと流れていきます。また、製品の占める重要性が増すほど、意思決定に関わる人数は増加します。
購入検討ステップの複雑化
BtoBビジネスにおける購買行動プロセスは複雑なため、BtoCの場合よりも非常に合理的に考えられます。例えば、BtoCである一般生活者の買物の場合ではアイスキャンディーを購入する際に経済的な価値を検討して購入されるケースは少ないですが、BtoBの場合だと経済的メリットがより重視されます。当人、または1名の関与者のみだと非常に簡潔で、本人が良ければOKであれば即購入となりますが、企業における購買行動は合理的に考えられるということです。
また、BtoBの購買フローにおいては検討ステップが複雑なことも大きな特徴です。関与するプレーヤーが多い分、検討ポイントや検討要素が増えるためです。
企業における購買行動で重視されるポイント
BtoBの購買行動においては経済的な価値がより重視されます。合理的な意思決定が行われるためです。具体的には、価格、サービス、組織力、アフターサービス、営業対応力といった側面が重要になります。大勢の意思決定者にとってより分かりやすい部分での価値が重視されるということです。
組織力と人間関係作り、信頼感作りの重要性
このように関与者が多く検討ステップが複雑なBtoBの購買フローにおいては、一度取引をするとほぼ永続的に取引関係が続くことも大きな特徴です。新たな取引先を探すことは費用、時間のリスクが大きいからです。
コロナによる働き方の変化
在宅ワークの浸透
コロナの影響によって在宅ワークが浸透することで、会社がグループとしてコミュニケーションする機会が減っています。オンライン化によって個の活動に偏ってしまうからです。面ではなく点のような働き方に変化したと言えるでしょう。また、会社の中の多くのセクションにおいても在宅勤務になることで、ますます面として機能することが難しくなっています。
取引先商談もオンライン化
こうした働き方の変化がある中で、取引先との商談もオンライン化している場合も多くあります。メリットとしては、物理的な制約が少ないために1日に実施できる商談数が増えることが挙げられます。デメリットとしては、オンライン上のコミュニケーションのみではサービスの説明が伝わりにくかったり、相手の信頼を獲得しづらい点があります。
コミュニケーションの変化
社内におけるコミュニケーションの変化
在宅勤務によって起こった社内コミュニケーションの変化は、大きく分けて三つ考えられます。コミュニケーションの全体的なオンライン化、社内イベントのオンライン化、コミュニケーションにおける空気が読みにくさです。
- コミュニケーションの全体的なオンライン化
まず、すべてのコミュニケーションがオンラインになったことは大きな変化です。例えば、目の前にチームメンバーが居ないため、直接話しをするときに比べて伝わりにくいことがあります。業務上のコミュニケーション不足による作業効率の低下といえます。このように、在宅ワークによってオンライン化することで社内のコミュニケーションが難しくなりました。
- 社内イベントのオンライン化
次に、社内イベントのオンライン化が行われることがあります。中でも、オンライン運動会はメディアで注目されたオンラインイベントの形です。自宅でも社内イベントを開催することで、チームワークや交流関係を構築することができるのです。さらに、体を動かすことでリフレッシュ効果も望まれました。オンラインでも社内イベントを開くことでコミュニケーションを図ろうとした企業が多かったようです。
- 空気が読みにくいコミュニケーション
そして、空気が読みにくいコミュニケーションが生まれました。例えばメンバーが業務に役立つアイデアを持っていても、そのことを口にしていいのかはオンライン上では難しい判断になります。空気が読みにくくコミュニケーションが難しいために、本来は可能だったパフォーマンスやイノベーションが難しくなってしまう問題があります。
上司部下のコミュニケーション変化
〇効率化されるホウレンソウ
オンライン上ではオフラインの場合よりもコミュニケーション方法が限られるため、より簡潔にコミュニケーションを取る必要があります。そのため、従来よりも効率的に報告・連絡・相談が行われてしまう問題があります。
〇今まで以上に何を考えているかわからない上司・部下
オンライン化によるコミュニケーション不足により、上司・部下の関係もより寡黙なものになったと考えられます。具体的な事例として、「部下の適切なタイミングでのフォロー」「仕事の進捗状況の確認が難しい」「案件に必要なアイデアをなかなか求められない」といった問題が起こりやすいです。
〇雑談から起こる信頼関係の重要性
オフィスワークにおいては自然と行うことができた雑談は、オンラインによって欠如することになったコミュニケーションの一つと言えます。雑談は、相談のきっかけになったり、アイデアの発見につながったりなど様々な可能性を持つものです。また、信頼関係を構築するためにも必要不可欠なものです。しかし、オンライン化により雑談が欠如することで信頼関係を互いに得ることができず、組織の閉塞感が生まれることや社内ナレッジを活用できない問題があります。
取引先とのコミュニケーション変化
上記のように、オンライン化によって同じ社内であってもコミュニケーションが難しくなることはコロナ禍の大きな問題と考えられます。このような問題を踏まえると、外部である取引先との交流の難しさが伺えます。
また、お互いによく知らない取引先との商談において、オンライン上で信頼を構築することは難しいでしょう。同様に、初対面の取引先と関係性を作ることも難しいと考えられます。取引先とのコミュニケーションも社内以上に難しいものへと変化したと考えられます。
コミュニケーションのオンライン化に伴う社内決済について
従来の購入検討ステップからの変化
上記のようなオンライン化を受けたコミュニケーションの変化は、BtoBの購買フローにおいても大きな変化となっています。BtoBビジネスにおいて重視される点が見えづらいためです。例えば、コミュニケーション、特に人間関係性、人となり、キャラクターが見えにくいことが挙げられます。
このような変化を受けて、購入検討ステップが変化する可能性があります。特に、オンライン化によって見えづらくなった人間関係性や担当者同士の信頼感の優先度が下がると考えられます。
社内担当者から上長、他セクションへのコミュニケーションが希薄になる可能性
BtoBの購買行動において、コロナ禍のコミュニケーションで縦軸のつながりが薄れたことも重大な問題です。なぜなら、BtoBの意思決定は縦軸で強くつながっているからです。社内におけるオンライン化により、従来の意思決定の在り方も変化しようとしているのです。
重視されるブランド力と見せ方
コロナ禍によって検討軸における人間関係の優先度が下がることや、縦軸のコミュニケーションが希薄になるといった変化が起こっています。その中で、重視されるポイントも変化しています。
- 企業や商品のブランド力や見せ方がより重視される
担当者や関係するプレーヤーの状況が見えにくいためです。具体的には、書類やプレゼンテーションの質によって示すことが重要となっていくと考えられます。
- BtoBカスタマージャーニーの変化が読み取れる
購買意思決定のほとんどがオンラインで決断されるためです。表情や仕草といった情報を得る代わりに、データやWeb上の行動から顧客を探ろうという動きが起こっています。
BtoB商談における注意点
今まで以上にロジカルな提案
BtoB商談においてもオンラインが主流になっています。それは、今まで以上にロジカルな提案が必要とされていることを意味します。具体的には、顧客のWEB上での行動データを把握し、ニーズを正確に分析するといったことが必要になります。コロナ禍のオンライン化を受け、BtoBビジネスにおいては意思決定の合理化が進み、ロジカルな提案がますます必要になっているのです。
・オンラインならではのわかりやすいプレゼンテーション、コミュニケーション
BtoB商談はオンライン化によって変化しつつあります。そのため、より分かりやすいことが求められるようになりました。見せ方や伝え方に力を入れる必要性が高まったと言えます。
資料づくりのポイント
分かりやすい資料をつくるためには、
〇「課題→原因→解決策→効果」のロジックで構成
〇1スライドに1メッセージを意識する
〇プレゼン資料に動きをつける
といった点がポイントになります。
プレゼンテーションのポイント
より印象のいいプレゼンテーションに欠かせないことに、
〇カメラ目線
〇身振り手振りは大げさに
〇話の攻勢は、簡潔にわかりやすく
といった点が挙げられます。
人間関係作りのポイント
顧客の心情が表れにくいオンライン上では、
〇業務上以上の情報もしっかりとつかむ
〇電話、メール、SNS、オンライン会議ツールを使いこなす
といった点が信頼をつくるために重要になります。
まとめ
以上、企業における購買行動の特徴を説明し、コロナによる働き方・コミュニケーションの変化を受け、オンライン化に伴うBtoB購買行動の変化とBtoB商談における注意点を提案しました。
変化の多いコロナ禍においては、BtoBマーケティングにおいても大きな影響が見られます。時代に合った施策を取り入れていくことで、効果的なコミュニケーションを目指していくことができると考えられます。