狩野モデルとは?5つの品質や使い方、メリットをわかりやすく解説

顧客満足度の向上は、事業の成功に欠かせない重要な要素です。なぜなら、安定した経営を実現するためには、リピーターやファンの育成が不可欠であり、その基盤となるのが顧客満足度だからです。 

そのためには、顧客の様々なニーズをバランスよく考慮する必要があります。そこで役立つのが狩野モデルです。本記事では、狩野モデルの5つの品質や使い方、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。 

狩野モデルとは 

狩野モデルは、品質と顧客満足度の関係性を示すフレームワークです。東京理科大学教授の狩野紀昭氏によって提唱され、「Kano Model」として海外でも広く知られています。製品開発、マーケティング、品質管理など、様々な分野で活用されています。 

狩野モデルの5つの品質 

狩野モデルは、顧客が製品やサービスに対して求める品質を5つに分類した点が特徴です。ここでは、その5つの品質について解説します。 

当たり前品質 

顧客にとって「あるのが当然」と感じている品質のことです。例えば、ハサミであれば「紙が切れる」といった基本的な機能が該当します。顧客が無意識に期待している最低限のニーズで、これを満たしても顧客満足度が大きく上がることはありません。しかし、当たり前品質が低いと顧客の不満につながり、顧客満足度は大きく下がります。 

一元的品質 

あれば顧客満足度が上がり、なければ顧客満足度が下がる関係性のある品質です。例えば、通信販売の配達時間が該当します。配達が早いほど満足度が高まりやすく、配送が遅くなるほど満足度が下がるためです。このように一元的品質は顧客満足度に直接影響します。 

魅力的品質 

顧客にとって「なくても困らないが、あるとうれしい」と感じる品質のことです。例えば、ホテルの無料ドリンクサービスや、車の運転支援機能などが該当します。このような品質は、なくても顧客満足度が下がりにくい一方で、あると顧客満足度の向上が期待できます。 

無関心品質 

あってもなくても顧客満足度にほとんど影響を与えない品質です。例えば、操作音を10種類から選べる家電製品があるとしましょう。このような機能は、大半の顧客には不要です。その機能に気付くことなく製品を使い続けるかもしれません。このようなあってもなくてもよい機能は、コスト削減の観点から見直しが必要と言えます。 

逆品質 

存在することで顧客満足度を下げてしまう品質です。例えば、電子レンジに何十種類もの調理方法に対応したボタンがあるとします。一部の顧客にとっては需要があるかもしれませんが、大多数にとっては「複雑すぎて使いにくい」と感じるでしょう。このように過剰な機能や仕様は、マイナスに作用することがあります。 

狩野モデルの使い方の手順 

狩野モデルを効果的にビジネスで活用するには、その使い方を理解することが大切です。ここでは、使い方の手順をわかりやすく解説します。 

手順① 品質項目の洗い出し 

最初の手順は、顧客が価値を感じると考えられる品質項目を洗い出すことです。製品やサービスを利用する顧客の視点に立ち、できるだけ多くの品質項目を抽出することが重要なポイントです。 

この手順を効率的に行うためには、「ブレインストーミング」や「MECE」のフレームワークが役立ちます。
重複を避けながら、網羅的に品質項目をリストアップできるからです。 

それぞれのフレームワークの詳細については、以下の記事をご参照ください。 

アンケートの実施 

洗い出した品質項目に対して、顧客満足度との関係を把握するためのアンケートを実施します。具体的には、各項目に対して、充足質問(肯定的な質問)と不充足質問(否定的な質問)を用意します。 

  • この機能があるとどう感じますか?(充足質問) 
  • この機能がないとどう感じますか?(不充足質問) 

これに対して用意する選択肢は、以下のとおりです。 

  • 非常にうれしい 
  • 当たり前 
  • 何とも思わない 
  • 仕方がない 
  • 困る 

このように充足質問と不充足質問の両面から評価を行うことで、各品質項目が顧客満足度にどのような影響を与えるかを把握できます。 

品質要素の特定 

アンケート結果を次の表に当てはめて、品質項目を5つの品質に分類します。 

※疑似的品質が表に現れた場合は、質問内容や回答の解釈に誤りがある可能性があるため、アンケートの見直しが必要です。 

製品やサービスへの反映を検討 

5つの品質を優先順位は次のとおりです。 

この順に、該当する品質項目を製品やサービスに反映できるかを検討します。 

狩野モデルのメリット 

狩野モデルを活用して製品やサービスを開発、改善することで、主に3つのメリットがあります。ここでは、各メリットについて解説します。 

メリット① 顧客満足度の向上が期待できる 

狩野モデルを活用すると、顧客満足度の向上が期待できます。どの品質項目が顧客満足度に影響を与えるのかを明確にできるためです。その結果、顧客との関係が深まり、顧客の育成にもつながります。 

メリット② 優先順位が明確になる 

狩野モデルを活用することで、優先的に対処すべき品質項目が明確になります。5つの品質には、優先順位があるためです。どの施策から着手すべきかを迷うことがないので、効率的に改善を進めることができます。 

メリット③ リソースを最適化できる 

顧客の全ての要望に応えようとすると、大量のリソースが必要です。しかし、狩野モデルを活用すれば、無関心品質や逆品質のように、顧客満足に直結しない品質項目への対応を後回しにできます。このようにリソースを最適化することで、効果的な品質改善に注力できます。 

狩野モデルのデメリット・注意点 

狩野モデルはメリットばかりではなく、デメリットもあります。活用する前に、デメリットについても把握しておきましょう。 

デメリット① 当たり前品質だけで顧客満足度は上がらない 

当たり前品質は最も優先順位の高い品質です。しかし、これだけに絞って対策をしても顧客満足度の向上につながりません。効果を高めるには、魅力的品質や一元的品質にもアプローチする必要があります。 

デメリット② 時代によりニーズが変化する 

顧客のニーズは時代により変化します。例えば、魅力的品質が当たり前品質になることも考えられます。革新的な機能や性能であっても、時代とともに一般化することもあるためです。そのため、顧客のニーズに応え続けるには、定期的に品質項目を見直す必要があります。 

顧客満足度の向上には狩野モデルを活用しよう 

狩野モデルは、品質と顧客満足度の関係性に注目し、効果的な商品開発や改善ができるフレームワークです。顧客満足度の向上や顧客育成に課題を感じている企業様にとって、有力な手法と言えるでしょう。 

ただし、その実践には品質項目の洗い出しやアンケート設計といった準備が欠かせません。そしてこの準備段階で不備があると、十分な効果を得られなくなります。 

こうした課題に対しては、セルウェルのコンサルティングサービスがおすすめです。アイデア出しや市場調査の支援を通じて、企業様の課題解決を実現します。まずはお気軽にご相談ください。