20代の40%が認知。VLOGのある世界がもたらすストーリー消費の正体

「VLOG」という言葉を聞いたことはありますか?日本でもここ1〜2年ほどで耳にする機会がグッと増えたようで20代の間では40%近くがその存在を認知し始めています。今後ますます伸びが見込まれる動画市場を引っ張るジャンルとして注目されるVLOGについてみてみましょう。

昨今のVLOGとは「個人的な記録」のこと

VLOGの定義

VIDEOとLOGの造語である「VLOG」は「ブイ・ログ」と読み、ビデオでの記録のことである。それだけではなんら新しさがないが、厳密には以下のように細分化されカテゴライズされている。

・個人vlog(Personal Vlogs)

個人が運用するオンライン動画。観る人に紹介するための個人的な情報を発信している。観る人は企業や組織によるものほど多様的ではないとされる。

・ライブ放送vlog(Live broadcasting Vlogs)

いわゆるライバーが提供する動画。YouTubeが2008年に始めたYouTube Liveサービスに代表される。現在ではInstagramやフェイスブックといったさまざまなプラットフォームで同様のサービスが提供されており、日本ではドワンゴ社のニコニコ動画によるニコ生やLine Liveなど多くのサービスが乱立している。

・情報vlog(Informative Vlogs)

特定のテーマについて視聴者を教育すべくつくられた動画。

・死別vlog(Bereavement Vlogs)

喪失や深い悲しみといった気持ちを表現するためにつくられる動画。

・座談vlog(Conversational Vlogs)

正式な形で市民の議論を生むべくつくられる動画。

・モトvlog(Moto Vlogs)

オートバイ乗車中に録画される動画。自動車のビデオレコーダーのようなもの。

前述のとおり、近年VLOGと呼ばれる部類は「個人vlog」に当たります。そのため今回はこの「個人vlog」を「VLOG」と定義し、このカテゴリに絞ってお伝えしていきます。なお、ライブ放送vlogのカテゴリは現在でいう「ライバー」に当たるため、過去のポストをご参照ください。

VLOGとしてアップロードされるものとは?

さて、VLOGが「個人的な記録」である以上、VLOGとして一体世の中には現在どのような動画が上がっているだろうか。一体どこまで個人的なものをあげている?なんでもあげればよいもの?まずは、欧米ベースのインフルエンサーを例に見ていこう。

例1 ウェディングパーティーの様子

UKインフルエンサーとしてもっとも影響力のある一人であるヴィクトリア。Inthefrowというセルフメディアを立ち上げ、公私ともにパートナーである彼とめでたくゴールイン。その様子は当日のみならずドレス選びといった準備段階から時を追って幾度にも分けてアップされつづけました。

例2 インサイダーとしての取材風景

サンフランシスコ在住、現在クリエイターとして活動するYukaさんは昨年行われたAdobe MAXの日本人インサイダーのひとりに選出。その様子を実際の取材レビューとは別に、VLOGとして投稿。ほかのインサイダーとのオフシーンなどが見ることができます。

例3 セレブの1日のチュートリアル

「みんなにいつもの日常をちょこっとシェアするわ」とキャプションにある通り、Kylie Cosmeticsの事業成功ですっかり長者番付の常連となったカーダシアン家のカイリー・ジェンナーもVLOGで典型的ないつもの1日を隠すことなくシェア。

例4 2020年の目標発表

コリアン・アメリカンのなかでももっとも影響力をもつインフルエンサーのJenn Im。彼女が元旦に撮影した映像は韓国の家族と過ごす正月風景とともに2020年の目標を視聴者にシェアするという、年末年始らしいとてもゆったりとした個人的な記録でした。

共通点は“ビハインドシーン”による「生っぽさ」

ジャンルもライフスタイルも三者三様の上記3例だが、共通していることがひとつある。お気付きの通り、表舞台ではなく、いわば裏のシーンをみせているという点。

これにより、普段メディアに出ている人はもちろん、取材やレビューといった有効な情報などが先行し、ついつい真面目な内容で終わりがちな発信者でも、一線を画すかたちで生の様子を視聴者に発信することを可能にしています。

まさにVLOGのメリットはそこにあり、視聴者側はそれらを観ることで「普段しっかり決めているインフルエンサーの普段はどんな顔なのか」「実際にどのようなパーソナリティなのか」「どんな癖があるのか」「なにが好き嫌いなのか」といった、より親近感をもって発信側に対して触れることになります。

2020年はインフルエンサーのVLOGが大量発生?

昨年、日本の芸能人が次々とyoubeチャネルを開設しました。とはいえ芸人によるチャネルなどでは企画ありきでテレビのバラエティの延長のような動画をアップするアカウントが多く、VLOGのような発信をする芸能人は、こじはること小嶋陽菜さんなどが注目された程度でした。VLOGのメリットを考えれば、今年はVLOGによりファンとの距離を縮めたいと参入する芸能人が増えることは十分に考えられます。

もちろん、芸能人だけではなくだれもが始めることができる動画制作。距離の近い「生っぽさ」が求められるVLOGだからこそ、比較的動画制作のなかでも始めやすいのではないでしょうか。

もちろん特に炎上する要素がなく短期的にみて、たとえば1本で、1年で、なにかブランディング面で意味やメリットがあるとは言えません。なんといっても、長い時間をかけて、ある程度の本数を積み重ねて、その間に変わっていく(=成長していく)ストーリーこそ、まさに見る側が消費したいと求めるそれそのものなのです。

そのため、個人のブランディングという観点で、VLOGで細く長く発信しつづけるということは、長期的にみて非常にメリットの大きい行為といえるでしょう。2020年、新しいことに挑戦するのならVLOGを始めてみるのも良いかもしれません。

◆参考文献

20代の約4割が、「Vlog(ブイログ)」を認知
https://marketing-rc.com/report/report-video-20190717.html#free-download-h3

「ユーチューバーではない」発言の真意──小嶋陽菜がVLOGに見出した可能性とは?
https://forbesjapan.com/articles/detail/30526

Vlog(Video Blog)とは何か?~これからVlogを始めたい人に向けて~
https://www.sony.jp/camera/vlog/news/1/?s_pid=jp_/camera/vlog/news/2/_interview_link

Vlog (Wikipedia)
https://en.wikipedia.org/wiki/Vlog