
ビジネスで成果を上げるためには、課題に対処することが求められます。問題を放置したままでは、次のステップに進めないことが少なくないためです。こうした状況で役立つ考え方が「イシュードリブン」です。本記事では、イシュードリブンの意味やメリット、ビジョンドリブンとの違いをわかりやすく解説します。
イシューとは
イシューとは、課題や問題点という意味の言葉です。ビジネスにおいては、解決すべき課題や本質的な問題点を意味します。例えば、イシューとして以下のような例が挙げられます。
・売上が低迷している
・会議の生産性が低い
・顧客満足度が伸びない
このような本質的な問題の改善は、成果を上げるための有効な手段です。
イシュードリブンとは

イシュードリブンとは、イシュー(課題)を起点にして意思決定を行う考え方です。ドリブンには、「~に駆り立てられる」という意味があり、イシュードリブンとは、イシューの解決に駆り立てられて行動することと言えます。
ビジョンドリブンとの違い
イシュードリブンと似た言葉に、ビジョンドリブンがあります。
ビジョンドリブンとは、ビジョン(理想像)を起点にして意思決定や行動を導き出す考え方です。将来のあるべき姿から逆算して、現在どのような意思決定を行うべきかを判断します。
両者の違いを整理すると、次の表のとおりです。
| イシュードリブン | ビジョンドリブン | |
| 考え方 | 現状の課題に対して解決策を検討する | 理想像の実現を最優先に意思決定・行動をする |
| 起点 | 直面している課題・問題点 | 理想像・長期的な目標 |
| 目的 | 現状の問題を解決し、業務の生産性を向上させる | 組織を望ましい方向に導く |
| 主なメリット | 課題の早期発見で迅速に対応できる | 組織の一体感や社員のエンゲージメントが高まる |
| 主なデメリット | 問題解決が成長につながるとは限らない | 理想と現実とのギャップが生じやすい |
ビジョンドリブンの詳細については、「ビジョンドリブンとは?意味や重要性、実践する際のコツを紹介」の記事をご参照ください。
イシュードリブンを採用するメリット
イシュードリブンの考え方を採用するメリットは、次の3つが挙げられます。
メリット① 課題への迅速な対応が可能になる
イシュードリブンのメリットは、解決すべき課題を見極め、根本原因に対応できることです。問題が拡大する前に手を打つことで、業務上のリスクを最小化できます。
例えば、売上低迷が課題の場合、販促を強化するだけが解決策ではありません。その背景には、顧客の離脱や競合による値下げ、商品と顧客ニーズのずれなど、さまざまな原因が潜んでいる可能性があるためです。
こうした根本原因を特定し、適切な対策を講じることで、より効果的で迅速な対応が可能になります。
メリット② 生産性が向上する
イシュードリブンを採用すると、解決すべき課題に効率的に対応できるようになり、リソースの無駄を防ぎながら重要度の高い業務に集中できます。その結果、チーム全体の生産性が向上します。例えば、軽微な課題への対策や効果の薄い業務の見直しが進むなどです。
また、単に作業量を減らすだけでなく、投入する時間や労力が成果に直結しやすくなる点も特徴です。課題の優先順位が明確になることで、チーム全体の業務効率や意思決定のスピードも向上します。
メリット③ チーム全体の論理的思考力が高まる
イシュードリブンの考え方がチームに浸透すると、チーム全体の論理的思考力が向上します。論理的思考により導き出された提案は、「なぜこの対策を行うのか」が明確なため、説得力が高く上司や経営陣の了承も得やすくなります。
イシュードリブンの手順
イシュードリブンを効果的に実践するには、課題の把握から解決策の実行までの手順が重要です。ここでは、5つのステップに分けて手順を解説します。
ステップ① 課題の背景を理解する
まずは、課題が発生した背景を整理し、「なぜこの問題が起きているのか」を明らかにします。感覚や推測だけで判断すると、課題の背景を見誤る可能性があるため、状況を正確に把握することがポイントです。
ステップ② イシューを特定する
次に、解決すべきイシューを設定します。全ての課題に対応していてはリソースが分散してしまうため、重要度の高い課題を見極めることがポイントです。例えば、「この課題を解決すればボトルネックが解消され、業務全体の効率が向上する」といった、組織全体に影響のあるイシューを特定しましょう。
ステップ③ 解決策を検討する
イシューに対して、原因や解決策の仮説を立てます。その仮説を分析・検討することで、根本原因に基づいた実効性の高い解決策を導き出すことができます。
ステップ④ 行動計画を策定する
検討した解決策を行動計画に落とし込みます。この段階でのポイントは、担当者や期限を明確に設定することです。チーム全体で進捗を管理しやすくなり、計画の実行力が高まります。
ステップ⑤ 解決策の実施と効果の検証
最後の手順は、策定した行動計画の実施と効果の検証です。期待した結果が得られなかった場合は原因を分析し、仮説を修正して再度改善策を実行します。このようにPDCAサイクルを回すことで、着実に課題を改善できます。
PDCAサイクルの詳細は、「PDCAサイクルとは? 5つの使い方のコツ」の記事をご参照ください。
イシュードリブンのコツ

イシュードリブンの効果を高めるにはいくつかのポイントがあります。ここでは、特に意識したい3つのポイントを紹介します。
コツ① イシューの選び方
イシュードリブンで成功を左右するのは、どのような課題をイシューとして設定するかです。例えば、細かな課題を全て改善しようとすると、膨大なリソースが必要になり、本来注力すべき重要な業務に支障をきたす恐れがあります。
一方で、現実的に解決が難しい課題ばかりを追い続けても、成果はなかなか見えてきません。そのため、イシューを設定する際には、次のポイントを意識することが重要です。
・本質的な課題であるかどうか
・組織や事業に与える影響が大きいかどうか
・実現可能な解決策を検討できるかどうか
これらの観点を踏まえてイシューを選定することで、限られた時間とリソースを効果的に活用できます。
コツ② 問題の前提を疑う
課題を解決するには、表面的な問題をそのまま受け入れるのではなく、前提条件や背景を再確認することが大切です。現状の数字や事象だけで判断すると、根本原因を見誤る可能性があるためです。例えば、売上低迷の原因は「営業力不足」と決めつけるのではなく、顧客ニーズの変化や競合の状況など、様々な視点から検討することで本質的な課題にアプローチできます。
コツ③ 具体的な行動に落とし込む
検討した解決策は、具体的な行動に落とし込むことが重要です。「誰が」「いつまでに」「何を行うのか」を明確にしなければ、解決策を実行に移せず、成果につながりません。行動計画を策定し、PDCAサイクルによる継続的なアプローチが大切です。
イシューで課題解決力を高めよう
イシュードリブンは、現状の課題を出発点に意思決定を行う考え方です。本質的な課題を見極め、限られたリソースを効果的に活用することで、迅速な課題解決が期待できます。業務改善に悩みを抱えているご担当者様は、ぜひイシュードリブンの活用を検討してみてはいかがでしょうか。


