2年連続最多売上を更新!ボートレース復活のカギはデジタル技術の活用

ボートレースは2021年・2022年に最多売上高を更新しました。2年連続の更新からもわかるように、近年はボートレースの人気が高まっています。

人気に火がついた理由の1つはインターネット投票です。コロナ禍における自粛生活においても、自宅から気軽に舟券を購入して楽しめたためです。

本記事では、ボートレースの概要やデジタル技術の活用事例について紹介します。

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ボートレースの概要 

そもそもボートレースとは、選手がボートに乗ってレース場を走り、着順を競うモータースポーツです。以前は、競艇(きょうてい)と呼ばれていましたが、2010年に呼称をボートレース(BOAT RACE)に変更しました。

またボートレースは公営競技なので、着順を予想し舟券を購入することもできます。

ボートレースと他の公営競技の大きな違いは、出走数が少ないことです。ボートレースは1レースに6艇が出走しますが、競馬は最大18頭、競輪は最大9名です。

1レースの出走数が少ないことは、予想できる組み合わせの数も少ないため、的中する確率が高いことを意味します。そのため、公営競技のなかでも当たりやすいとして人気があります。

また毎日、全国24カ所のボートレース場のどこかでレースが開催されているので、365日楽しめるのが特徴です。さらに、レースの開催時間は以下の4つの時間帯があり、朝早くから夜遅くまで開催しています。モーニング:8:30~14:30

  • モーニング:8:30~14:30
  • デイ:10:30~16:30
  • ナイター:15:00~21:00
  • ミッドナイト:17:00~22:00

当たりやすさや、いつでも開催されているなどの理由から、初心者でも参加しやすい公営競技といえるでしょう。

ボートレースの市場規模の推移 

ボートレースはバブル期の1991年に売上高2兆2,137億円を達成してから、バブル崩壊とともに長らく低迷を続けていました。2010年には売上が過去最低の8,434億円で、はじめて9,000億円以下にまで落ち込んでしまいます。

しかし、その後徐々に盛り返し、2020年には売上が2兆円を超えるまでに復活しました。翌年の2021年には2兆3,926億円で、30年ぶりに過去最多売上を更新しています。

さらに2022年の売上は2兆4,142億円で、2年連続過去最多を達成しました。長らく低迷していたボートレースですが、2020年を境に人気に火がついたといえます。

2020年といえばコロナが流行した年で、巣ごもり需要が売上拡大の要因と考えられます。

ボートレースの人気復活に向けた施策とは

近年、ボートレースが復活できたのは、ボートレース業界が実践してきた施策の成果といえるでしょう。具体的には以下のような施策を実施しています。

  • テレビCMに豪華芸能人を起用する
  • インターネット投票で、いつでもどこからでも舟券を購入できる
  • デジタル技術を活用し、新たなファンの獲得に取り組んでいる
  • 女性専用ルームの設置などで、女性ファンを取り込んでいる
  • YouTubeやSNSを通じてファンを獲得している

とくに競艇からボートレースに呼称を変更したり、豪華芸能人を起用したテレビCMを放映したりすることで、「競艇=ギャンブル」というマイナスイメージの払しょくに取り組んでいます。

実際にテレビCMを見た方であれば、エンタメ性の強い内容でギャンブル性を感じさせない内容となっていることに納得できるはずです。

ボートレースのデジタル技術の活用事例

ボートレースではデジタル技術を積極的に活用し、売上の拡大や新たなファンの獲得につなげています。この章では5つの活用事例について解説します。

インターネット投票

ボートレースは、公営競技のなかで最初にインターネット投票のシステムを導入しました。そのためコロナが流行する以前から浸透しており、全体の50%以上が電話・インターネット投票によるものでした。

しかしコロナ流行後は、電話・インターネット投票の割合が77%程度にまで拡大します。

直近5年間の形態別売上金の割合は以下のとおりです。

■形態別売上金の推移

電話売上(ネット投票)本場売上場外売上合計
2018年度7,355億円(53.6%)1,345億円(9.8%)5,027億円(36.6%)1兆3,727億円
2019年度9,489億円(61.5%)1,227億円(7.9%)4,718億円(30.6%)1兆5,434億円
2020年度1兆6,155億円(77.1%)911億円(4.4%)3,884億円(18.5%)2兆951億円
2021年度1兆8,414億円(77.0%)1,112億円(4.7%)4,399億円(18.3%)2兆3,926億円
2022年度1兆8,754億円(77.7%)1,114億円(4.6%)4,273億円(17.7%)2兆4,142億円

※電話売上は電話投票・インターネット投票・スマホ投票を含む

表からもわかるように、コロナをきっかけに本場売上・場外売上の割合が減少し、電話売上が急拡大しています。このことから、近年の売上拡大の要因は、インターネット投票ができることで、巣ごもり需要をうまく取り込めたためといえるでしょう。

YouTube・SNSの活用

出典:ボートレース公式YouTubeチャンネル

ボートレースは、YouTubeやSNSを活用した情報発信に積極的です。

例えばボートレース公式チャンネルは、2023年11月16日時点で6,878本の動画を公開し、チャンネル登録者数が12万人を超える人気コンテンツとなっています。ボートレーサーの素顔やボートレースのニュースなど、ファンや初心者の楽しめる動画が満載です。

また人気YouTuberに動画を投稿してもらい、動画を視聴した来場者にオリジナルグッズをプレゼントする企画も実施しています。

つまりボートレース業界は、デジタルコンテンツをうまく活用して広報活動を展開しているのです。

公式アプリ

ボートレースの発展・普及を目的に活動しているボートレース振興会は、公式アプリの開発・配布もおこなっています。ボートレース公式アプリは、Android用・iPhone用のどちらもあり、多くのスマホユーザーが利用できるようになっています。

公式アプリでできることは以下のとおりです。

  • 入金・精算・予想・投票・結果確認をアプリでできる
  • 通知機能で予想が的中するとすぐにわかる
  • 当日開催しているボートレースがすぐにわかる
  • 投票したレースをライブ視聴できる
  • 投票方法を登録することで、投票操作を効率化できる
  • お気に入り選手の出走を通知で教えてくれる

このような利便性の高さから、Android用だけでもダウンロード数が10万を超えています。公式アプリの配布はファンの獲得に役立っているといえるでしょう。

ボートレースの公式アプリは、インターネットやスマホの普及をうまく活用した取り組み事例といえます。

ボートレースの取り組みを参考にしよう

ボートレースはバブル期の最多売上を30年ぶりに更新し、人気が拡大している公営競技です。人気拡大の主な要因は、テレビCMによるイメージアップやデジタル技術の活用が挙げられます。

紹介したボートレースのデジタル技術を使った取り組みは、他のビジネスにおいても有効な手法といえます。自社のマーケティングに悩んでいる方は、ボートレースの事例を参考にしてみてはいかがでしょうか。