
経営戦略フレームワークは種類が多く、「どれを使えばいいの?」と悩む方も少なくありません。不慣れな方であれば、なおさらでしょう。そこで本記事では、最初に押さえておきたい5つの経営戦略フレームワークと使う順番をわかりやすく解説します。
経営戦略とは
経営戦略とは、企業が目標を達成するために進む方向性や行動方針を定めたものです。現代のビジネス環境は技術革新やグローバル競争の影響で変化が非常に速く、将来を予測することが難しくなっています。経営戦略はこうした外部環境の変化に対して、どの領域で勝負すべきか、どの強みを生かすかなどを明確にする役割があります。
経営戦略の3つの階層
経営戦略は、企業戦略・事業戦略・機能戦略の3つの階層で構成されます。言い換えると、これらの階層を順に整理・検討することで、実行可能で現実に即した経営戦略を策定できます。それぞれの階層の内容は以下のとおりです。
- 企業戦略
企業のミッションやビジョンを定め、どの市場・事業領域で勝負するかを決める戦略
- 事業戦略
各事業単位で競争優位性の方向性や成長戦略を具体化する戦略
- 機能戦略
開発・生産・物流などの各部門で、事業戦略を実行するための施策を策定する戦略
企業戦略から事業戦略、さらに機能戦略へと階層的に細分化することで、企業の方向性と現場の施策を一貫させることができます。
経営戦略の目的
東京商工会議所が実施した「中小企業の経営課題に関するアンケート」によると、経営戦略を策定している中小企業は58.7%に上ることがわかりました。また、経営戦略の見直しを毎年実施している企業は62.7%と最も多く、多くの企業は戦略の見直しを定期的に重視していることが伺えます。
これほど多くの企業が経営戦略に注力するのは、成果や成長に直結するからです。主な目的は以下のとおりです。
- 競争力を高める
自社の強みを生かし、優位性を確立する
- 方向性を共有する
全社で共通の目標を持つことで、部門間の連携を強化し意思決定のぶれを防ぐ
- 持続的な成長を促す
新しい市場や事業機会を戦略的に見極め、組織全体の成長につなげる
- 経営資源を効率的に活用する
人材・資金・時間などのリソースを戦略的に配分する
- リスクに備える
市場変化や競争環境の変動を見据え、潜在的な課題を事前に把握して対策を講じる
これらの目的を実現するために、経営戦略フレームワークを活用することが重要です。
経営戦略フレームワークを活用するメリット・効果

経営戦略フレームワークを活用するメリットは、複雑なビジネス環境を効率的に整理し、戦略の方向性と精度を高められることです。具体的には次のような効果が期待できます。
- 効率的な分析:市場や競合、自社の強み・弱みを漏れなく確認できる
- 課題の把握:現状の問題点や改善点を把握できる
- 方向性の明確化:企業や事業が目指すべき方向を明確にできる
- 論理的な意思決定:感覚や経験だけに頼らず、根拠のある意思決定ができる
つまり、経営戦略フレームワークを活用することで、精度の高い経営戦略を立案できます。
基本の経営戦略フレームワーク5選と使う順番

経営戦略には様々なフレームワークがありますが、押さえておきたい基本は次の5つです。
- PEST分析:外部環境を分析
- 3C分析:顧客・競合・自社の立ち位置を分析
- SWOT分析:市場機会を分析
- STP分析:勝てる市場の分析
- 4P分析:販売施策の分析
これらのフレームワークの順番は、企業戦略・事業戦略・機能戦略を整理しながら検討できる進め方の一例です。それぞれのフレームワークの内容と特徴を解説します。
PEST分析
PEST分析は、次の4つの外部環境要因を整理するフレームワークです。
- Politics(政治):法律・税制・政治情勢・外交関係
- Economy(経済):経済成長率・金利・インフレ・デフレ
- Society(社会):人口・世帯数の増減・社会の価値観
- Technology(技術):技術革新・特許・インフラ
企業戦略を考える際は、自社を取り巻く外部環境要因を把握することが重要です。例えば、法規制・補助金制度・税制の変化・消費者の価値観・人口動態・技術革新などが該当します。これらを把握することで市場の成長可能性やリスク、進出すべき領域を見極めやすくなります。
3C分析
3C分析は、次の3つの視点から顧客・競合・自社の立ち位置を分析するフレームワークです。
- Customer(顧客):市場規模・顧客のニーズ・市場の成長性
- Competitor(競合):競合各社の状況・業界のポジション
- Company(自社):自社の強み・優位性
この分析を通じて、自社がどの市場で、どのように競争優位を築くかを分析できます。事業戦略の方向性を考える上で、重要なフレームワークです。
SWOT分析
SWOT分析は、内部環境と外部環境の4つの要素から市場機会を分析するフレームワークです。
- Strength(強み):自社の競争優位につながる経営資源や技術
- Weakness(弱み):改善が必要な課題や問題点
- Opportunity(機会):市場規模の拡大、規制緩和
- Threat(脅威):競合や規制、環境変化によるリスク
SWOT分析では、自社の強みを生かせる分野や改善すべき課題を把握できます。事業戦略の優先順位を決める際や意思決定に活用されています。
STP分析
STP分析は、次の3つの要素からターゲット市場と自社の立ち位置を分析するフレームワークです。
- Segmentation(市場の細分化):地理・人口統計・ライフサイクル
- Targeting(顧客の設定):細分化したグループから顧客を設定
- Positioning(立ち位置):競合と比較し、自社の立ち位置を設定
STP分析を活用することで、市場・ターゲット・提供価値(差別化のポイント)が明確になり、事業戦略を具体的に設計できます。
4P分析
4P分析は、次の4つの要素からターゲット顧客へのマーケティング施策を分析するフレームワークです。
- Product(製品):商品やサービスの特徴・価値・魅力
- Price(価格):価格設定
- Place(流通):販売チャネル・物流
- Promotion(販促):広告・キャンペーン
4P分析を活用し、事業戦略で決めた市場と立ち位置を機能戦略である販売戦略に落とし込みます。
経営戦略フレームワークで成長を促進しよう
経営戦略のフレームワークは、複雑化するビジネス環境を整理し、成長に向けた戦略を論理的に考えるためのツールです。企業戦略・事業戦略・機能戦略へと段階的に落とし込むことで、企業の目標から具体的な施策まで一貫した戦略を立案できます。まずは、本記事で紹介した基本の5つのフレームワークから活用してみましょう。
よくある質問
経営戦略フレームワークに関するよくある質問をQ&A形式でまとめました。
Q1. 経営戦略フレームワークとは何ですか?
経営戦略フレームワークとは、企業の戦略を考える際にビジネス環境を整理し、意思決定を論理的に進めるためのツールです。市場環境や競合、自社の強みなどを体系的に分析し、経営戦略の精度を高めるのに役立ちます。
Q2. 経営戦略フレームワークを使う順番は重要ですか?
経営戦略フレームワークを活用する上で、順番を意識することは重要です。経営戦略の3つの階層である「企業戦略」「事業戦略」「機能戦略」の流れに沿って考えることで、自社の課題や目標に合ったフレームワークを選びやすくなります。まずは外部環境を把握し、次に自社や市場の状況を整理、最後に製品や施策の具体化。このように段階的に細分化することが、精度の高い経営戦略の立案につながります。
Q3. 経営戦略フレームワークの種類はいくつありますか?
経営戦略フレームワークは数十種類以上存在し、目的や分析したい内容によって使い分けられています。代表的なものは以下のとおりです。全てを使う必要はありませんが、課題や目的に応じて適切なフレームワークを選ぶことが重要です。
■経営戦略フレームワークの一覧
- PEST分析
- 3C分析
- SWOT分析
- STP分析
- 4P分析
- ファイブフォース分析
- VRIO分析
- バリューチェーン分析
- BCGマトリクス
- アンゾフの成長マトリクス
これらを全て使う必要はありませんが、課題や目的に応じて適切なフレームワークを選ぶことが重要です。




