近年、演劇や観光、教育などのさまざまな産業でイマーシブ体験が注目されています。
没入型コンテンツにより、これまでにはない体験ができるとして人気があるためです。
しかし、一体どのようなコンテンツがイマーシブ体験につながるのかわからないという方もいるでしょう。
そこで本記事ではビジネスパーソンに向けて、イマーシブ体験の意味や注目される背景、事例3選を紹介します。
Contents
イマーシブ体験とは
イマーシブ(immersive)とは、没入型や没入感を意味する言葉です。そのため、イマーシブ体験とは没入感が得られる体験を指します。
近年、ビジネスにおいて没入感を重視したコンテンツに人気があり、ビジネスを展開するうえでも注目のキーワードとなっています。
イマーシブ体験が注目される背景
2024年3月、世界初のイマーシブのテーマパーク「イマーシブ・フォート東京」がお台場にオープンしました。テーマパークのコンセプトとなるほど、イマーシブ体験はエンターテインメントや観光、教育などのさまざまな分野で注目されています。
イマーシブ体験がビジネスで注目される背景は以下の3つです。
- コト消費への移行
- 高い集客効果
- 技術の進化
この章では、注目される背景をわかりやすく解説します。
コト消費への移行
イマーシブ体験が注目される背景は、「モノ消費」から「コト消費」への移行です。
モノ消費とは、商品・サービス自体の価値を重視し、モノの消費や所有を目的とする消費行動のことです。一方、コト消費とは商品・サービスを選択する際に、得られる体験や経験を重視する消費行動を指します。
モノ消費からコト消費へ移行している理由は、社会が豊かになりモノが溢れている現代において、体験や経験に価値を見出す人が増えたためです。
例えば、旅行の際にご当地商品よりも現地でしかできない体験を重視するといった具合です。
ご当地商品であればインターネットで購入できることもあります。しかし、体験はそのときその場所にいなければ得られないためです。
このようにコト消費へシフトしたことで、イマーシブ体験が注目されているのです。
高い集客効果
イマーシブ体験には、高い集客効果があります。
没入型コンテンツは体験者に強いインパクトを与え、SNSなどに口コミが拡散されることで集客につながるためです。また没入型コンテンツは、目新しさからメディアへの露出が増えることも集客効果を高める要因の1つです。
そのため企業やブランド、商品・サービスなどの認知拡大を目的にイマーシブを重要視する動きが広がっています。
またインバウンド需要が回復したことも、イマーシブ体験の集客効果を高めている理由です。日本でしか体験できないことは、訪日観光客の特別感の演出につながるためです。
デジタル技術の進化
イマーシブ体験が注目される背景の1つに、デジタル技術の進化が挙げられます。
例えば立体音響や3D映像、VR(仮想現実)などの技術は、まるでそこにいるかのような没入感を演出できます。つまりデジタル技術の進化により、さまざまな分野で没入型コンテンツを実現しやすくなったのが注目される背景といえるでしょう。
イマーシブコンテンツの種類・具体例
没入型コンテンツと聞くと、「VR」や「AR」などのようにデバイスを装着して、仮想現実や拡張現実を楽しむコンテンツと思う方もいるでしょう。
もちろんVRやARは代表的なイマーシブコンテンツですが、ほかにもさまざまな種類があります。ここでは具体例として没入体験を得られるイマーシブコンテンツの種類を紹介します。
イマーシブシアター
出典:THE McKITTRICK HOTEL「Sleep No More」
イマーシブシアターとは、観客が演劇の構成員として参加する体験型演劇のことです。
イマーシブシアターは2000年代にロンドンで始まりました。観客が自分の観たい場所から演劇を楽しんだり、登場人物として劇に参加したりできるのが特徴です。
イマーシブシアターの代表作は、「Sleep No More」です。この演劇は、観客が演劇の舞台であるホテルに実際に宿泊し、登場人物の一人としてストーリーを楽しみます。「Sleep No More」は、2011年にドラマ・デスク・アワードを獲得し、現在でも人気の作品です。
VR(仮想現実)
VRはVirtual Realityの略で、仮想現実を意味します。
具体的にはVRゴーグルを装着し、ゴーグルに映し出される360度の仮想現実により、まるでその場にいるようなイマーシブ体験ができます。
ARはAugmented Realityの略で、拡張現実を意味する言葉です。拡張現実とは、リアルな世界にデジタル情報を追加し、現実世界ではできない体験ができます。
VRやARは専用ゴーグルを用いる場合もありますが、スマホで実現することも可能です。
イマーシブオーディオ
イマーシブオーディオは立体音響や3Dサウンドとも呼ばれる技術です。360度全方位から音が聞こえるようにすることで、没入感を演出できます。
例えば、「後ろから話声が聞こえる」や「人物の動きに合わせて音の発生場所が移動する」といった具合です。
音楽鑑賞であればまるでライブ会場にいるような体験ができますし、映画鑑賞であれば映画の中にいるような体験ができます。
イマーシブ体験の導入事例
「実際にどのようなイマーシブコンテンツに人気があるの?」と疑問に感じる方もいるでしょう。そこで、イマーシブ体験の導入事例3選を紹介します。
事例① イマーシブシアター:泊まれる演劇
出典:泊まれる演劇
「泊まれる演劇」は、ホテルに泊まりながら演劇を楽しめるイマーシブシアターです。
運営会社の株式会社水星は、「ホテルの可能性を広げ、人生の可能性を広げること」をコンセプトにホテルをプロデュースしており、今までに10本以上の作品を制作しています。
連日満室になるほどの人気があり、演劇とホテルを組み合わせたビジネスモデルで成功を収めています。
事例② VRライド:LEKE VR
VRライドとは、VRと乗り物を組み合わせた体験型アトラクションのことです。
2024年1月、RED°TOKYO TOWER 4階に日本初上陸の「LEKE VR」が登場しました。LEKE VRは360度の飛行体験により、VR体験以上のスリリングな没入感を得られるとして海外で人気のアトラクションです。
このように、VRライドは商業施設の限られたスペースにも設置可能で、収益や集客に貢献しています。