BtoBマーケティングの基礎 ~実践的な手法を解説~

「BtoBとBtoCの特徴の違いがいまいちわからない」 

「法人営業において思うような成果を上げられない」 

このような悩みや疑問を持つ方は、まずBtoBマーケティングの基礎について理解を深めましょう。 

なぜならBtoBとBtoCのビジネスモデルでは特徴に違いがあり、それらを把握したうえでマーケティングを実施する必要があるためです。 

そこで、本記事ではBtoBマーケティングの基礎やBtoCとの違い、手法についてわかりやすく解説します。 

Contents

BtoBマーケティングの基礎 

BtoBマーケティングにおいて、成功するためには基礎知識について理解を深める必要があります。BtoBならではの特徴や特性を理解していないと、営業先の企業にうまく訴求できないためです。 

BtoBマーケティングとは 

BtoBとはBusiness to Businessの略で、企業間取引のビジネスモデルを指します。簡単にいえば法人や企業を取引先としているビジネスのことです。そのためBtoBマーケティングとは、企業を相手にした営業活動のことで、法人営業を意味します。 

BtoBマーケティングの特徴とは 

BtoBマーケティングでは営業先が法人や企業です。そのため小売店などのBtoCとは異なり、BtoBマーケティングならではの特徴があります。 

成約までに時間を要する 

BtoBマーケティングの特徴は、成約までに時間を要することです。 

企業の場合、多くの部署や担当者を経て、決裁者の判断を仰ぐ必要があるためです。例えば営業先の担当者から上司、さらに決裁者に稟議を回すことをイメージするとわかりやすいでしょう。 

場合によって決裁までに、数ヵ月以上かかることも珍しくありません。 

この決裁までのフローを知らなければ、営業先の担当者に対して「早く決裁してほしい」と迫ってしまうかもしれません。しかし、決済までの流れを知ることで担当者が承認フローを早めることは困難と理解できるでしょう。 

そのためBtoBマーケティングをする際は、営業先によって決裁までにどのくらいの期間を要するのか把握することが大切です。 

受注金額が高額になりやすいこと 

BtoBマーケティングは、受注金額が高額になりやすいのが特徴です。企業の営利活動に必要なため、100や1,000のように購入数が多かったり、専門的な機材のように高額な商材であったりするためです。 

例えばロットと呼ばれる、最低限発注できる数が決まっていることもあります。ロットで販売する際は、商材を複数まとめるため受注金額が大きくなります。 

一度の契約で大きな利益を得られるのは、BtoBマーケティングの醍醐味ともいえるでしょう。 

担当者と決裁者が異なること 

BtoBマーケティングでは、営業先の担当者と決裁者が異なることも珍しくありません。また担当者から課長、次に部長、さらに決裁者といった具合に、複数の役職者が関わることもあります。 

このためBtoBマーケティングでは、担当者が商材をどれほど気に入っても、契約につながるとは限りません。 

BtoBマーケティングで成功するためのコツは、上司や決裁者に向けて訴求することです。しかし余程の信頼関係を構築していないと、直接、決裁者に営業できないでしょう。 

そこで、営業先の担当者が決済者に対してうまくプレゼンできるように、商材のデータやサンプルの提供で担当者をサポートすることが大切です。 

BtoCマーケティングとの違い 

BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違いは、以下のとおりです。

項目BtoBBtoC
営業対象法人・企業個人
顧客数少ない多い
決裁者と担当者異なる同一
決裁までの期間長い短い
取引量多い少ない
取引金額高額少額

BtoCは消費者に対して商品を販売するビジネスモデルのことで、スーパーやコンビニをイメージするとわかりやすいでしょう。 

BtoCの特徴は、個人が対象となるため、企業や法人に比べると顧客数が多くなります。しかし取引量・取引金額が少ないため、一度で得られる利益はBtoBに比べて少なくなります。 

またBtoCは消費者が購入の判断をできるため、即決することも珍しくありません。衝動買いと呼ばれる、気に入った商品をすぐに購入されることが起こりえるのもBtoCの特徴といえるでしょう。 

このようにBtoB・BtoCを比較してみると、様々な違いがあるとわかります。 

BtoBマーケティングの役割は企業の課題解決 

BtoB取引は企業の課題を解決するための手段で、サービスを売ることが基本です。つまりBtoBマーケティングの役割は、取引先企業の課題を解決することです。 

「もっと売れる商品を仕入れたい」 

「新たな機材で作業効率を上げたい」 

「製造コストを下げられる資材があれば、競争力を高められる」 

このように取引先の企業には、それぞれ解決したい課題やニーズがあります。 

自社商品・サービスによって企業の課題を解決するためには、BtoBマーケティングにより、必要としている企業に適切な情報を届けなければなりません。 

このためBtoBマーケティングの役割は、企業の課題解決といえるのです。 

BtoBマーケティングのプロセス 

BtoBマーケティングのプロセスは大きく分類すると、以下の3つの手順となります。 

1. 調査・分析をする 

2. マーケティング施策を立案する 

施策を実行し問題点があれば改善する 

例えば、市場調査や取引先の課題・ニーズの調査、分析などでターゲットにすべき企業を検討します。それに沿ってマーケティングを立案し、実行後は次のマーケティングにつなげるために、問題点を洗い出し改善するといった具合です。 

市場調査・分析をする 

BtoBマーケティングを成功させるためには、自社の商材やサービスについて理解を深めることや、企業のニーズや課題を把握することがかかせません。 

そのため1つ目の手順は、自社商材や市場に関する調査をして分析することです。 

代表的な調査である市場調査では、市場規模や市場の成長率、競合他社のシェア率などを確認します。ほかにも自社の商材・サービスと競合他社との優位性について把握するのも大切です。 

これらの調査からターゲットの企業を明確にすることで、自社商材のメリットを生かした訴求が可能になります。 

マーケティング施策を立案する 

調査・分析の結果をもとに、マーケティング施策を立案します。マーケティング施策の立案では、商材ごとにターゲットとする企業の選別やリード獲得方法、スケジュールや施策の優先順位などを決定します。 

施策を実行し問題点があれば改善する 

BtoBマーケティングは施策を立案して、実行したら終わりではありません。成約率を高め効果的な営業をするには、実行した施策について効果を分析し、問題点があれば改善する必要があるためです。 

例えば商談後に取引先から意見を聞くことで、顧客の満足度の把握や改善点の発見に役立ちます。 

問題点を改善して成約率を高めると、同じ商談数でもより多くの成果が得られます。また成約に至る際の問題点を改善することで、スムーズに商談が進むため、商談数もさらに増やせるでしょう 

つまり1~3の手順を繰り返してPDCAサイクルを回すことにより、効果的なBtoBマーケティングの運用につながります。 

BtoBマーケティングの手法は主に6つ 

BtoBマーケティングはオンライン・オフラインで様々な手法があります。ここではBtoBマーケティングの手法を6つ紹介します。 

①コンテンツマーケティング 

コンテンツマーケティンはオンラインのBtoBマーケティング手法です。顧客企業に役立つ情報をコンテンツとして配信し、コンテンツからの集客やリード獲得を目的に実施されます。 

代表的なのはコンテンツSEOで、ブログやオウンドメディアのコンテンツを検索エンジンに上位表示させ、関心の高い見込み顧客を集める手法です。 

また、コンテンツマーケティングに利用されるコンテンツはテキスト形式以外にも、動画や写真など様々です。例えばYouTubeでの動画配信や、Instagramでの写真投稿などをイメージするとわかりやすいでしょう。 

コンテンツマーケティングのメリットは、一度作成すると長期間にわたって集客に役立つことです。 

②ホワイトペーパー 

ホワイトペーパーは自社製品・サービスの詳しい情報や、顧客が興味のありそうな情報についてまとめた資料のことです。 

ホワイトペーパーを活用したマーケティング手法として、見込み顧客が資料をダウンロードできるかわりに、会社名・担当者名・連絡先などをフォームから記入してもらう方法があります。見込み顧客のリード獲得が目的で、得られたリードをもとに営業をするためです。 

例えば、検索エンジンで興味を持ったページを開いても肝心の内容については、PDF形式で配布しているのを見かけたことがある方も少なくないでしょう。 

このように、コンテンツマーケティングと併用されることも多い手法です。 

ホワイトペーパーを作成するメリットは、専門性の高い企業であると認識されることやブランディングに役立つことです。 

③インフルエンサーの活用 

オンラインのBtoBマーケティングの手法に、インフルエンサーの活用があります。インフルエンサーは多くのSNSユーザーから支持され、強い影響力を持つ方のことです。 

そのインフルエンサーに自社商品やサービスについて紹介してもらうのが、インフルエンサーを活用したマーケティング手法となります。メリットはインフルエンサーの拡散力を利用して、これまで接点のなかった潜在顧客にも訴求できることです。 

例えば100万人のフォロワーを持つ方であれば、1回の投稿で何十万人ものSNSユーザーに訴求できるでしょう。 

自社のSNSアカウントでフォロワーを集めるのは手間と時間がかかるため、SNSを活用したマーケティングの1つとして有効です。 

④オンライン×オフラインセミナー、展示会 

BtoBマーケティングの手法にはセミナーや展示会があります。ブースなどで自社商品の機能を説明したり、商材を手に取ってもらったり、実際に使っている企業の声を紹介したりなど様々な方法で訴求できます。 

目的は多くの新規顧客との接点を作り、商談やリードを獲得することです。 

このようなセミナーや展示会は、新型コロナの流行によりオンラインでも開催されるようになりました。 

オンラインで実施するメリットには、コストが抑えられることや参加者の情報を入手しやすいことが挙げられます。そのため、新型コロナの感染が落ち着きつつあるなか、オンライン・オフラインともにセミナーや展示会の重要性は増しているといえるでしょう。 

⑤飛び込み営業 

飛び込み営業はオフラインの代表的なマーケティング手法で、アポイントメントを取らずに企業に訪問して営業する方法のことです。新規顧客の開拓を目的として行われます。 

飛び込み営業のメリットは、取引先と対面で話をすることで関係性を構築できることです。これまで全く関わりのなかった企業を新規顧客として獲得することで、収益アップに貢献します。 

ただしアポイントメントを取っていないため、営業先によっては門前払いや嫌がられる可能性もあるのがデメリットです。 

⑥テレアポ 

テレアポは飛び込み営業と同様に、オフラインの代表的なBtoBマーケティングの手法です。テレアポは新規顧客の開拓を目的として、これまで関係のなかった企業に対して電話で自社の製品・サービスを説明し、アポイントメントを取ります。 

飛び込み営業と異なる点は、移動に時間がかからないため、より多くの企業にアプローチできることです。 

メリットは直接電話で企業の担当者と話せるため、企業の課題やニーズを聞き出せる可能性があることです。またアポイントメントが取れると、次のステップの営業につなげられます。 

デメリットは飛び込み営業と同様に、潜在顧客に対してアプローチするため、相手が迷惑に感じる場合があることです。頻繁に連絡すると、企業のイメージダウンになりかねないため注意しましょう。 

効率的な営業活動が成功のカギ 

営業といえば「飛び込み営業」や「テレアポ」といった、オフラインでの活動をイメージしやすいでしょう。しかし、「靴の底が減る速度の速い営業担当者ほど熱心」というのは過去のことです。 

インターネットの急速な進化により、BtoBマーケティングでもオンラインやデジタル機器を積極的に活用するようになったためです。 

今後のBtoBマーケティングでは、オンライン・オフラインのツールを有効活用し、効率的な営業活動が求められるでしょう。