2017年ユーキャン新語・流行語大賞にノミネート・大賞受賞されたことで今やすっかり世間に浸透した「インスタ映え」。今やその言葉は誰もが知るところとなりました。しかしながら2018年、インスタグラムを取り巻く環境も少しずつ変化してきているようです。
「インスタ映え」さえ達成すれば、インスタ戦略は成功なのでしょうか?これまでのインスタのおさらいと2018年に起きたいくつかの変化をみてみると、これからインスタグラムを正しくマーケティングに利用するヒントが見えてくるかもしれません。
おさらい!インスタグラムの基本知識
インスタ映えとは今や「写真映え」と同じ意味
まずインスタグラムというのは2010年10月にアメリカでケヴィン・シストロムとマイク・クリーガーという2人が創設した写真投稿SNSです。当時、それまでメインだったテキストでの交流とは一味違うビジュアルを介したコミュニケーションは新鮮味を呼び、感性のコミュニケーションツールとして、ローンチ当初から非常に人気を呼んでいました。2012年にフェイスブックに買収されたことを機に、2014年には日本語版がローンチ、その後の人気は誰もが知るところでしょう。
そしてインスタを日本で一躍有名にしたことばでもある「インスタ映え」。「インスタ+映える」という造語であるこのことばは、下記のように定義されています。
写真共有SNS「インスタグラム」(Instagram)に写真をアップロードし、公開した場合に、ひときわ見栄え良くステキに見える(映える)、という意味で用いられる表現。インスタグラムへの投稿を念頭において「写真うつりが良い」と述べる言い方。(引用元)
ちなみに、英語で「インスタ映え」に当たることばももちろんあり、一般的にInstagramable(Instagram+〜できるという意味のableという接尾語をつけた造語)ということばが使われています。発想は日本と同じですね。
2017年「インスタ映え」人気コンテンツの共通点は〈大金をかけずに承認欲求を満たせるモノ・コト・場所〉
さて、流行語大賞として日本社会を席巻した2017年のインスタグラム。その中でも特に人気とされたのは「壁」「電球ソーダ」「ナイトプール」そして「神社」など。海外旅行や高額なファッションピースのアピールとは異なり、手近にありながらも見栄えし、気軽にオンライン上でいいね!を獲得できるコンテンツが「インスタ映え」を推し進め、インスタグラムの大衆化の後押しをした形となりました。
細かな人気コンテンツの差はあれど、傾向自体は世界共通であり、たとえばアメリカ・サンフランシスコに2016年にオープンした〈Museum of Ice Cream〉は、なかでも象徴的な先駆的役割を果たしていると言えるでしょう。
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一方、手近さという文脈で起きた「焼き直し」という傾向も、「インスタ映え」の大衆化という観点において見逃すことはできません。
たとえば韓国の弘益大学で人気の〈PINK POOL CAFÉ〉は、ロンドンで “元祖インスタ映えカフェ” として知られた老舗カフェ〈Sketch〉を大いに参考にしていることがうかがえます。わざわざロンドンまで出向くことなく〈Sketch〉っぽい「インスタ映え」が手近に叶えられるこの空間は、日本の感度の高い女性たちの間でも高い人気を誇っています。
Sketch
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PINK POOL CAFÉ
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2018年はインスタグラムにとってのターニングポイントになった年
創業者2名のフェイスブックグループからの辞任
それでは、2018年にインスタグラムに起きた大きな変化とはなんだったのでしょうか。まずは何よりもインスタグラムの創業者ケヴィン・シストロムとマイク・クリーガーがそろって辞任したことが何よりのビックニュースでしょう。
辞任に関して、WIREDに書かれた記事にはこのような記述がされています。
ソーシャルメディアはナイトクラブに似ている。クールな人たちがいる間は面白いが、彼らは気がつくといつの間にかいなくなっているのだ。Instagramの“店内”ではいまだに派手なパーティーが続いている。だが創業者のふたりは、みんながいなくなる前にそこを離れるのが得策だと理解していた。
シストロムとクリーガーの名声は残る。彼らは若く、カリスマ性も備えている。フェイスブックはふたりの引退に向けて黄金の花道を用意したのだ。(引用元)
ユーザー数10億人を突破してもなお勢いのつづくインスタグラムからの創業者の辞任は、テックメディアのみならず、ファッションメディアでも大きく取り上げられました。そのことは、インスタグラムがいかに他業界にその影響力を持っていたかということを感じるに足るというには十分といえるでしょう。
辞任後はしばらく休養をとるといわれていますが、この二人が次にどのようなことを仕掛けてくるのかというのは、しっかり見届ける必要があるといえそうです。
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IGTV、ショップ機能…2018年に追加された新機能
一方、機能面でも2018年はいくつかの新しい機能が追加されました。注目したいのは、ショッピング機能とIGTV。
ECサイトまでひとっ飛び!ショッピング機能
3月にアメリカ、そして6月に日本でも機能が解放されたショッピング機能。インスタグラム上での決済はできないものの、アイテムが掲載されているオンラインサイトへ、インスタグラムの投稿から誘導することが可能に。インスタグラムの投稿上にアイテム名と値段が表示されているので、オーディエンスは効率よくインスタグラム上でお目当てのアイテムを見つけることができるようになりました。
ショッピング機能は、現在はインスタグラムのアプリ上のみの機能となりますが、小売ビジネスを加速させるうえでの強い味方となるでしょう。
IGTVにより、長尺の動画を投稿できるように
これまでインスタグラム上では1分までの動画しか投稿ができませんでしたが、IGTVの登場によりyoutubeのように尺の長い動画を投稿することが可能になりました。
youtubeに取って代わるのか?とローンチ当初は騒がれもしたこの機能ですが、いまのところIGTV自体から広告収入を得る仕様になっていないことから、大きな変化は見受けられていない模様。
しかしながらここで注目しておきたいのは2018年10月にグループ会社のフェイスブック社が液晶型デバイス「ポータル」を発表したというニュース。遅かれ早かれIGTVも何かしら関係がないとも言い切れないのかもしれません。今後注目していきたい機能のひとつです。
新機能からみえてきた「インスタ映え」の次
単発の「インスタ映え」にオーディエンスは飽き始めている
スマートフォンのカメラ性能に加えアプリ加工も相まって、いまや誰にとっても難しい技術無しに「インスタ映え」を叶えることが容易になりました。ローンチ当初の “感性のコミュニケーション” の場の代わり、今のインスタグラムに広がっているのは匿名性の高いアカウントによる「っぽい」写真の応酬です。
その結果、オーディエンスは「インスタ映え」にすっかり慣れてしまいました。2017年の流行語大賞に入ったことで世間に浸透した反面、「インスタ映え(笑)」とある意味で揶揄する意味合いを含むようになったのも、大衆化の証とも言えるでしょう。
「映え」よりも!投稿の積み重ねから魅せるうえでの鍵は「ストーリー」と「コミュニティ」
それでも「インスタグラムを通じてアピールをしたい」「インスタグラマーに仕事して依頼してブランドを広めてもらいたい」「もっと長期的にファンを獲得していきたい」と考える場合、どのような心得が必要になるのでしょう。
さいごに、今後インスタグラムを戦略に盛り込む、あるいはアカウントを運用していくうえでもっとも必要な心構えになるであろう「ストーリー」「コミュニティ」という2点についてみておきましょう。
インスタグラマーとの長期契約により、ストーリーを代弁してもらう
とくにインスタグラマーの起用が目立つビューティー業界にみられるのはSEISEIDO (@shiseido)やLa Mer (@lamer) といった世界的なビューティーブランドが、インスタグラマーと長期契約をしているにあります。
https://www.instagram.com/shiseido/
https://www.instagram.com/lamer/
ここでポイントになるのは長期的に=一定時間を空けてインスタグラマーに複数投稿されることにより、「長い時間」をかけて「ブランドとの接触回数を増やす」ことができることにある。投稿と投稿の間にインスタグラマー・オーディエンスそれぞれ変化・成長していることも相乗効果となり、ブランド側は認知はもちろん、魅力をより一歩踏み込んだ形で伝えることが可能になります。
こういった戦略をとる理由のひとつとして、上述の通りもはや一度のイベントや単発の商品提供のみでオーディエンスに魅力を伝えることはできないと判断したことが挙げられるでしょう。ファンの獲得、関係性を気づくことは「一日にしてならず」と言えるでしょう。
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新しいファン層の獲得のための「別アカウント運用」は、コミュニティ形成が目的
ラグジュアリーブランドでもあるシャネルは2018年2月に、これまでの公式美容アカウントCHANEL BEAUTY (@chanel.beauty)にくわえて、ミレミアル世代向けに特化したビューティーアカウントCHANEL U.S. Beauty Community (@welovecoco)の公式運営をはじめました。
https://www.instagram.com/chanel.beauty
https://www.instagram.com/welovecoco/
アカウント名に「Community」とある通りこのアカウントに投稿されるポストは、ユーザーからのコンテンツで運用されており、よりファンとブランドの関係性を密にする役割を果たしています。シャネルの美容アイテムを使うユーザー同士をつなげるハブ的役割を果たすことにより、よりアツいファンの獲得に貢献しているといえるでしょう。
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参考リンク
2017年本当に「インスタ映え」していたものはコレだ!プロが厳選
【アイデア宝庫】韓国OLがセレクト!インスタ映えカフェデザイン写真集2018
Statement from Kevin Systrom, Instagram Co-Founder and CEO
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