バリュープロポジションキャンバスとは?メリットや作成手順を解説

新規事業や商品開発で難しいのは、顧客が本当に必要としているものを的確に見極めることです。斬新なアイデアであっても、顧客のニーズとズレがあれば成果につながりません。こうした課題を解消するのに役立つフレームワークがバリュープロポジションキャンバスです。本記事では、バリュープロポジションキャンバスの概要やメリット、作成手順、作成時のポイントをわかりやすく解説します。 

バリュープロポジションキャンバスとは 

バリュープロポジションキャンバスとは、「顧客セグメント」と「顧客への提供価値」の関係を整理・可視化するためのフレームワークです。スイスのアレックス・オスターワルダー氏によって提唱されました。 

このフレームワークの特徴は、顧客セグメントと顧客への提供価値を一枚のシートにまとめ、両者のギャップを埋められる点です。構成要素は次のとおりです。 

Customer Segment(右側:顧客セグメント) 

  • 顧客が抱える課題 
  • 顧客が得たい利益 
  • 顧客が感じている悩みや不満 

Value Proposition(左側:顧客への提供価値 

  • 顧客に利益をもたらす要素 
  • 顧客の悩みを取り除く要素 
  • 要素を組み合わせた商品やサービス 

右側と左側を紐づけて整理することで、「顧客が求めるもの」と「企業が提供するもの」が一致しやすくなります。その結果、事業の成功確率を高められるのです。 

ビジネスモデルキャンバスとの違い 

ビジネスモデルキャンバスは、9つの要素でビジネスモデルの全体像を可視化するフレームワークです。顧客のニーズに合ったビジネスモデルを設計、改善する際に役立ちます。この2つのフレームワークは「顧客のニーズ」を起点としていますが、次のように焦点が異なります。 

  • バリュープロポジションキャンバス:顧客のニーズと企業が提供する価値が一致しているかを明確にする 
  • ビジネスモデルキャンバス:ビジネスモデル全体を俯瞰・分析し、事業の立案や改善につなげる 

両者を理解し、適切に使い分けることで、事業の成功確度をより高めることができます。 

ビジネスモデルキャンバスの詳細については、「ビジネスモデルキャンバスとは?構成要素や書き方を解説」の記事をご参照ください。 

バリュープロポジションキャンバスのメリット 

バリュープロポジションキャンバスは、新規事業や商品開発の精度を高めるのに役立ちます。その理由として、3つのメリットを紹介します。 

メリット① 企業が提供する価値と顧客のニーズのズレを明確にできる 

企業にとって新規事業や商品開発で避けたいのは、提供する価値と顧客のニーズが合わないことです。この不一致が起きると、商品やサービスが顧客に選ばれない可能性が高くなるためです。 

そこで、バリュープロポジションキャンバスを活用し、企業が提供する価値と顧客の求めるもののギャップを視覚的に整理します。その結果、事業の方向性を適切に修正でき、顧客に選ばれる可能性を高めることができます。 

メリット② 顧客の新たなニーズを発見できる 

顧客の視点から課題や悩みを深く理解することで、潜在的なニーズや要望を発見できることがメリットです。 

例えば、アンケートやインタビューを通して顧客の課題や悩みをシートに書き出すと、「この機能があればもっと便利になる」「こんな悩みも解消できる」といった新しい改善ポイントが明らかになるでしょう。 

こうして見つかったポイントをもとに検討することで、既存の商品やサービスの価値をさらに高めるアイデアが生まれ、競合との差別化にもつながります。 

メリット③ 自社の新しい価値に気付ける 

バリュープロポジションキャンバスを活用することで、自社の新たな価値に気付けることがあります。顧客のニーズに対して「自社のどの部分が役立つか」を整理する過程で、気付いていなかった強みや価値を発見できるためです。その結果、それらの強みや価値を生かしたアイデアが生まれ、事業戦略の幅が広がります。 

バリュープロポジションキャンバスの作成手順 

バリュープロポジションキャンバスの作成手順は、大きく2つに分けられます。 

手順① 顧客セグメントの3要素を書き出す 

まずは右側の顧客セグメントを書き出します。具体的には次の3要素です。 

①Customer Jobs:顧客が抱える課題 

顧客が抱える課題、また解決したい課題を検討します。 

例 )

  • 毎日の調理時間を短時間で済ませたい 
  • 残業を減らすために業務を効率化したい 

このように、「顧客が本来達成したいこと」を把握することで、的確な提供価値を検討するのに役立ちます。 

②Gains:顧客が得たい利益 

顧客が商品やサービスを利用することで、得たい利益や状態のことです。 

例 )

  • 栄養バランスの優れた食事を短時間で用意できる 
  • 作業を自動化して生産コストを下げる 

このように得たい利益を明確にすることで、顧客から選ばれる商品やサービスの設計に役立ちます。 

③Pains:顧客が感じている悩みや不満 

顧客が目標を達成する過程で直面する悩みや不満、行動を妨げる障害のことです。顧客が「できれば避けたい」と感じている要素を洗い出します。 

例 )

  • 献立を考えるのに時間がかかり、毎日の食事準備が負担になっている 
  • 業務システムの操作が複雑で、作業効率が上がらない 

こうした課題を正確に把握するには、実際のターゲット顧客へのインタビューやアンケートが有効です。 

手順② 顧客への提供価値の3要素を書き出す 

次に左側の顧客への提供価値を書き出します。具体的には次の3要素です。 

④Gain Creators:顧客に利益をもたらす要素 

顧客が得たい利益を満たす商品やサービスのアイデアを書き出します。 

例 )

  • 短時間で料理を提供できる仕組みを構築する 
  • 業務システムに自動化機能を搭載する 

こうした要素の検討は、競合との差別化につながります。 

⑤Pain Relievers:顧客の悩みを取り除く要素 

顧客が感じている悩みや不満を解消するアイデアを書き出します。 

例 )

  • レシピを提案するアプリケーションを開発する 
  • 直感的に操作できるユーザーインターフェースを開発する 

つまり、顧客の悩みや不満から新たなアイデアを模索します。 

⑥Products &Services:要素を組み合わせた商品やサービス 

「どのような価値を提供するのか」を整理します。ここでは先に検討したGain CreatorsとPain Relieversの要素を統合し、商品やサービスの形として落とし込みます。 

例 )

  • 忙しい家庭向けの「サブスクリプション型配食サービス」 
  • 中小企業向けの「業務効率化クラウドツール」 

具体的な商品やサービスへ落とし込むことで、顧客への提供価値が明確になります。 

バリュープロポジションキャンバスの作成時のポイント 

バリュープロポジションキャンバスを作成する際に、押さえておくべきポイントは以下のとおりです。 

  • 顧客ニーズを起点にする 

最初に取り組むべきは、右側の「顧客セグメント」の書き出しです。顧客の課題や期待からスタートすることで、提供価値とのズレを防ぎやすくなります。特に重要なのは、仮説ではなく実際の顧客の声を反映することです。アンケートやインタビューを通じて集めた情報をもとに検討すれば、現実に即したニーズを反映できるでしょう。 

  • 競合との差別化を意識する 

顧客のニーズを満たすことはもちろん大切ですが、それだけでは競合に埋もれてしまう可能性があります。そこで、自社の強みを生かした価値を検討することが大切です。つまり、「顧客が望むもの」を軸にしつつ、「自社だからこそ提供できる価値」を模索することで、他社との差別化につながります。 

バリュープロポジションキャンバスで新規事業を推進しよう 

バリュープロポジションキャンバスは、顧客のニーズと自社の提供価値を把握できるフレームワークです。顧客セグメントと顧客への提供価値を明確にし、具体的な商品やサービスへ落とし込むことで、新規事業や商品開発の精度を向上できます。事業を推進したい経営者様は、このフレームワークを活用してみてはいかがでしょうか。 

また、セルウェルでは、新規事業支援サービス「メデテル」を提供しています。新規事業の立ち上げや運営で課題を抱えている経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。