sell well

新たな市場を創造するマーケティング・パートナー

menu

Column

2020/12/10

生活環境変化と購買行動変化を的確にとらえたマーケティングの重要性

コロナによる生活環境変化

在宅勤務が常態化

 日本では4月から5月にかけてコロナ感染者が急増しました。政府からの外出自粛要請が出され、その頃から在宅勤務が常態化していきました。

 通勤時間がなくなったことで、混雑した電車やバスでのストレスを感じずに済んだり、時間を有効に使えるようになって、仕事の効率が上がるなどのメリットがあります。

 しかし一方で、ビデオ会議疲れ、深夜まで続くチャット、運動不足といったオフィスワークをしていた時にはあまり感じなかった悩みに直面していることもあります。

 今まで経営者に在宅勤務の実感経験がなかったことから、在宅で働く企業は少なかったのですが、コロナを機に、それが一気に広まりました。実際のところ、それまで在宅ワークを経験したことがなかった人は全体の約8割弱にも上りました。

 みなさんは外出自粛中の期間や現在でも在宅ワークを経験しましたか?実際、自分自身で経験してみてどうだったかと気づかされた点も多いのではないでしょうか。そうした一つ一つの小さな気づきも大切に、マーケティングに活かしていきましょう。

自炊頻度の高まり

 在宅勤務中で他に変わったことは、一人暮らしをしている層を中心に、自炊頻度が高まったことです。通勤していた頃は、帰りに外食をしたり、コンビニなどで弁当を買うことができましたが、外出自粛要請も出ていた世の中だったので、在宅勤務中は、家にずっといなければならず、外に頻繁に出られないことや飲食店が休業して、自炊を行う人が増えたのです。

 実際どのくらい自炊頻度が増えたのかグラフで見てみましょう。

 下のグラフは株式会社ポケットマルシェが10代〜70代の男女7,700名を対象に、withコロナ時代の「食」に関する意識調査を行ったものです。

 グラフから見てもわかる通り、どの世代も半数前後が自炊頻度が増えたと回答しています。年齢が下がるほど自炊頻度は高くなっています。若者の30代以下では64.3%と最も多く人々が自炊頻度が増えています。

 そして、自炊が増えた理由を細かく見てみると、以下のようにまとまります。これも同社が行った調査結果に基づいています。

https://www.pocket-marche.com/news/202009291000650/ より画像抜粋

 一番多い理由は「感染予防のために外出自粛をしていた」ということです。

 家にいる時間が長くなったことで、生活用品やキッチン用品などのおうちグッズの需要が伸びています。

生活雑貨業界のフランフランは外出自粛要請が出ていた4月から5月頃に、おうちの雰囲気変えになる壁紙やアートボード、腰が痛くならない低反発クシートッションが売れました。同じく同業界のプラザは、日常を楽しむための家庭雑貨やマスク対応のヘアメイク商品が好調となっています。また、7月から9月の暑い日々が続いていた頃には、ひんやり効果のある「クールパステルマスク」などが売れ、季節商材のアイテムが人気となってました。

 キッチン用品業界でも同様に需要が高まっている傾向が見られ、料理の手間を省く便利グッズや、家事を手軽にするものが売れ行きが好調となっています。

 それでは、一つ売れている商品の紹介をします。パスタや温野菜が簡単に作れる「パスタメーカー」です。

 これは、3COINSの製品で値段はたったの300円です。お洒落なうえ、レンジで温めるだけでもちもちとした食感のパスタが出来上がるほか、時間を調節するとブロッコリーやニンジンなどを温めて温野菜もできます。

 リーズナブルな値段で簡単に使え、慣れない自炊中でも栄養満点のおいしいご飯が食べられるので、需要にぴったりと合っていて人気商品となっています。

 また、自炊の人々の増加で「クックパッド」「クラシル」「DELISH KITCHEN」といったレシピアプリも人気が急上昇しています。初めて料理をする人、レシピがわからない人などが簡単においしい料理が作れるうえ、料理が得意な人もレシピをそうしたアプリにアップロードすることで利用者に多くのサービスを提供することができます。

 自炊が増えた一方で、自宅でのご飯の支度が面倒だと感じたり、できない人々もいます。そこにターゲットを当てた事業がスタートしたところもあります。

それは、オフィス街で販売していた飲食店がキッチンカーをもって住宅地やマンション前でお弁当などの販売を開始したのです。

 上の写真は神奈川県藤沢市役所の市庁舎前の様子です。コロナで飲食店の売り上げが激減してしまった影響で、お客様が来られないなら自らが近くに販売しに行こうという試みで始めたキッチンカーでの販売です。

 椅子などは近くに置かず、テイクアウトのみを実施しているところが多いようです。UberEatsなど飲食の宅配サービスが好調な傍ら、こうした動きも出ているのです。特に都心部を中心とした外出自粛期間であった4〜5月あたりにこの動きは所々で見られました。

 また、在宅ワークで売り上げが伸びた製品は他にもあります。以下はBCNが集計するデジタル家電やソフトウェアの実売動向を表したものです。デジタル家電市場は販売台数の前年同期比で100.0%と前年並みで、販売金額は108.0%と少し伸びています。リモート会議でPCカメラを使用したり、パソコンに保管するデータ量が増えたことで外付けSSDが大幅に販売台数が拡大しました。

男性も家事をやる生活

 また家庭をもっている男性は、家事を女性に任せていた場合が多かったですが、在宅勤務で家にいられる時間が増えたこと、通勤時間がなくなって時間に余裕ができたことなどがきっかけで家事を行う男性が増えました。

 実際に、NRI株式会社が行った「新型コロナウイルス感染拡大による生活の変化に関するアンケート」によると、子育てをしている男性の結果では、明らかにコロナ後の方が男性も家事を行う意識が高まっていることがわかります。(グラフ下)

 こうしたことからわかることは、今後徐々に在宅勤務が常態化して男性の意識が変わってくると、主婦ではな「主夫」をターゲットにした製品も増えてくる可能性があるということです。

 今後も動向を見ながら、ターゲットを考えていきましょう。

購買行動の変化と販売チャネルの多様化

 コロナ前後では随分と購買行動が変化しました。コロナ前後では、先ほども言ったように、飲食の宅配サービスが普及したり、その他にはスーパー以外での生鮮品の買物機会が増えるなど、私たちの生活の所々で様々な変化が見られます。

 例えば、宅配食材企業の売上拡大・ニーズ拡大に関しては、Uber Eats(ウーバーイーツ)は利用者数が前年同月比で191.7%になりました。「外出できないけど、おいさい飲食店の味を家で楽しみたい」というニーズにぴったり合っています。

 2019年10月から2020年3月に行われた調査で、男女別で、どのフードデリバリーアプリが利用されているかを表したグラフが以下です。

dデリバリーが男性に人気なようです。UberEatsが人気なイメージもありますが、このグラフでは男性より女性に人気となっています。では、もう一つグラフを見てみましょう。

 以下のグラフは、未婚と既婚別で取った調査結果を表しています。独身者の男性がよくUberEats を利用していることがわかります。他の3社はファミリー層が多くなっており、dデリバリー利用者の既婚者の割合は57.9%にも登ります。

コンビニエンスストアでの取り組み

 また、コンビニエンスストア(CVS)でも生鮮品・果実類の取扱いが拡大しているということです。

 新鮮な野菜や果物は傷みも早く、多くのコンビニから敬遠されてきましたが、近年は女性からの指示や高齢者のライフスタイルの変化に伴って、需要が拡大しています。

 ローソンでは、2010年から千葉を始め、全国にローソンファームを設立しています。地元の生産者との共同出資で立ち上げ、安心安全な国産野菜を人々の身近なところで供給できるようにサービスを広げています。ローソンはこのコロナで生鮮食品の販売を強化しています。500円のワンコインでジャガイモ、タマネギ、ニンジン、キュウリ、プチトマト、シメジ、ピーマンなどのセットを買えるようにしています。外出自粛の影響で、近場でまとめて買う人が増えたため、このようなサービスを展開しているのです。

 生鮮食品を導入するという面では、ローソン以外でもその動きが加速化しています。ファミリーマートでは、全国9500店舗あるうち、約6割が野菜を取り入れ、約8割は果物を導入しています。セブンイレブンもおよそ1万店舗で青果物を丸ごと販売しています。

 自炊する人が増えたことで、ローソンでは生鮮食品、調味料、冷凍食品、日配食品などの売り上げが右肩上がりとなりました。特に、青果物の販売額は、今年5月時点での前年比でおよそ2割増となりました。

ネットスーパー・EC(アマゾンgo)の拡大

 Amazonなどのネットスーパーも需要が拡大しています。電化製品の店舗もコロナの影響でしばらく休業していたところも多々あります。そうした状況下でも、ネット販売なら、利用者は在宅で購入できるため、感染リスクもゼロです。

 実際に実物を見て商品を買えないという点では、「写真と違う物が届いた」などという利用者もおり、デメリットもありますが、メリットや利便性のほうが高く、利用者数は日々増え続けています。

 コロナ流行前の2020年2月と流行中の4月の利用者を、会社別で表したグラフが以下となります。これはヴァリューズ株式会社が「新型コロナウイルスの消費者影響調査」を行い、コロナ禍で大手ECモールのユーザー推移を発表したものです。

2020年4月と2月を比べたユーザーの伸び率は、「Amazon.co.jp」が6.0%増、「楽天市場」は10.5%増、「Yahoo! ショッピング」が14.1%増となり、すべての会社が利用者の増加に成功しています。

 購入したものは日用品や化粧品、洋服などが多いです。ショッピング店舗に行かなければ手に入らない物もネットで簡単に購入できることは、コロナ後もずっと需要は伸び続けるでしょう。

生活者がチャネルを選ぶ幅が増えた 

 こうしたことからもわかるように、生活者それぞれが自分に合ったチャネルを選んで、生活に必要なものを買えるようになったことが明らかである。コロナで様々なニーズが増え、それに合わせて多くのチャネルが出てきました。生活者がチャネルを選ぶ幅がそれだけ広がったことで、それぞれの企業のサービス内容やコスト面でより競争が激化していくことが予想されます。

小売店での売り方の工夫

  買い方、購買行動変化に伴い、小売店も売り方の工夫を行っています。以下にそれぞれチャネルごとに分けて、表でまとめたものを掲載しましたので、ご覧ください。

チャネル事象対応策
スーパー非接触決済としてのスマホ決済やポイントカードのデジタル化が進むものの、高齢者は操作方法がわからず、結局レジで操作方法を教える、お客さんのスマホを触る機会が増え、感染予防対策にならない①電子決済専用レーンを作って、誘導を促す
②レジ全体を見るスタッフを繁忙時間に設置し、即フォロー対応ができるようにした
スーパー店頭での滞在時間が縮小=ついで買いやムダ買いがなくなり、日常必需品以外の客単価が減少防災用の保存食品や長期での保存がきく商品を中心にPOPや売場展開
ついで買いでの客単価アップを狙うのではなく、日常必需品/緊急時の必需品での客単価アップを狙う商品ラインナップ・訴求を行う
スーパー店頭では体験型商品を増やす=巣ごもり需要もあるが、シニア層・男性客が手軽に使える、料理できるものを準備試食販売や簡単に作れる料理提供を店頭でもできればよいが、感染症対策で対応できず。
その代わりに、少人数用にセットされた食材キットや、チルドや冷凍でもレンジで温めるだけ、ひと手間だけ加えるだけで料理ができる商品を多く陳列。
CVSそもそも都心部に来る人が少なくなってしまったため、来た人、近隣のオフィス需要を拡大させたい事前申し込みで、お弁当類の複数発注&当日お届けするサービスを店舗独自で実施
CVS来店客数が減少近隣オフィスへのお伺い営業の取組みを実施
電気がついていて、人の出入りがあるオフィスを見て、店舗のチラシをもってのお伺い営業。
お菓子類や飲料類が必要であれば、すぐにお届をするサービスも店舗独自で実施。

購買行動を的確に捉える

  情報収集の仕方や、情報接点の取り方、3密を避ける行動など、様々な確度から購買行動変化のきっかけ・本質を捉えることができます。

 今までは、性別年齢、居住家族属性などターゲット属性からの購買行動を捉える事が多かったけれども、これからは、生活環境別、生活スタイル別、ニーズ別といった切り口での購買行動の整理が必要となります。

 商品認知→商品接点→情報収集→購入の検討→購買チャネルの選択→購入 の購買行動フェーズの情報をしっかりと整理することが大切です。

まとめ

 これまで、コロナによって様々な購買行動の変化やどういった業界が成長しているかを見てきました。いろいろな企業の販売計画とプロモーション戦略を見ると、購買行動に合わせ、チャネルでの販売計画、それに合わせたプロモーション計画の立案が非常に重要なポイントとなることがお分かりいただけたと思います。

 今後コロナの感染が拡大したり、逆に終息した場合には、また購買行動に大きな変化が生まれ、製品の販売計画やプロモーション戦略にも影響が出るでしょう。

 そうした先の定まらない今だからこそ、こうした購買行動を深く読み取り、販売戦略に活かすことが本当に大切になってくるのです。

 このコラムを読んで、現在掲げている戦略や今後の行き先をぜひもう一度見直してみてください。

ご相談やご提案依頼などお気軽にお問合せください。

ご相談・お問い合わせ