競合ベンチマークをやってみよう!BtoBにおける競合調査のやり方

BtoBにおける競合調査のおすすめの手法は、競合ベンチマークです。競合ベンチマークとは競合企業や競合サイトの情報を収集・分析することで、自社の問題や課題を洗い出して改善につなげる手法です。

このように昨今では、BtoBにおいても様々なマーケティング手法の導入が主流となっています。しかし耳慣れない言葉に、戸惑ってしまう方もいることでしょう。

そこで本記事では、BtoBの競合調査のやり方として競合ベンチマークについてわかりやすく解説します。

Contents

競合ベンチマークとは

ベンチマークとは本来、測量の基準点を意味していました。そのベンチマークをマーケティングの考え方に取り入れたのは、1989年のロバート・C・キャンプの「Benchmarking: The Search for Industry Best Practices that Lead to Superior Performance」がはじまりです。

ベンチマークは、「競合ベンチマーク」「機能ベンチマーク」「内部ベンチマーク」に分類できます。

一般的にベンチマークといえば、競合ベンチマークを指します。競合ベンチマークとは、自社のビジネスプロセスの課題や問題点のある部分の改善に、競合他社の優良事例・成功事例と比較する調査手法です。

機能ベンチマークは、他業種の事例を参考に自社の課題や問題点を改善する手法です。BtoBであれば、業種が異なっても営業方法やマーケティング手法など、参考にできる部分も多くあります。競合ベンチマークでは見つからなかったマーケティング施策を取り入れることも可能でしょう。

内部ベンチマークは、企業内の優良事例を参考に、業務改善を図る手法です。

ベンチマーク調査を用いた競合調査フロー

BtoBの競合調査として、競合ベンチマークを用いる場合のフローは以下のとおりです。

・顧客ヒアリング
・営業ヒアリング
・競合定義
・競合サイトのトラフィックの確認
・Webサイトでの目視確認
・導入事例を確認

これらを順番にこなすことで、自社の問題点や課題が見つかるだけではなく、他社の事例から改善方法を見出せるでしょう。

顧客ヒアリング

ベンチマーク調査のはじめのステップは、顧客ヒアリングです。

顧客ヒアリングはその名のとおり顧客に直接聞いて問題点を洗い出す方法です。BtoBであれば取引先の営業担当者や、製品を使用している現場担当者から話を聞きましょう。

聞き出す内容は、以下のように自社商品や競合他社の製品についてです。

・自社のサービスの問題点や課題がないか
・他社の製品・サービスで比較した企業やサービスがないか
・競合他社の製品・サービスで魅力に感じた部分はどこか

顧客ヒアリングで得られる情報は、取引先の生の声なので信ぴょう性が高く有益な情報となります。可能な限り多くの情報を集めるためにも、顧客ヒアリングは10社以上で調査しましょう。

営業ヒアリング

次のステップは営業ヒアリングです。営業ヒアリングとは、自社の営業担当者への聞き取り調査です。

自社の営業担当者は、顧客である取引先の営業担当者と関わる場面が多くあります。そのため、自然に競合製品やサービスについて詳しい場合もあるためです。

例えば以下のような情報について、営業ヒアリングをします。

・営業先でよく比較検討の対象となる競合についての情報
・自社製品・サービスでよくある苦情
・営業で感じる自社製品・サービスのウィークポイント

このような自社にとって有益な情報を、営業担当者が抱えたままの状態ではもったいないと思いませんか。とくに、大きな組織であれば部門間や組織間でのコミュニケーションが難しく、このような情報が埋もれやすくなるでしょう。

営業ヒアリングは、自社の営業担当者が商談において感じている、競合との優位性や自社製品・サービスの問題点を洗い出すのに役立ちます。

競合定義

顧客ヒアリングと営業ヒアリングにより、競合となりえる企業の情報を収集できます。そのうえで、ピックアップした企業と自社のどの部分が競合となりやすいのかを分析します。

例えば、競合定義には以下のようなポイントがあげられるでしょう。

・自社製品と価格帯が近い
・導入企業が類似している
・自社製品と非常に類似した製品を有している
・検索エンジンやSNSでよく見かける

BtoBにおいても検索エンジンやSNSでの露出が重要になっています。なぜならBtoBであっても営業担当者から情報を聞く前に、Web上から情報を収集しているためです。そのため営業担当者であれば、はじめての商談なのに「すでに大まかに決定しているのでは」と感じることもあるでしょう。

競合定義では、このように価格や機能、訴求方法などにポイントをおいて調査してください。

競合サイトのトラフィックを確認

競合企業のサイトがどれくらいのトラフィックなのかを調査します。検索エンジンやSNSから、どのくらいのユーザーを流入させているのかがわかると、自社サイトの活用方法を見直せるためです。

具体的には、以下の項目について確認します。

・ユーザー数
・PV(ページビュー)数
・タイトルタグ
・メタディスクリプション
・検索流入キーワード
・検索広告流入キーワード

これらの情報を確認することで、競合サイトが重視している検索キーワードや、どの程度のユーザーがアクセスしているのかを把握できるでしょう。

ただし他社サイトの情報を得ようとしても、どのようにすれば良いのかわからない方もいるかもしれません。自社以外のサイトについて詳しく知りたいのであれば、SEOツールの利用がおすすめです。自社では収集できない情報を入手できるためです。

Webサイトでの目視確認

競合企業のサイトについて情報を収集すると、次は実際にWebサイトを目視で確認します。競合サイトのページには様々な情報が載っており、これらから得られる有益な情報も多くあるためです。

例えば、トップページや各ページのキャッチコピーです。どのような検索キーワードを意識しているのか、各ページのペルソナからどのような顧客を対象としているのかなどを判断できるでしょう。

目視の際は、以下の項目について調査してみてください。

・トップページのキャッチコピー
・グローバルナビの項目
・製品やサービスの強み
・主要顧客企業
・導入事例
・ブログのコンテンツ内容
・販売価格

Webサイトからは競合企業の強みや顧客企業の傾向、独自コンテンツの有無などを確認できるでしょう。すると、競合企業がどのようなマーケティング戦略をとっているのかが見えてくるはずです。

販売価格なのか、機能面なのか、それとも集客などのマーケティング方法なのかです。自社との比較でマーケティング戦略の改善点が見えてくるでしょう。

導入事例を確認

Webサイトでは、導入事例を掲載しているケースが多くあります。競合他社がどのようにして導入をしたのかについて確認できるので、Webサイトに掲載されている導入事例についてはしっかりと目を通しておきましょう。

取引先企業からどのような項目が評価されて導入されたのか、競合製品の強みとしているポイントはどこなのかを調査してください。

取引先企業の導入前の課題やニーズの把握にもつながります。

競合ベンチマークを活用するメリット

競合ベンチマークを活用するメリットは、自社と競合他社との違いを明確化できることです。ほかにも、競合ベンチマークには2つのメリットがあります。

優良な手法を学べる

競合ベンチマークのメリットは、競合企業の成功事例などから有効な手法を学べることです。例えば、BtoB営業で成約率の低さに悩んでいる企業があるとします。そのような企業では、競合企業の成約率を改善させた事例を参考にするのが良いでしょう。

すでに実績のある手法は、同様に実施することで自社にも同様の効果をもたらす可能性が高いためです。

自社の問題点を把握できる

競合ベンチマークのメリットは、自社の問題点を把握できることです。例えば「自社にしかない、競合他社よりも優位性に優れた機能がある」や、「競合サイトのトラフィックが多く、自社よりも集客力が強い」などがあげられます。

このような自社と競合他社との違いを調査することで、自社の強み・弱みを確認できるでしょう。成功事例を参考に弱みを克服し、強みをさらに磨き上げることでシェア率の拡大や収益アップにつながるはずです。

競合調査に役立つツール3選

BtoBの競合調査の問題点は、どのようにして競合企業の情報を入手するかです。

顧客ヒアリングや営業ヒアリングであれば、自社との関わりが深いため情報の入手は比較的容易です。しかし、競合サイトのトラフィックなどを確認するには権限がないため困難でしょう。

そこで役立つのはSEOツールです。競合他社のサイトでも調べられるツールを利用することで、トラフィックや検索キーワードなどを細かく調査できるためです。

Ahrefs(エイチレフス)

Ahrefs(エイチレフス)は、競合調査にも役立つSEO分析ツールです。世界中のサイト運営者が利用しており、すでに60万人が導入しています。

Ahrefsの競合調査に役立つ機能は、被リンク分析機能や検索エンジンの上位表示コンテンツの分析、さらに想定流入キーワードがあります。

被リンク分析機能では、他社サイトの有効な被リンクを分析することで、自社のSEOに役立つでしょう。もし自社サイトに質の悪い被リンクが追加されても、Ahrefsが被リンク動向を通知してくれるので素早く対応できるのも魅力です。

Ahrefsは競合サイトの上位ページを確認することも可能です。競合サイトの集客に役立っている検索キーワードを把握することで、キーワード選びに役立ちます。コンテンツSEOでどんどんコンテンツを生み出したいと考えていても、キーワード選びが難航して思うようにコンテンツが増やせないと悩んでいる方に向いている機能です。

競合サイトの特徴を分析しつつ、SEOによる自社サイトの集客の強化ならAhrefsをおすすめします。

SE Ranking(エスイーランキング)

SE Ranking(エスイーランキング)は、豊富な機能を搭載したSEOツールです。シンプルな操作性でわかりやすく、すでに70万人以上の方に利用されています。

SE Rankingには競合調査に役立つ機能も豊富です。

・オーガニック検索でのトラフィック分析
・Web広告からのトラフィック分析
・競合サイトと自社サイトのキーワードリスト比較
・競合が対象の検索クエリをすべて把握・分析

自社サイトや競合サイトの順位を管理しながら、キーワード選びなどにも役立ちます。

SEOレポートツールやSEOポテンシャル、トラフィック分析、検索ボリュームチェッカーなど、SEO強化に必要な機能がそろっているツールといえるでしょう。

これだけ高機能なツールにもかかわらず、月額5,200円(税込)で利用できるのも魅力です。ただし、順位チェックするキーワード数を250より増やす場合は、上位プランへの変更が必要となります。

Dockpit(ドックピット)

Dockpit(ドックピット)は、競合調査や市場動向把握、顧客理解に役立つデータ分析ができるツールです。

競合サイトのベンチマークの確認に適したツールで、流入元のサイトの分析やサイト内の人気コンテンツ、ユーザー属性なども把握できます。

一般的なSEOツールと一線を画しているのは、キーワードごとの検索者属性の違いや掛け合わせキーワード、検索ボリュームを把握できることです。つまりキーワードごとにターゲットユーザーの属性を示してくれるので、自社のターゲットユーザーにマッチしたキーワードに対してSEOをできるのが魅力です。

BtoBの競合調査をしたい方には、便利なツールといえるでしょう。

さらに、Googleアナリティクスとの連携により複雑なデータもシンプルに表示されます。またChrome拡張機能を利用して、閲覧中のサイトをワンクリックでデータ分析できるのも便利な機能です。

ツールや外部調査サービス会社を活用しよう

BtoBの競合調査において、問題となるのは自社だけでは情報収集に限界があることです。調査ベンチマークをするにしても、ツールなどの利用は欠かせないでしょう。

また、ツールの導入や使い方を覚えるのにも一定の時間と労力が必要となります。そのうえで、適切な情報収集と分析をすることで競合調査のメリットを最大化できます。

このように聞くと、なかなかハードルが高いと感じる方もいるでしょう。

そこでおすすめなのは、外部調査サービス会社への委託です。外部調査サービス会社へ委託することで、調査時間の短縮や工数の削減につながり、結果的にスピーディな改善ができるためです。BtoBの競合調査でお悩みの方はぜひ委託する方法も検討してみてください。