「体験の観察」から生み出す新たなマーケティング施策。OODAループをプロジェクトに取り入れる

体験の観察 マーケティング

市場の閉塞感が漂う昨今、商品企画や販促施策を考えるにあたって、従来通りのアプローチでは満足できずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、「体験」を通じてターゲット顧客の視点に立つことで、新たなマーケティング施策を生み出していく方法について考えたいと思います。

現実味がない従来のアプローチからの脱却

商品企画や販促施策を考える際、消費者へのアンケートやグループインタビューを行い、吸い上げた意見を基にさまざまな施策を生み出しているという企業は多いと思います。
しかし、こうした従来通りのアプローチではなかなか新しいアイデアは生まれず、そのやり方に疑問を抱いている方も多いはずです。

また、消費者の声に耳を傾けているつもりでも「どこか現実味やリアリティがない」と感じる場面もあるのではないでしょうか。
特に、最近では「アクティブシニア」と呼ばれて注目を集める中高年層など、企業側の人間と年代や感覚が離れた存在をターゲットとしている場合はなおさらです。いくら彼らに対して有効なアプローチを考えたところで、実感を伴わないそれはあくまで想像の域を出ません。

では、このような状況の中で従来の売り方を変えていくには、一体どうすればいいのでしょうか。

“観察”がキーとなる新たな考え方「OODAループ」

こうした課題を解決する一つのヒントとしてご紹介したいのが、「OODA(ウーダ)ループ」という考え方です。

OODAループは先の読めない状況下で成果を出すための考え方であり、すでに日本でも定着している「PDCAサイクル」に代わる存在として注目を集めています。
OODAループはPDCAサイクルと同じく4つのステップに分かれ、「観察(Observe)」「仮説構築(Orient)」「意思決定(Decide)」「実行(Act)」という要素で構成されています。

PDCAサイクルは業務の生産性を高めることを主な目的としており、工場の生産ラインなど工程が明確で安定した状況下においては非常に有効な手法と言えるでしょう。
対するOODAループの大きな特徴は、PDCAとは違って「想定外」の出来事が起こることを加味しているという点です。OODAループでは、先の見えない状況でも周りを「観察」することから始め、そこから仮説を構築して最善の行動を起こすことができます。

PDCAはそのサイクルを回すことで状況が改善するという前提のもとに成り立っていますが、昨今のように先が読めない時代においては、想定外を加味したOODAループのような考え方のほうが、より幅広い分野・場面において活用できるのではないでしょうか。

「体験」の観察によって今までにない施策が生まれる

商品企画や販促施策を考える際にも、こうした新しい考え方を取り入れることで、これまでとは違ったアイデアが出てくるかもしれません。

その一つの例として、あるメーカーから発売されている子ども向け/大人向け商品の売り方についてお話したいと思います。
一般的に同ブランドの商品であればまとめて陳列することが多いと思いますが、この商品の場合は売り場の店員がそれぞれのターゲットの「視点」に合わせて―子ども向け商品は低い位置に、大人向け商品は高い位置に―陳列位置を変えてみたところ、それ以前よりも購買率が高まったといいます。これもまさに、店員の観察から得られた成果と言えるでしょう。

実際の売り場に立つ店員の視点が参考になるのはもちろん、より消費者の立場に寄り添うのであれば、ターゲットとなる顧客の視点を自ら体験してみるのもいいかもしれません。
例えば、最近では「シニア体験キット(高齢者疑似体験キット)」といった高齢者の感覚や動きを疑似体験できる教材もあるため、中高年層をターゲットとしている場合には試してみるのも一つの手です。

高齢者疑似体験教材の例(株式会社三和製作所より引用)

車いすに乗って店内を回ってみたり、動きや視界が制限された中で買い物をしてみたり、何かと不便さが付きまとう高齢者の感覚を実際に体験することで、ただ想像するだけでは気付かなかった発見があるはずです。
そして、その体験の観察を基に、今までにない発想や施策を生み出すこともできるのではないでしょうか。

セルウェルでは、こうした体験ワークショップの実施をはじめ、体験を通じた商品企画や販促施策を一緒に考えていくことも可能です。ご興味のある方はぜひ一度ご相談ください。