【マーケ思考×データ活用】新規事業アイデアの裏付けメソッド vol.3

新規事業を進めるには、各部署との合意形成が重要です。関係部署が同じゴールを目指し、足並みをそろえてプロジェクトに取り組むことで成功に近づけるためです。

本シリーズでは、新規事業を軌道に乗せるまでのフェーズを以下の4つに分けて説明します。

・着想

・市場分析

・事業計画

・合意形成

前回・前々回で事業計画までをお届けしたので、今回は合意形成に焦点を当てて解説します。また最後に事業計画に関する質問への回答もありますので、最後までご覧ください。

本コラムは、弊社で開催したラジオ風ウェビナー

『マーケ思考×データ活用で切り拓く、新規事業アイデアの裏付けメソッド』

の一部内容を編集して、全3回のシリーズに分けてお届けします。

Contents

事例(合意形成):食品OEMメーカーの場合

前回・前々回に引き続き、食品OEMメーカーの事例を紹介しながら、新規事業の合意形成のポイントを解説していきます。

食品OEMメーカーの概要は以下のとおりです。

●これまでのあらすじ

10年にわたる利益の減少に悩んでいた「にっこり食品株式会社」は、大豆食品の新しい加工技術を生かした新規事業のプロジェクトを開始し、事業計画の策定まで進みました。

●サービスローンチを目指すことに

次のステップとして、にっこり食品株式会社は合意形成に着手します。具体的には、検討チームで業務分析を行ったうえで、事業計画全体を評価する会議を3回実施しました。

会議では現場の実情を把握する検討メンバーらが視点を持ち寄り、必要に応じて各部門のスキル・知識を引き出しながら事業案をブラッシュアップしました。これらの検討により、市場性が見込め、事業の勝ち筋を見出します。

検討の結果は経営層へ上申され、最終的に開発投資の判断が下り、現在はサービスローンチを目指しています。

合意形成を得るための3つのポイント 

事例では、合意形成がスムーズに進んでいます。しかし、必ずしもこのようにスムーズにいくとは限らないでしょう。この章では、事業検討から合意形成を得られるまでの3つのポイントを紹介します。

① 可視化する

② 実際に触れる

③ 実際に携わる

新規事業の検証プロセスの設計時に、①~③のプロセスを検討しておくと、以降のフェーズがスムーズに進みます。

ポイント① 可視化する

新規事業について議論しようにも、何もない状態で活発な議論は困難です。そこで市場調査や事業計画の段階において、つぶさに経営層・現場層から話を聞き、ビジネスの組み立ての可視化をすることが重要です。

可視化ができると、より具体的で活発な議論が生まれやすくなります。

ポイント② 実際に触れる

市場調査・市場分析の段階で、ユーザーのお困りごとや現地の実情に触れることが重要です。しかも一部のメンバーだけではなく、検証チームのメンバー全員が触れることをおすすめします。

例えば、チーム全員でユーザーの声を聞いてみるといった具合です。この工程を踏むことで、スムーズな事業推進を期待できます。

ポイント③ 実際に携わる

合意形成のポイントは、検証チームのメンバーが実際に事業に携わることです。検証チームのメンバーが実際の業務にまったく関わらないと、自分ごととして捉えにくくなるためです。事業案の構築に関わったメンバーは部分的でも良いので、実際に事業に携わることをおすすめします。

新規事業アイデアの裏付けメソッドのまとめ

全3回シリーズにわたり、新規事業アイデアの裏付けメソッドをお届けしてきました。メソッドにおけるポイントをまとめると、以下のとおりです。

新規事業を始める際は、上記のポイントを押さえて事業を推進してみましょう。

新規事業関係で寄せられた質問 

ウェビナーを開催するにあたり、寄せられた新規事業に関する質問と回答を紹介します。

Q1. 新規事業創出はどのようなデータから見つけ出すのか?

新規事業の創出で役立つデータは、個別のケースで異なります。

しかし、これまでの経験からいえることはあります。それは、データが膨大であればあるほど、斬新なアイデアを見つけ出すのが困難なことです。一方シンプルなデータは、観察することで新たな発想が得られ、新規事業のアイデアにつながることがあります。

簡単にいえば、人間がぱっと見て判断できるデータならアイデアが生まれますが、ビッグデータのような人間が判断できないものは発想につながらないのです。

ここで、「ビッグデータを生かして新規事業をする場合はどうするの?」と思う方もいるでしょう。

ビッグデータはアイデア出しではなく、新規事業の仮説の分析に活用できます。ビッグデータを分析することで、新規事業の仮説の検証ができるためです。

Q2. BtoBのマーケ思考×データ分析で何かコツがありますか?

まず、マーケ思考×データ分析が注目されたきっかけはビッグデータの活用です。通信やECなどの分野で消費者の行動ログが蓄積され、これらのログを使って何かできないか?と考え出されたのがマーケ思考×データ分析の始まりといえます。

つまり、BtoCにおいては強みのある戦略です。

一方、BtoBのマーケティングの活用領域は新規開拓・既存顧客維持です。

・新規開拓

いかに認知を広げて、自社の有用性を知ってもらうことが重要

・既存顧客維持

既存顧客との関係性を深め、アップセル・クロスセルにつなげるかが重要

既存顧客維持は、例えば以下のポイントについてデータをチェックすることで傾向がわかります。

・訴求すべき顧客に適切なタイミング・回数でアプローチできているか

・提案・成約までできているか?

・コンバージョンがどれくらいあるか?

BtoBにおいては、データのマネジメントの基盤を作ることが大切です。例えば、リアルタイムにやるべき営業の形になっているかを確認できる環境を作ったり、それを見てやるという文化・風土を根付かせたりすることです。

いきなりマネジメント基盤を作るのは困難なため、データ分析から始めてみるのをおすすめします。

Q3. テーマを特定する前の検索方法を教えてほしい

市場分析のフェーズで紹介したように、いくつかのターゲットを同時進行で検証し、アイデアをブラッシュアップする方法がおすすめです。

ほかに以下の方法があります。

・マーケットのマクロから入る方法

・個別の具体的なニーズから広げる方法

・過去から現代の流れを現代から未来の流れに置き換える方法 など

これらの詳しい方法については、またの機会に紹介します。

セルウェルからのお知らせ

セルウェルでは新規事業の創出に必要な、アイデア探索の支援、市場分析、合意形成に至るまでをコーディネートしています。

・新規事業を成功させたい

・新規事業のアイデアのヒントを教えて

・市場分析をどのようにすれば良いかわからない

・新規事業をスムーズに進めたい

このような質問や要望などがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

赤坂データ株式会社の紹介

一緒にセミナーにご登壇いただいた中西孝雄氏が、代表取締役社長を務める赤坂データ株式会社の紹介です。

代表取締役 中西 孝雄 氏

大手損害保険会社の本社や出向先ニューヨーク投資会社でリスク管理や投資先選定業務に従事。その後、データ分析業界へ転身し、赤坂データ株式会社を設立。企業での実務・コンサル経験と数理の道具で事業構造を解きほぐし、見通し、最適化する。金融、流通、小売、メーカー系企業の事業戦略立案や業務効率化、新規事業のポテンシャル、採算性、リスクの評価などを、データに基づいた分析を中心に支援。

赤坂データ株式会社では、「データ分析をもっと身近に!」を掲げ、「こんなことをしたいな」という夢や思いを実現に向けて落とし込んでいます。データに基づいた分析を中心に支援していますので、データ分析でお悩みの企業はぜひご相談ください。