現代はインターネット技術に加え、スマホやタブレットなどの普及により、さまざまな働き方ができるようになりました。
そのようななか、注目されているライフスタイルがギグエコノミーです。ビジネスパーソンのなかには、「フリーランスと何が違うの?」と思っている方もいるでしょう。
そこで本記事では、ギグエコノミーの意味や注目される背景、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。
Contents
ギグエコノミーとは
ギグエコノミーとは、単発や短期間の仕事を受注する働き方のことです。また、このような働き方をする人をギグワーカーと呼びます。
ギグエコノミーは、新しいライフスタイルとして世界中で広がっています。その証拠に「BUSINESS INSIDER」の2021年の調査によると、ギグエコノミーの世界の市場規模は2023年までに4,550億ドル(約48兆円)に達する見込みです。
ギグエコノミーとフリーランスの違い
ギグエコノミーと似た言葉にフリーランスがあります。
フリーランスとは、特定の団体や企業に所属せずに仕事を受注して働く人のことです。ギグエコノミーとフリーランスの違いは、中長期間の仕事を受けるかどうかです。
フリーランスは受注した仕事によって、プロジェクトが完了するまでに時間がかかることもあります。また、特定の企業から長期間にわたって仕事を受注している方もいます。一方、ギグエコノミーは単発や短期間の仕事を受注するのが特徴です。
ただし、ギグエコノミーも特定の団体や企業に所属しないことが多いため、フリーランスに含まれる働き方の1つといえます。
ギグエコノミーが注目される背景
ギグエコノミーは自由な働き方をしたい人だけではなく、ギグワーカーに仕事を依頼する企業からも注目を集めています。注目される背景は以下のとおりです。
- 自由な働き方の実現
- プラットフォームの登場
- 人材不足の解消
この章では3つの背景について詳しく解説します。
自由な働き方の実現
ギグエコノミーが注目されるのは、企業や団体に縛られない自由な働き方を実現したい人がいるためです。例えば、以下のようなライフスタイルが挙げられます。
- 生活に必要な分だけ働きたい
- ライフワークバランスを大切にしたい
- 自分がしたい仕事に没頭したい
現代は終身雇用制度の形骸化により、会社に一生を捧げるという意識が薄れています。そのため、仕事のやりがいやワークライフバランスを重視できるギグエコノミーに注目が集まっているのです。
プラットフォームの登場
ギグエコノミーが注目される背景は、プラットフォームの登場により企業とギグワーカーがつながりやすくなったことです。
代表的なプラットフォームにクラウドソーシングサービスがあります。クラウドソーシングサービスとは、企業と個人間の業務の受発注を仲介するインターネット上のサービスです。
簡単にいえば、クラウドソーシングサービスに企業が依頼を出すことで、個人のギグワーカーが仕事を受注できます。企業は働き手を探す手間が省け、ギグワーカーは仕事の依頼を受けやすくなるのが利点です。
このようなプラットフォームが登場したことで、個人でも仕事を受注しやすくなり、ギグエコノミーを実現しやすくなりました。
人材不足の解消
企業がギグエコノミーに注目する背景は、人材不足の解消に役立つためです。
人口減少が進む日本において、多くの産業で人材が不足しています。思うように人材を確保できずに悩んでいる企業も多いでしょう。とくに、特定の経験やスキルを持つ人材を探すのは困難です。
そこで、スキルや経験を持つギグワーカーへの依頼が人材不足解消の手段として注目されているのです。
ギグエコノミーのメリット・デメリット
ギグエコノミーのメリット・デメリットは、企業・個人の立場の違いにより異なります。企業と個人それぞれのメリット・デメリットを解説します。
企業(発注側)のメリット・デメリット
企業がギグエコノミーを活用するメリットは、人件費などの固定費を抑えられることです。またスキルや経験を持つギグワーカーに委託することで、人材を育成する手間や費用も不要です。さらには、従業員を雇用すると発生する社会保障費や福利厚生なども必要ないため、コストを抑えて事業を推進できます。
反対にデメリットは、人材を育成できないことです。ギグワーカーは企業や団体に属していないため、業務で得られるはずの経験やスキルを自社内で蓄積できません。そのため、ギグワーカーに委託する業務内容は、慎重に検討する必要があります。
個人(受注側)のメリット・デメリット
個人のギグエコノミーのメリットは、自由な働き方を実現できることです。例えば育児や家事、介護などをこなしつつ、空いた時間に自宅で仕事をするといったこともできます。また仕事内容によっては時間や場所に縛られないため、「都会から田舎に移住したい」や「旅をしながら仕事をしたい」など、さまざまなライフスタイルを実現できるのも魅力です。
反対に個人のデメリットは、仕事を安定して受注できるかわからない点です。また、社会保障の整備が完備されているとはいえないため、ケガや病気などで働けなくなると収入が途絶えるリスクもあります。
ギグエコノミーのプラットフォーム例
ギグエコノミーに対して、以下の疑問を持っている方もいるでしょう。
- 企業がどのように仕事を依頼するのか
- 個人が企業から依頼を受けられるのか
このような疑問を解決し、企業と個人の架け橋となるのがギグエコノミーのプラットフォームです。この章では代表的なプラットフォームを紹介します。
Uber Eats(ウーバー・イーツ)
出典:Uber Eats
Uber Eatsは、ギグワーカーが車やバイク、自転車などでフードデリバリー業を行えるように支援するプラットフォームです。新型コロナウイルスの流行時に、世界中で利用者が増えました。そのため、日本でも知名度の高いサービスです。Uber Eatsの仕組みを簡単に説明すると以下のとおりです。
- 消費者がUber Eatsのアプリで飲食店に注文する
- 飲食店は注文の商品を用意する
- ギグワーカーが商品を飲食店から注文者まで運ぶ
- 配達を完了するとギグワーカーに対して報酬が支払われる
配達を担うギグワーカーは、自分の好きな時間帯・場所で仕事ができます。
またUber Eatsを運営しているウーバー・テクノロジーズは、配車サービスのUber(ウーバー)を展開している企業です。日本でライドシェアの解禁が検討されるなか、ギグエコノミーの拡大に貢献する企業としても期待されています。
メルカリ ハロ
出典:メルカリ ハロ
メルカリ ハロは、日本最大のフリマアプリの「メルカリ」を運営する株式会社メルカリが2024年3月に提供を開始した、短時間の仕事を探せるサービスです。最短1時間からの仕事をアプリから簡単に探せます。
履歴書や面接が不要で、簡単に働けるのが魅力です。その注目度の高さから、サービス提供からわずか16日で登録者数が100万人を突破しました。メルカリ ハロは、日本のギグエコノミー拡大に貢献できるサービスとして期待されています。
人材不足の解消にギグエコノミーを検討しよう
人口減少が進む日本において、人材不足を解消する方法として注目されているのがギグエコノミーです。ギグエコノミーをうまく取り入れることで、費用を抑えつつスピーディな事業推進が期待できます。人材不足に悩んでいる企業は、ギグエコノミーを検討しましょう。